過去のトラウマのような出来事を乗り越えるためには、その時の辛い苦しい経験に直面し、しっかりと観察して受け止めることができて初めて乗り越えることができるものだろう。
また、そのような心的な負担を乗り越えないと前に進めない場合、そうした苦労や苦痛、精神的な葛藤などと向き合う覚悟があるのであれば、「何とかして解決できる方法を探し出して対応する」ということを試みることができるのもしれない。
一方で、今のところ苦手なものや思い出したら辛くて落ち込んでしまうようなことは、それはそれとして一旦置いておき、自分の長所や得意分野となるところに注目してそこを伸ばすという方法もある。
「強みや得意分野を作って伸ばしていくことで苦手を薄める」と言ったら適切ではないかもしれないが、「自分自身で自分のことを支えられるようになるための軸となるものを増やす」と考えれば、かなり有効な方法だと言えるだろう。
学校の勉強や資格試験などでは、苦手な分野があると総合評価として低い点数になってしまうことが、確かにあるだろう。
しかし社会生活では、一つや二つくらい欠点や短所があったとしても、「他の部分で補う」ということもできるし、仕事であれば「他の人材を使う」とか「他の機会を狙う」ということもできるので、自分のできない部分にばかり注目し過ぎて気分が滅入ったままだとかえってよくない。
或いは、短所や欠点を補わずに乗り越えようとするにしても、「できるだけ楽な方法を探したり人に聞いたりして選ぶ」ということもできるだろう。
もしかしたら一旦保留にしておいたことが幸いして、「自分がこれまで伸ばしてきた長所や新しく身に付いた力や経験などを組み合わせて、自分の短所や欠点を補う」という方法も見つかるかもしれない。
そうすれば、「短所や欠点を無理やり克服しようとせずに一旦横に置いておく」という選択肢も、それほど悪いものではないのかもしれない。
中には「自分が一番苦手で苦しいと思うようなことでも、できるまで何回もやって克服しなければならない」という覚悟を持って取り組む選択をする人もいるだろう。
或いは、その人はどうしてもその選択肢で力ずくでも何とかしなければならない状況なのかもしれない。
また、「楽しいと思えることや長所を伸ばして行った方が、楽な気持ちで楽しみながら生きていける」という考えは、シビアな世界で生きている人たちにとっては甘い考え方なのかもしれない。
しかし、その「人生をどれだけ楽な気持ちで楽しめるか」ということも他には代え難い視点なので、忘れてはならないのだ。
とりわけ、過去の辛い出来事を乗り越えたい時には、大きな支えとなる考え方だろう。
自分の長所や得意分野を伸ばしていくことで、今までだったら辛かったり困難にしか見えていなかったはずの現象が、前向きな気持ちで挑戦できる対象として見えるようになるとしたら、最初からそうしておくに越したことはないのである。