怒鳴って指導する前にできること

 
怒鳴って指導しないようにするためには、
一例としてですが、次のことが必要です。
 
①言葉、用語の理解を最低限教えておく
②指示の出し方とその後の流れを決めておく
③普段からコミュニケーションを深めておく
 
 
 
怒鳴って指導するのは、時には必要かもしれませんが、
経験上あまりよろしくありません。
 
なぜなら、人は怒鳴られたり突然の大きすぎる声に直面すると、
身の危険を感じたり、混乱して冷静さを欠いてしまったりして、
理解したり、選択したり、深く考えたりすることが難しくなります。
 
それがもし、年端もいかない子供達であったり、
大人であっても初心者だったりして右も左もまだ分からなかったり、
怒鳴られたそのことが初めてやったことであれば尚更、
右往左往するか、思考停止してしまうことでしょう。゜
 
そのような状態では、こちらがいくら正しくても、真剣に伝えていても、
怒鳴られている側からすると、危険である時間が継続するだけです。
そして、「この人は危険、怖い、無理。」と本能的に学習してしまい、
それ以外の事は遮断する、ということになってしまうかもしれません。
 
これでは本末転倒ですので、怒鳴らずに指導するにはどうしたらよいか、
普段から手を変え品を変えて、分かりやすく伝えられるように、
書き出してみたり、うまく伝える筋道を立てておくなりして、
戦略的に準備しておくとよいでしょう。
 
 
 
余談ですが、過去にマーチングバンドを教えたことがありますが、
その人数の多さ、音量の大きさ、競技フィールドの広さに加えて、
短く的確に指示や号令を出す必要があるため、
あの場合は怒鳴るくらいの大きな声を出さないと無理です。
 
指示を出される側も、大きな声で指示が出るのは当たり前なので、
中には怒鳴られ慣れて打たれ強くなってしまう人もいるようですが、
客観的に見て当時の方々は楽しんで一生懸命やっておられたようですし、
それが良いのか悪いのかどうなのかは、ここでは置いておきます。
 
業界やジャンルに合ったやり方、ということもあると思いますので、
こちらとしても積極的に学んでいかなければならない事でしょう。
以上、余談でした。
 
 
 
さて、怒鳴って指導するくらいならばその前に、
 
①言葉、用語の理解を最低限教えておく
そもそも活動の土台となる事柄を伝え忘れている部分はありませんか?
また、活動に最低限必要な専門用語は覚えているでしょうか?
たとえ大人であっても、知らないことに対応するのは難しいでしょう。
 
 
②指示の出し方とその後の流れを決めておく
「右向け右!」でも、「頭からAまで!」でも、「tuttiのところから!」でも、
そのバンドでの指示や号令に対する動きや決め事はどのくらい出来ていますか?
その動きや決め事はどうやって始まり、どうやって終えますか?
本番までに「すべて打ち合わせ通り」と言える形を作っておくことが大切です。
 
 
③普段からコミュニケーションを深めておく
「譜面は覚えましたか?」
「分からないところ、出来なくて困っているところはありますか?」
「スゴイね、それ。自分でやったの?どうやってやったの?」
くらいのコミュニケーションは、普段からできているとよいでしょう。
 
それから、たまに来る先生なら仕方ない部分もあると思いますが、
いつもいる先生なら、メンバー全員の名前を覚えているかどうか、
あらためて確認するところから見直してみるとよいでしょう。
 
一人一人を大切にしていたら、簡単に怒鳴ってしまうことは難しいですよね。
 
 
 
----------
 
 
怒鳴りたくなる状況やその時の気持ちも分からなくもありませんが、
カッとなってしまったら、上のように考えて落ち着いてみたり、
事がうまく運ぶように段取りや環境を見直してみるとよいでしょう。
 
しかしもちろん、怒鳴ってでも制止させなければならない場面、
例えば、倫理的、道徳的に問題のある行為、集団活動を故意に壊す行為、
犯罪の温床になってしまうと考えられる行為などが存在してしまうことは、
未熟な自分でも承知しているつもりですので、
怒鳴ることについてだけを一方的に咎めるつもりはありません。
 
その場合は後からのフォローを欠かしてはなりませんし、
分かっている人達や大人同士の協力や連携も必要でしょう。
 
 
 
教える側も教わる側も、人です。
 
様々な面で、できることの限界はあるかもしれませんが、
どうか今いる大切な人達の間で、適切な段取りや環境を築き上げ、
それと共に素晴らしい人の和を作り上げることができますように。