①物事を深く味わう
心理学ではセイバーリング(savoring / 今起こっているポジティブな出来事や気持ちをしっかりと味わうこと)と言われ、例えば、
・早朝の外の空気を清々しく感じる
・食べ物や飲み物の味や香りを感じる
・仕事で一日頑張った後の達成感を感じる
というように、一旦立ち止まって世の中の何気ない日常を感じることである。
普段の生活では見過ごされてしまうほんの小さな喜びであっても、「嬉しい」、「ありがたい」、「おいしい」などという言葉を使って深く味わうことで、深い喜びとして脳に記憶される。
そしてそれらの記憶の中心に自己イメージが存在することになるので、幸せとか前向きという状態の中にいられる。
物事を深く味わう回数が多い人は特に良いことがない時でも、ポジティブな気分を維持できるだけでなく、ストレスに強かったりメンタル疾患になりにくくなることも分かってきている。
その反対に、物事を深く味わうことが少ない人は、一般的に大きな喜びを感じた時にだけ幸せで前向きな気持ちになるものと言われているそうだ。
しかしその一瞬だけ幸せということは、ある意味不幸なのではないかとも思える。
日常を深く味わう習慣を持つ人とそうでない人では、その見た目は一見何も変わらないが、日々の幸福感や充実とはまったく違ってくるものであり、幸せを味わおうと思えばいくらでも味わえるし、そうした分だけ幸せを感じることもできるし人生も楽しくなっていくのである。
②極端な二択で考えない
これは二分割思考とかゼロサム思考と言われたり、ゼロか1か、ゼロか100か、白か黒か、損か得かという考えで言われたりしている。
基本的にはこのような考えで物事を判断したり、物事を極端な二択で判断したりしない方がよい。
「幸福」ということについてはこの二択には当てはまらないからである。
誰かが褒められたら自分が惨めになる感じるとか、友達が新しいスマホを買ったら自分のスマホはポンコツに感じるとか、テストで100点が取れる人に比べて取れなかった自分は能力のない人間だとか、「他人との比較で自分の幸福度を測らない」ことが大切である。
幸福について言うなら、みんなで幸せになることもできるし、みんなで不幸になることだってできるのだ。
ちなみに、「みんな」とは、地球上の人間すべてという意味ではない。まさにその考えがそれである。
また、「自分だけ良ければいい」とか、「他人の不幸は蜜の味」などと考えているのも良くないだろう。
誰かが幸せになったからといって、自分の幸せが減ったり、無くなったり、奪い取られたりするわけではないからだ。
さらに、一番の原因は睡眠不足と言われているので、睡眠時間はしっかり確保しておくことが大切である。
だからこれからは、普段からしっかり睡眠をとり、身近な人に何か良いことがあったら自分のことのように一緒に喜んであげて、「それきっかけで、自分もついでに乗っかって、幸せになっちゃおう」くらいのことを思ってもバチは当たらないのではないだろうか。
③未来に楽しみを設定する
海外旅行でも、ディズニーランドでも、新しい車の購入でも、楽しみなことの予定が決まったら、おそらくその時には既に幸せなのではないだろうか。
そういう時には旅行の準備だって、帰りのお土産の多さや重さだって、ガソリン代などの車の維持費や洗車などの手間だって、その時には大して苦に感じていないどころか、楽しみの方が強烈に上回っていることだろう。
幸せとやる気のホルモンと言われているドーパミンは、楽しいことをしている最中に分泌すると言われる。
その上、そのもっと手前の段階の、「楽しい未来が待っている」と考えている時にも分泌していると言われる。
だから、準備中でもウキウキしたり幸せな気分になったりして、やる気も幸福感もアップするのだ。
また、例えば「仕事の後の一杯が楽しみで頑張る」という人も、「酒でも飲まなきゃやってられない」という人も、仕事の後に酒を飲んでいるという点では同じ行為をしている。
しかしその違いは「楽しみ」として設定しているかどうかだけであり、だからこそ、やるべきことをやった後の楽しみが見えている人にはドーパミンが分泌されて仕事にも身が入るのだ。
まったく同じ物事であっても、未来に楽しみを設定できるかどうかの差は大きいのである。
ということで、前向きに生きるためには、
①まずはよく眠り、
②これからやることの中に楽しみを設定し、
③一日を深く味わいながら楽しんで生活する
ことで、今より少しくらいは前向きさを感じたり、忘れてしまっていた分を取り戻したりすることができるだろう。