一昔前の人と現代の人を比べると、何で昔の人は細身な人が多いの?という研究

 
 2016年、カナダのトロントにあるヨーク大学(York University)の、ジェニファー・クク(Jennifer Kuk)氏らの研究チームにより、現代と30~40年前の同年齢の男女では、食事量と運動量が同じでも、必ず現代人の方が体重が重くなるということが判明した。
 
 アメリカの成人男女のデータから、1988年の男女と2006年の男女とを比較をすると、同じ食事量と運動量を実践したとしても、2006年の方がBMI値で約2.3ポイント高く、体重にすると平均10%ほど重い結果になった。
※アメリカ人のデータのみが研究の対象です。
 
 
 
 この結果から、クク氏により3つの可能性が指摘された。
①太りやすくなるような化学物質にさらされることが多くなった。
農薬、難燃剤、食品の包装に含まれる物質などが、ホルモンのプロセスを変化させ、体重の増加や維持に影響を及ぼしている可能性があるのだそうです。
 
②1970年代から80年代にかけて、処方箋薬の使用量が劇的に増加した。
抗うつ剤はアメリカでよく処方される薬の一つであり、その多くが体重増加に関係していると言われている。
 
③腸内細菌叢(そう)が何らかの形で変化している可能性。
腸内細菌の種類によっては、体重増加や肥満になりやすいものがあることに加え、
・現代のアメリカではより多くの肉が食べられるようになった
・多くの動物性食品は成長を促進するためにホルモン剤や抗生物質で処理されるようになった
・人工甘味料の普及も関連がある可能性を考えている
 
 
 
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 さて、筆者としては、インターネットや交通手段の発展に伴う生活環境や労働環境の変化、ファーストフードをはじめとした外食、出来合いの食べ物、嗜好品などに関連する食品添加物や人工甘味料なども影響しているのではないかと考えました。
 
 今回は研究の対象ががアメリカ人でしたが、それでも自分を振り返ってみて気になるというのなら、日本にいてもできることは、おおよそは次のようにまとめられるのではないでしょうか。
 
 ・自炊の頻度を上げる
 ・発酵食品を摂る
 ・野菜を多く摂る
 ・サプリメントに頼らずできるだけ食品から栄養を摂る
 ・睡眠時間をよくとる
 ・運動の頻度を増やす
 ・車、バイク、自転車よりも、「歩く」か「公共の交通機関」を使う
 ・多少面倒でも人とのつながりを楽しむ
 ・産地や食品表示などについて気にしてみる(何も気にせずに何でも口に入れない)
 ・国産だから楽しめる食品、輸入だから楽しめる食品などを知る
 ・食品の栄養価や旬の時期について調べてみる
 
 
 
 「何も気にせずに何でも口に入れない」というのは自分で書いていて少しドキッとしましたが…。
 
 ちなみに、個人的な経験として渡米していた時の記憶を辿ると、基本的に食べ物のサイズは日本よりも一回り大きいです。
 マクドナルド他のハンバーガーショップに行っても、例えば飲み物はSサイズを注文すれば空のコップだけ出てきて、ドリンクバー形式のように飲み放題でした(ニューヨークマンハッタンのマクドナルドは日本とほぼ同じサイズだったと思います)。
 緑茶を買っても砂糖入りですし、水以外は飲み物はほぼ甘い物ですので、そう考えると、意識していないと糖分は摂り過ぎになるし、日本にいる時よりは太りやすいのかな、というような気もします。
 
 また、特に日本食やアジア食の店を意識してを探そうとせずに、向こうのスタイルに合わせた食生活をするならば、かなりの高確率で、「小麦粉」、「肉」、「チーズ」の割合が高い食事傾向になります。
 まあ日本だって「米」、「味噌」、「魚」になるのでしょうけど。
 
 「郷に入っては郷に従え」ということわざもあるように、実際に現地へ行ったからこそ経験できることもあると思います。
 特に好き嫌いもせずに様々な面で現地を楽しんできましたが、話が冗長になりますので今回はこの辺りで。
 
 
 
●参考
・The Atlantic(アトランティック(出版社) 米マサチューセッツ州)
Why It Was Easier to Be Skinny in the 1980s
 
・Science Direct(エルゼビア(出版社) 蘭アムステルダム)
Secular differences in the association between caloric intake, macronutrient intake, and physical activity with obesity
(カロリー摂取量、多量栄養素摂取量および身体活動と肥満との関連における経年差について)
 
・ナゾロジー
現代人は40年前の人より太りやすくなっていた! その原因とは?