大切なことを相手に伝えるために大切なこと メモ

 
 大切なことは繰り返し主張される。
 また、大切だから繰り返し伝える。
 
 例えば100人編成の音楽のバンドで、全員がその大切なことに向かって取り組んでいるのであれば、毎日同じようなことばかり繰り返し言われることはないが、実際に見てみると1割くらいの人しか取り組んでいないから何度も言われるのである。
 
 別に音楽に関わらず、大抵の場合は同じことが言えるだろう。
 
 理由の一つには、「人間は、1回や2回言われたくらいでは行動を起こさない」ということがある。
 決して、誰か特定の人やグループを避難しているのではなく、言われる側の人たちを見下しているのではなく、単純に、人間の習性や傾向という観点から言っているのである。
 
 
 
 「いつも言うこと聞かないんです、あいつら。」という人がいるが、「何回言ったんですか?」と聞くと、「もう3回も言っているのに、全然やらないんです。」と言う。
 経験上、最低でも、0が1つ足りないだろう。
 
 大切なことは、大切だからいつも言っておくのだ。
 だから大切なのだ。
 
 大切なことができていないと、どうでもいいようなきっかけで大きな失敗を招きかねないのだ。
 言われた人たちが行動に移して実際に身につくまでの時間も、早くても3ヶ月から半年くらいは見ておいた方が良いだろう。
 
 さっさとやればあっという間にできるようになるのに、やらない。
 多くの人は、何度も言われないとやらない。
 「成功のためには、それをやることが必要だ。」ということがそもそも頭の中に存在しないからなのだ。
 
 そして、無情にも時間切れとなる。
 だから、大切なことは最初から何度も言っていく必要があるのだ。
 
 
 
 また、大切なことを伝える側も、分かりやすく伝えるために、何度も繰り返し伝えて、言葉を洗練させていく必要がある。
 ただ、言い方や表現がいつも同じだと飽きられてしまうし、反発するきっかけを与えてしまうことにもなりかねないので、いつも全く同じやり方というのは変えていかなければならないだろう。
 例えば、「やりなさい 」だけを何度も言うのではなく、やった結果得られた効果や、前例や、話の切り口などを、その都度1つずつ変えて言っていくのである。
 
 指導者やその経験が一度でもある人にとっては一見回りくどいことなのかもしれないが、分かる部分もあるかもしれない。
 大切なことを何度も繰り返し言われることで、初心者でも経験の浅い人でもスッと頭に入るものだし、大会や本番などでいざ力を発揮しなければならないようなときに、集中力が低下していたり体力の限界が近づいていたりしていても、いつも言われていることというものは、思い出しやすいものなのだ。
 
 もしも、「自分には、他人にどうしても伝えたい大切なことがある。」という人がいたら、1回や2回で終わらせず、何度も伝えた方がよい。
 自分の頭の中に、クラスメイトの○○さんにとって大切なことが全然入っていないのと同じように、あなたにとって大切なことも相手の頭の中に入っていないかもしれないと思って、手を変え品を変え、言い方を変え、話の切り口を変え、何度も何度も伝えていくことが大切である。