いい人こそ損をしないために

 
 世の中では良い人にも悪い人にも出会うが、その中でも良い人には良い人生を送ってもらいたいと思うものだし、いつまでも健康で幸せでいて欲しいと思うものである。
 そして、またどこかで会う機会があれば良い時間や経験を共にしたいものだし、そのためにも自分もこれからまた頑張っていこうとさえ思えるものだろう。
 
 しかし、明るい笑顔を振りまいていても、いつもせっせとよく動いていても、周りに気配りをしていても、どうもうまくいかない時もあるものだ。
 以下の点を心に留めておき、いざそうした時に思い出したり、前もって自分の身に付けておいたりしたいものである。
 
 
 
①自分の機嫌は自分で取る
 何か周囲や社会の役に立ちたいと思うのならば、まずは最も身近な存在と言える自分のことを大切にすることである。
 自分にとって良い時間をたくさん過ごし、よく寝て、美味しいものを食べて、趣味や体を動かす活動などを楽しむ。
 一生懸命頑張って生きている自分のことを自分自身が最も大切にするからこそ、機嫌が良くなっていくのだ。
 
 その機嫌が高まっていくからやがて上機嫌となり、身近な人たちから優しくできたり、親切にでき始めるようになるのだ。
 だから自分自身が上機嫌になるまでは、まず先に自分で自分のことを大切にし、余裕がある時には周りの人にもお裾分けをするという考え方でいた方が良い。
 
 そうでないと、「こんなにしてあげたのに」という感情にとらわれていき、果ては「なぜだ」となってしまう。
 そうして不幸が始まっていく。
 やがて人が嫌いになり、協力することもなくなり、人間関係も少なくなり、輪をかけて不幸になっていくのである。
 
 そうではなく、まずは自分を大切にして機嫌を良くしておき、余裕ができたら周りの人に分け与えるから優しく親切にでき、良い人間関係ができ、充実した日々になっていく、という流れが本来なのだ。
 だからまず最初は自分で自分の機嫌を取ることから始める必要があるのだ。
 
 さて、自分の人生で最も身近な存在である自分自身は、一体どんなことをしてあげると上機嫌になるのだろうか。
 そんなことを発見したり思い出したりすために自分を見つめ直す時間を作るだけでも、一歩前進であると言える。
 
 
 
②簡単に差し出さない
 自分の貴重な人生、お金、時間、感情といったものを、簡単に他人に差し出さないことである。
 「ただいいように扱われるな」、「他人にとって都合のいいだけの人間になるな」と言っている。
 
 嫌な感情やネガティブな感情を、そのまま受け取ってそのまま溜め込む。
 これが良くない。
 まずはここを何とかするのが一歩目である。
 
 何か失敗した出来事が起きても、そのまま「ツイてない」と思ってしまったら、感情はネガティブなままである。
 しかし、「怪我をしたりさせたりしなくて良かった」と少し解釈を変えてみるだけで、意外とニュートラルに冷静さを保っていることができるのではないだろうか。
 もちろん、失敗したのと同時のタイミングでそうはならないので、少し後になってからの話にはなるから、「慣れ」と「こんな感じの感覚」というものは必要だろう。
 
 また、何か集団行動で、少し嫌な人がガツガツと主導権を持って進めている時に「嫌だなあ」と思って同じ時間を過ごすことはできるだろう。
 しかし、「多少嫌なところがある人だけど、もしナヨナヨとした頼りないリーダーで、そのせいで全員で失敗する可能性を考えると、それ比べたらずいぶんマシだ」と思って同じ時間を過ごすこともできるのだ。
 
 このように、事実を受け止めるにしても、その時に同時に何かを感じるにしても、少し解釈を変えるだけでちょっとしたストレスの中にもプラスの面を見つけ出し、前向きになることができるのだ。
 実際に、簡単に自分を差し出さないようになるには、場数や自分の考え、主張、軸などが必要になるだろう。
 しかし、ちょっと考えてみることすら放棄し、簡単に自分を差し出して身にならない時間を過ごしてしまうよりも、こうした解釈の仕方や様々な考え方を身に付けて、これらを増やしていきつつ自分の実力も伸ばしていく方が、よほど自分のためになると言える。