考えても仕方がないと分かっているのにぐるぐると不安なことが巡ってしまう時には、頭の中にあることを言葉にして書き出すと良いと言われている。
とりあえず思考停止状態になってしまう前に、何とかしようと不安なことを書き出してみたはいいものの、次はどうしたらよいだろうか。
心理学ではよく言われていることなので、今更あっと驚くこともないだろうが、最初の一手だけを知って次の手を知らなければ、やはり手詰まりしてしまうだろう。
手品もタネが分かってしまえば「何だそんなことか」となるように、不安もその仕組みが分かれば何とかできることも増えるはずである。
①書き出す
不安なことを箇条書きにして書き出す。
その際に番号を振ってから書いていけば、悩み事が何個あるかが分かる。
書き出す先は、100均で買える名刺サイズぐらいのカードがよいだろう。
②仕分けする
書き出したカードを3つに分ける。
・今すぐできること
・今すぐでなくてもよいこと
・自分には解決できないこと
③「自分には解決できないこと」のカードを捨てる
④「今すぐできること」のカードのうち、できそうなことから取り掛かる
まずは紙に書き出し、モヤモヤと頭の中にあるものが言葉として整理されることで、気持ちが楽になる。
そして、「今すべきこと」が見えてくるようになる。
実際に行動に移して解決していけば、一つずつ不安は減っていく。
「自分には解決できないこと」については、今考えても仕方がない。
何か必要な力をつけるなり、周りに助けてもらいながら解決に導く道筋をつけるなりするというように、一足飛びにできないこともあるのだ。
また、行政レベルや地球規模の問題ごとや、自然の摂理、他人の考えや行動など、不安ごとの解消にあたって人間一人の力ではどうしようもないことは、今の時点では考えるだけ時間の無駄と言えることがほとんどだろう。
そうしたことばかりに関心を向けているよりも、まずは自分の身の回りでできることから一つずつ解決していくことを優先すべきだろう。
世の中のことを知って問題意識を持って生きることは確かに大事なことなのかもしれない。
しかし、現時点での問題や目的としては「今不安に思っている気持ちが解消されること」である。
だから一先ずは、後回しにするなり、諦めるなり、権力や財力のある自分以外の誰かに任せるなどして、今は自分のことに集中することを優先させた方がよい。
「今すぐでなくてもよいこと」は後回しでもよいのだから、カードはとりあえず取っておいて、今すべきことが終わった後に見返してみるとよいだろう。
再び読み返した時には、「知らない間に解決されていた」とか、「実は取るに足らない悩みだった」とかいうこともある。
もしかしたらその時には、以前に悩んだり不安に思っていたことよりも、新しく力を注ごうと思える対象が見つかっているかもしれない。
不安は、脳の扁桃体の興奮状態なので、そこには現代に生きる人間には既に必要のなくなった問題に対して、古くから人間の持っている本能が反応してしまっているだけ、という状態もあるのかもしれない。
そうした見方をしてみれば、「止められないものは仕方がない」ということもあるのではないか。
しかしとりあえずは、不安に思っていることを書き出してみて、今自分が穏やかに幸せに生きるために必要なことから取り組んでみるとよいだろう。