固定思考を改善させるためにできること

 
 固定思考とは、簡単に言えば思い込みのことである。
 固定思考を持ったまま生きるということは、間違ったことを強く思い込むとか頭が固いままでいるとうことになるので、本来ならば他にも様々な可能性があるのに思考停止している状態ということにもなる。
 だから、物事がうまくいかなくなったり、不幸になったり、人生を台無しにしてしまう可能性も出てくるので良くない。
 その反対に、頭の柔らかい柔軟性のある人は、うまくいくことが多いのだ。
 
 
 
良くないと言われる固定思考とは
 
①自分のことをダメな人間だと思い込んでいる
 自分はダメだ、馬鹿だ、何をやってもうまくいかないと思っている人がこれである。
 小さい頃から親や先生などに何度も何度も「お前はダメだ」などと言われていたりすると、やがて自分からそう思うようになっていき、大人になっても自分はダメだという洗脳が解けずに、様々なことに挑戦できなくなってしまうのだ。
 もちろん大人になってからも職場の上司などから言われ続けることもあるだろう。
 思い込むことで自分の可能性を潰してしまっているのである。
 
 本来なら、仮に今目の前のことがうまくいっていなくても、視野を広げて色々なことにチャレンジしていくことで、自分の得意なことやそれに適した物事が見つかるものなのだ。
 そしてその中から、今の自分でもできることや今後の可能性というものを見つけることができて、そこに気づくからこそ自分が成長できたり、仕事が上手くようになったり、人から愛されたり尊敬されたりすることに繋がっていくはずだし、思い切って一歩踏み出してみたり、簡単に諦めずに食い下がってみたりすると意外とできるということはたくさんあるのだ。
 だから、固定思考を持ったまま挑戦しないということは良くないのである。
 
 また、誰であろうと「お前はダメだ、馬鹿だ、何をやってもダメだ」と言ってくる人は、心の底から心配してくれている人も中にはいるかもしれないが、ただ単にあなたの成長の芽や伸び代を潰したり、その人にとって脅威になるから自分が抜かされないようにマウントをとって押さえつけようとして言い続けている可能性だってあるのだ。
 その点を考えると、もちろん時と場合によるが、あまり他人からされる上から目線の発言を鵜呑みにしない方がよいだろう。
 
 
 
②お金があるほうが幸せだと思い込んでいる
 お金はあればあるだけ幸せなんだ、自分よりお金持ちの人は必ず幸せなんだ、自分はお金がないから不幸なんだ、と思い込んでいる人も間違った固定思考である。
 衣食住がどれも満たされていない本当の意味での貧困の状態と比べたら、確かにお金はあればあるだけ幸せなのかもしれないが、ある程度のラインを超えると幸福度はそれ以上上がらなくなるもなのだ。
 そのラインは年収1300万円と言われており、そこまではお金はあればあるだけ幸せとなることが多いが、このラインを超えると不幸になっていく人もまた多いと言われている。
 
 というのも、お金を使って得られる幸せは、ある程度繰り返していると麻痺したり慣れてきたりして、やがて今までと同じレベルの刺激では幸せを感じなくなってしまうからである。
 もっとお金を使ったり、もっと贅沢や過激なことをしないと、脳内でドーパミンが分泌されなくなり幸せを味わえなくなってしまうというのだ。
 また、自分よりもさらにお金持ちの人と比べて不幸を感じてしまったり、手に入れた財産を失ってしまう恐怖に常に付きまとわれる不幸を感じてしまうようになるなどもある。
 もっともっとと欲望が大きくなっていき、「自分は満たされていないから不幸だ」となってしまうのだ。
 
 だから、「お金以外でも感じられる幸せ」というものを知ることである。
 例えば、家族や友達と食事をして楽しむとか、天気の良い日に散歩をしたり遊んだりするとか、スポーツや筋トレなどで体を鍛えて健康になるとか、お金を使わずとも幸せを感じる方法はいくらでもあるのだ。
 
 
 
③仕事はしない方が幸せだと思い込んでいる
 遊んでいる方が幸せだと思っている人がいるようだが、「楽しく仕事をしている人」が本当に幸せな人と言えるだろう。
 仕事をするということは社会と繋がっており、仕事を通して他の人から感謝されるものなのである。
 物を売るにしてもサービスを提供するにしても、何をしてても感謝されるし、それ自体が承認欲求を満たし、幸福を味わうことが出来るのだ。
 
 だから楽しく仕事をしている人の方が、他人を喜ばせているとか、人や社会の役に立っているとか、自分の仕事の良いところや面白いところなどの楽しみを見つけて仕事をしているから幸せなのである。
 
 
 
④他人は幸せだと思い込んでいる
 よくあることで、SNSなどで他人の煌びやかな生活を見て、「あの人は幸せに違いない」とと思い込むものがある。
 しかし、その人だってその人に起きた一番良かったこと、嬉しかったこと、幸せを感じたことなどを切り取って公開しているのだ。
 
 もしかしたら、いつも幸せだとは言えないかもしれない。
 もしかしたら、一緒に起きていた嫌なことや愚痴や縁起の悪いことは、読み手のことを考えてカットしているのかもしれない。
 或いは、もしかしたらすべて創作かもしれない。
 
 それなのに、勝手にいつも幸せだと勘違いして、勝手に自分自身と比較して、勝手にがっかりしたり、腹を立てたり、不幸を感じたりしているのだ。
 
 
 
➄あの人は自分を嫌っていると思い込んでいる
 多くの人が感じたことがあることだろう。
 しかしそれだって、実際に話をしてみるとそんなことはないのかもしれない。
 話してみると実は良い人だったとか、特定の話題で盛り上がって仲良くなったとか、そうやって進展していく可能性だってあるのだ。
 
 実際に嫌いだと言われているとか、現在嫌がらせをされているとかでないのなら、少なくとも仲良くなれる可能性はある。
 だから、勝手な先入観を持たずにニュートラルな姿勢と気持ちでいることと、挨拶ぐらいは普通に普段からしておくべきなのではないだろうか。
 
 
 
⑥最近の若者はダメだと思い込んでいる
 おそらくどの時代でもどの世代でも同じことを考えてきているし、言われてきていることであろう。
 
 確かに最近の若者は、礼儀を知らない。
 目上に対しても目下に対しても、口の利き方も知らない。
 自分の生きる国の歴史も成り立ちも知らない。
 漢字も碌に扱えないし、字も汚い。
 文章は読めるが、その意味も背景も行間も読めない。
 
 しかし、たとえ若い人であっても優秀な人は優秀だし、頑張っている人は頑張っているのだ。
 だから、良い人もいるし仲良くできる人もいると考えて自分より年下の人に接すると、その方が人生は楽になるし仕事などで一緒になってもうまくいくのだ。
 
 さて、「最近の若者はダメだ」と言っているあなた自身は、果たしてどうなのだろうか。
 そう言う前に、昔の人だってサボっている人はダメだし、そもそもダメな人だっているものなのだ。
 それよりも知らなければならないのは、「今どうなっているのか」である。
 
 自分が若かった頃に解明されていなかった物事が、解明されているのだ。
 科学や医学などをはじめ様々な分野や学問で、新たな事実が導き出されているのだ。
 自分が子供の頃に見てきた夢のような未来の話は、いくつも現実になっているのだ。
 自分が子供の頃には存在しなかった道具が考え方やたくさんあるのだ。
 自分より若い世代は、より確立されていることを学んできているのだ。
 私たちの生きている時間の間隔よりも、圧倒的に効率よく生きているのだ。
 
 そういった点ではむしろ大枠において、「いつの時代でも後から来る人の方が優秀」なのである。
 もしかすると、もう少し未来なら、天才の頭脳を既に幾つもインストールした状態で生まれてくる若者が当たり前になるのかもしれない。
 もはやそれは、信じられないほど優秀な若者なのではないだろうか。
 
 いいや、恐らくあなたにとって都合よく言いなりになってくれて、何でもしてくれる人物でなかったのなら、「最近の若者はダメだ」と言うのだろう。
 
 
 
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 さて、人間の性格や能力や価値は色々あるのだから、「○○こそが全てだ」などと思ったり、「○○と比べたら自分は不幸だ」謎と劣等感を感じたりしないことである。
 それよりも、広い視野で見て、行動して、経験していくことでこそ、新しい気付きを得ることができるものなのだ。
 
 間違って思い込んでいるのはただの認知の歪みくらいに思って、人生がうまくいかないとか損だとか言わずに、様々な角度からの捉え方や確認の仕方を身に付けたり、間違いだと気付いて修正するなどして、物事がうまくいくように、幸せになれるように考えて生きていくことが大切である。