自分のやりたいことは遠慮せずに、まずは小さく始めて小さく終えてみる

 
 自分のやりたいことで自分でできる範囲のことであれば、どんなに小さなことでも構わないので、行動に起こしておくことが大切です。
 
 自主性をもって行動を起こせず、物事の責任を取ることのできる立場にもなく、またその主導権すらなく、責任を負うはずの者が明らかに他にいるにもかかわらず、普段から何にも気付こうとも感じようともしない人は、本来あるはずのない責任感や罪悪感というものを他人に勝手に作られ、押し付け感じさせられる立場に居続けるという脅威に晒され続けることになるからです。
 
 といっても、いきなり取って食われるようなことはないでしょうから気張りすぎずに、しかし自分の力で地に足をつけて立つためにも、自分のやりたいことは恐れずにやっておいた方がよいです。まずは、一人で始めて一人で終えられることや、数時間~半日くらいで終えられるようなことからでよいと思います。コツは、さっさと始めることです。
 
 
 
 世の中というものを経験していくと、「相手があってのことですから」と何でもかんでも遠慮をしたり遜ってばかりいる人を見かけることがあります。もちろんその人から学んだり見習うべき点も多いのかもしれません。
 
 しかし、これに対して「自分があってのことですから」と考える人はどのくらいいるのでしょうか。何でもかんでも自分中心にしてしまうというのはただの傲慢な人ですから見習うべきではありませんが、こと自分のことになると、自分なりの考えや主張を持ったり、自分自身に配慮することができていないという人は、実は結構多いのではないでしょうか。
 
 社会に出て活動するのことは確かに相手があってのことですが、自分の頭で考えたり心に思っていることを行動に起こすのは、自分があってのことです。どちらも大事ですが、相手の方にばかりバランスが偏らないようにすることです。
 また、「自分があってのこと」とは、精神面や肉体面のケアやメンテナンスなどについても同じように言えるでしょう。
 
 ただ、自分を犠牲にし続けたり、自分の貴重な時間や能力を相手に過剰に差し出し続けたりすることに対しては、「相手があってのことですから」とはなりません。
 たとえ意識的に気にしていなくても、自分を大切にし、自分が叶えたいとを思っていることがもしあるのなら、「自分があってのことですから」もっと自分を押し出し、自分のすべきことをする割合を増やしていった方がよいと思います。
 
 
 
 さて、自分のやりたかったことを実際にやり始めてからしばらく時間が経過したり、ある程度の実績がついてくると、例えば「あなただからできたんでしょ」と言われるようになったり、今までは自分の周りにいなかった「もう一歩先にいる人達」の存在がちらつき始めたりします。そうしたら、他人より頭一つ抜け出すための経過点に差し掛かった可能性が高いです。
 
 「相手や自分があってのこと」という点で筆者の拙い経験を一つ上げるとするならば、通常は作編曲の依頼に対応するのに、相手の要望を聞いて可能な限り要望に沿ったかたちで実現するように努めますが、決して「御用聞きになるだけ」ということはしませんでした。もうずいぶん昔のことですが、そうするなりの勉強と下積みはしていたと思います。
 
 結果としては、数年くらい経って「あそこのバンドを見てるの、君?」と聞かれるようになっていきました。こちらから言ってもいないのに同業者や偉い先生から聞かれて嬉しかった半面、実は音の作り方や演目の構成の仕方、特色や癖といったものを2, 3年に渡って見られ(聴かれ)ていた(というか、「たまに見かけるけど誰の個性だろう?」と思われていた)と後になって聞き、自分が勉強していたと思っていたことは机の上でできることと現場での経験だけで、まだまだ下の下であったと思い知らされました。
 
 
 
 昔話で横道にそれたことはさておき、もう一度書きますが、自分のやりたいことで自分でできる範囲のことであれば、どんなに小さなことでも構わないので、行動に起こしておくことが大切です。
 
 自分から行動を起こしてみて初めて、自分の裁量でどれだけのものができるのかとか、時間や予算はどうかとか、責任範囲や関連法規はどうかとか、着眼点などについて自分と他人を比較してみるとか、自分としては本来このようにしたくて相手や顧客にはこのように感じてほしいとか、価値を伝えたいというようなことを、やり続けたい、伝え続けたい、改善を重ねながら提供し続けたいと思えるようになってくるのです。
 
 といっても、いきなりすべてがうまくいくことはないでしょうから、まずは小さなステップから始めてみて、できそうだと思ったら大きくしていけばよいし、難しそうなら一旦撤退すればよいのです。
 コツは、どのように小さく始めて終えるかの段取りと準備をして、さっさと始めてみることです。もちろん目的や収穫すべきことを含めておくことも忘れずに。