不安な気持ちを鎮めるためにできること メモ

 
 人は不安になると、脳の中にある扁桃体という部分が興奮すると言われている。
 扁桃体とは危険を感受する部分で、古くは原始時代から、人間が猛獣に出会った時などに扁桃体が興奮し、直ちに逃げるか戦うかの指令を出す部位であると言われている。
 
 この扁桃体の興奮状態が続いたまま治まらなくなってしまう、例えば現代で言えば会社のストレスや対人関係のストレスなどが持続し続けてしまうと、偏桃体がパニック状態になり、メンタル疾患へとつながってしまう可能性があるとされる。
 医師の診断や薬の処方も確かに大切だが、それ以外にも自分自身で扁桃体の興奮を鎮めていくことが、精神的にも健康な状態で生活していくために不可欠であると言える。
 
 脳科学の面で研究されているものでは、
①朝に日光の光を浴びながら散歩をする
 日光を浴びることによりセロトニンが活性化される。
 セロトニンは感情のコントロールで重要な役割を担っており、不安が出た時にセロトニンが活性している状態であれば沈静化もスムーズに行われるとされる。
 また、セロトニンが弱っていることにより、扁桃体が暴走しやすくなっているとも言える。
 
②睡眠を7時間半以上取る
 睡眠不足は脳が疲弊し、脳に対して大きな負荷をかけ、返答対応か興奮させやすい状態になるため、明らかなストレス状態となる。
 また、生物学の面としては猛獣に襲われるなるため睡眠が取れていない状態と同様とされ、強度のストレス状態ということになる。
 この状態は6時間以下の睡眠で発生してくるとされているため、7時間から7時間半以上の睡眠時間を確保することが大切である。
 
③運動する
 運動することで不安はほとんど解消するとされる。
 運動直後は不安が低下し、感情のコントロールも高まり、ドーパミンも分泌されるため、幸福に近い気持ちの状態になることができる。
 また、例えば全力疾走中に不安な状態を維持することができないと言われるのと同じように、運動に集中することで不安は治まっていくのである。
 中強度以上の運動、ジムやジョギングで汗をかく程度の運動や、自分にとってやや重く感じる程度の負荷をかけた筋トレなどをすることで、扁桃体の興奮を鎮静化していくと言われる。
 
④人との接触をする
 他人とコミュニケーションをとるとオキシトシンが分泌され、これが扁桃体の興奮を鎮静化させると言われる。
 オキシトシンはリラックスの物質とされているため、親しい人との会話で心が安らぐなど、親しい人との時間を持つとよい。
 不安が強い人ほど孤独でいる可能性が高いため、ある程度は他人と会って話をするなどして癒されるということが、コミュニケーションによる不安の解消には不可欠である。
 
⑤言語情報を入れる
 脳の中に言語情報(文字情報)が入ると扁桃体の興奮を抑制するという研究があり、ポジティブな言葉かけを自分に向けて言うことにより、扁桃体の興奮を抑制するとされる。
 扁桃体は条件反射のようなもので、本能的に瞬時に選択するなどを行うが、これに対して言語の親前頭前野がブレーキを踏むように作られている。
 ただしそのブレーキは何秒か遅れて発動するため不安の方が先に暴走しやすいという状態のため、不安になったら言葉で考えるということが大切である。
 不安に陥ったら「どうしよう」と思うだけになってしまうよりも、おまじないでもポジティブな言葉でも自分自身にかけた方が、扁桃体の興奮状態の沈静化につながると言われる。
 
⑥四感を研ぎ澄ます
 人間の持つ五感のうち、視覚は脳を興奮させやすいため、それ以外の刺激(聴覚、触覚、味覚、嗅覚)、例えば入浴して「温かい」、「気持ちいい」などの感覚が入ってくると、脳の注意もそちらに向いていくことになり、扁桃体の興奮が治まると言われている。
 その他にも、マッサージを受ける、音楽を聴く、何かを食べるなど、脳に何らかの別の刺激を入れることで、不安も軽減されていく。
 
 
 
 薬を飲めばある程度の不安は治まることだろうが、扁桃体の興奮自体は治らないそうなので、不安の原因に対しては何も働きをしないということになる。
 だから、上記のように自分でできる方法を日常的に行って、胴体が興奮しづらいような体質を養っていくことも大切である。