●否認の心理が原因
心理学では「否認の心理」といって、そのことを認めたくない、不安を打ち消したい、
自分だけは逃れたいから、自分だけは違う、というような時に出てくる反応がある。
自分の過去にしてしまった良くない行動や悪い生活習慣など、例えば、
健康に悪いと知っていて飲酒したり、隠し事は良くないと言いながら隠し事をしたり、
見て見ないふりや聞こえないふりをしたり、というような誰にでもあることにでも、
それをしてしまった自分を認めて受け入れることは、なかなか簡単にいかないだろう。
これが自分が辛い時、とりわけメンタル疾患などであれば、なおのことのはずである。
最初から受け入れたり、好意的・積極的・前向きに接したりすることは、
本人にもその家族にも少ないだろう。そして先程の例がかわいく見えてくるであろう。
もし自分が認めてしまった場合なら、今までの行動、考え方、生き方が否定されてしまう。
一生懸命やってきたこと、努力が無駄だったと認めることになるし、
もし、自分の家族がそうなった場合なら、育て方や普段の接し方に問題があったり、
やるべきことをやっていなかったということを認めなければならないので、
親として、家族としての責任や存在意義が否定されてしまうのである。
●対策
①・自分で時間がかかっても少しずつでも理解していく
・相手に対して時間をかけて説明していく
②一緒に第三者の視点からの知見を得る
先のメンタル疾患の例なら、一緒に病院に行き(もしくは付き添ってもらい)、
医師の見解を説明してもらうと態度も変わり、理解を得られやすい。
育て方や接し方の責任を問わない説明がなされ、否認が外されやすくなるため。
言う側(ここでは医師側)は、安心する部分(大事、核心部分でなく)を言ってあげる。
そうすると、否認の状態から受容の状態へ移り変わりやすくなる。
③この段階で自分を責めるという状態は、否認の兆候となる
自分も相手も、否認の状態から受容の状態へ切り替わることが重要である。
多くの場合は自分と相手しかいない状態なので、これは認めてこれは認めたくないとか、
自分は悪くないとか自分が全部悪いなどの視野の狭い状況にも陥りやすい。
こういった状況だからこそ、第三者の存在はとても重要であるし、
それが専門家であれば安心材料にもなり得るし、客観性の高い意見であればあるほど、
現状を冷静に見つめ直す材料にもすることができるだろう。