他人との信頼関係を築くためにまずできること

 
 「人から嫌われたくない」と思う割合と、「他人から信頼されるためにはどうしたらよいか」と考える割合では、どちらの方が多いだろうか。
 表裏一体の表現ではあるかと思うが、自発的、能動的、積極的な人というのはそう多いものではないだろうから、恐らく前者の考え方の人の方が多いのではないだろうか。
 
 ちなみに筆者は、気持ちが下がっている時には前者の割合が多くなる。
 基本スタンスは後者でありたい。
 
 
 
 職場であっても学校であっても、「人から信頼される人になりたい」と、誰でも一度は思ったことくらいはあるだろう。
 人から信頼される人になるためにまずできることは、「自分を信頼すること」である。
 
 自分を信頼することなしに、何でも「どうせやっても無理だ」と思ってやっているのでは、自分を信頼していないことと同じだ。
 その反対に、今まで自分がやってきたこと、身につけた能力や経験などを信頼することができれば、簡単に無理とは言わないはずだ。
 
 自分自身を信頼することができない人が、赤の他人を信頼することができるかと言ったら、そんなことは万に一つもない。
 他人を信頼できない人が、他人から信頼されるかと言ったら、それ以上にない。
 人から信頼されたいと思ったり、他人と信頼関係を構築したいと思うなら、まず自分ことを信頼することだ。
 
 
 
 そしてそれができたら、次は「自分から他人を信頼していく」ことだ。
 自分考えや言葉、行動は、自分の意志で決めることができる。
 しかし、他人はこちらからコントロールすることはできない。
 それを考えると、確かに他人を信頼するのは難しいと思うのは正しいだろう。
 
 だからこそ、まずはその一段階前として、「自分を信頼する」というところから始めなければならない。
 何度練習を兼ねたって構わない。
 
 自分を信頼できない人は、他人を信頼することもできないし、他人から信頼されることもない。
 何度でも言うが、自分でコントロールできる自分自身のことを信頼することができないのに、まったくコントロールすることのできない第三者を信頼するということなど、できるはずもないのだ。
 信頼に限らず、「愛されたい」とか「好かれたい」とかいうことも、同じことである。
 
 こういうことは、「まず自分のことからやっていく」ところから始めるとよい。
 コミュニケーションや交流というものがキャッチボールに例えられる時のように、「自分が良いボールを投げれば相手からも良いボールが帰ってくる」のだ。
 「良いボールも投げられないし、投げ方も分かりません」というのなら、やはり結果はそれなりのものにしかならない。
 だから、良いボールを投げられるようになるためにも、まずは自分のことからやっていくことが大切なのだ。
 
 
 
 少し客観的に見ればわかりやすいと思うが、他人を信頼することができなかったり愛情を育むことができない人が、無制限や無条件の信頼や愛情を得ることができている場面を想像してみると、かなり不自然であることが分かるはずだ。
 本来、自分があって相手があるから成立するはずのことなのに、自分のことをさておいて相手のことしか見ていないから、おかしなことになるのだ。
 
信頼関係を築いていくためには、次の順序である。
 
 ①まず自分自身を信頼する
 ②次に相手のことを信頼する
 ③結果として他人からの信頼が返ってくる
 
 まずは、できる範囲からで良いので、自分のことをよく見て信頼できるところをきちんと認めて信頼する。
 相手との言葉のキャッチボールも、まず自分からポジティブなボールを投げられるようにし、相手から受け取ったボールに対して、ポジティブなボールを投げ返していかれるようになることだ。
 
 また、そうしていくことで、自己洞察や自発性の他にも、前向きな気持ち、親切心や寛大さ、約束を守るなどの誠実さ、感謝の心なども育まれていくことだろう。
 自分と相手との間でこうした見えないものが積み上がっていくからこそ、他人からも信頼されるようになっていくのである。