周囲に溶け込めない、打ち解けられない時にどうするか

 
 「自分から話しかけて、受け入れてもらえなかったらどうしよう」と思って不安がこみ上げてきたり、自信を持てなかったりすることがある、という人がいる。
 そして、最初の一歩目を踏み出すのに躊躇してしまう。
 
 筆者も子供の頃、学校の授業で「二人組になってください」と言われると、何とも言えない息が詰まるような思いがするものだった。
 また、無作為に選ばれた音楽で「自分でダンスを創作して、感情を体で表現してください」などといったような、経験したことのないことが突然降りかかると、全く対応できずにいたものだった。
 
 まずは、「そうした経験は自分だけでなく誰にでもある」ということを知ることだ。
 そして、「自分にできるかどうか」とか、「どうしよう」とかでなく、「やる」しかないと決めることである。
 
 
 
 さて、周囲に溶け込めなくて悩んでしまうことは、簡単に言ってしまえば「一人ぼっち」だということだ。
 例えば、何かの集団に初めて参加した時に、そこにたった一人で参加したという場合なら、自分の他にも一人でいる人はいないか探してみるとよい。
 自分と同じような状態の人は割といるものだから、こちらから声をかけてみて、一人ぼっち同士で繋がってみるとよいだろう。
 
 周囲に溶け込んだり打ち解けたりするということは、「人と仲良くする」ということである。
 人と仲良くなるためには、「自分はあなたに対して好意がある」ということを示さなければならない。
 要は、こちらからコミュニケーションを取っていく必要があるのだ。
 
 知らない人にこちらから声を掛けるのは抵抗があるかもしれないが、少なくともこの例で言えば同じ目的で来ているだろうから、多少は声をかけやすいはずである。
 ということで、「自分と同じように一人でいる人を探してみる」とよいだろう。
 
 
 
 また、ちょっと緊張するのは最初の一回だけということは知っておいた方が良いだろう。
 なぜなら、人と仲良くなるには、その相手と何十回もコミュニケーションを取る必要があるからだ。
 仲良くなるまでにはいかないとしても、少なくとも周りの人たちと打ち解けるには、コミュニケーションの回数がたった一回だけで済むはずがないのだ。
 
 さらに、普通は「既にできている友達の輪に自分も入れてもらおう」と思うのかもしれないが、もしかしたら、友達の輪に入っていない人同士の方が、自分との共通性をより多く持っているかもしれない。
 そう考えれば、その人と仲良くなれる可能性が高いと思えるだろう。
 
 人は、自分と共通点を多く持つ人と仲良くなりやすいという傾向がある。
 話が合うからだ。
 だから、自分と同じように周囲に溶け込めずに困っていそうな人がいたら、うまく繋がれる可能性が高まるのだ。
 
 
 
 ところで、断られたら嫌だ、避けられたら嫌だ、嫌われたら嫌だ、というような不安は誰にでもあるだろう。
 直球で悪いが、それはそうなってから考えればよいことである。
 
 普通に接していれば余程のことでもしない限り「いきなり一発で拒絶するほど嫌われて、その後も巻き返しできない」ということはまずないだろう。
 とりあえずは、「2、3回くらいは断られるような経験があるかも」くらいにと思っておくとよい。
 めげずに4回、5回と続けていけば、そのうち好意的な反応が帰ってくるものだ。
 
 また、たとえ一回断られたことのある人であっても、趣味が同じとか、推しが同じとか、そうした理由である日突然距離が縮まるということもある。
 これが、嫌われたり断られたりすることを怖がったり、不安なままほったらかしにして話しかけないでいたら、相手との関係性はゼロのままである。
 
 だから、今やっている趣味でも、好きな○○でも、少し振り返っておくと良いかもしれない。
 何か共通の話題が一つでもあると関係性は深まりやすいものなのだ。
 
 
 
 結局は、自分の好きなことでも、得意なことでも、最近ハマっていることでも、何か共通の話題をきっかけにして自分から声を掛け、距離を縮めていくということをしない限り、人間関係が勝手に広がっていくということはほぼない。
 
 また、その手前として、例えば「今お一人ですか?」とか、「私は初めて参加したのですが、あなたは?」とか、「私も一人で心細いので、ご一緒していいですか?」とか、こうした入り口のやり取りがなければ、その先もへったくれもあったものではない。
 
 まずは「自分から」ということで、ちょっとだけ勇気を持って一歩踏み出してみるとよいだろう。