ネガティブなことばっかり言う人にどう対処するか

 
 結論として、その人の3倍以上ポジティブなことを言っていくとよい。
 
 自分自身はネガティブなことを言うくせに、他人からはネガティブなことを聞きたくないという人というのは、よくいる。
 確かに筆者自身としても、できる限りそうはしたくないのだが、肉体的な調子や精神的な調子の波によっては否定できないかもしれない。
 
 また、音楽指導をしていると、初心者のうちは不安になったり、できないことに開き直って本来の練習内容と違うことをやったり、できない理由を延々と述べたりしやすい。
 特に、子供向けだと顕著に現れるだろう。
 ただこの場合は、「頑張ったことを認めてもらいたい」という思いが根底に強くあることが多いので、まずはそこを真正面から受け止めてあげる必要があり、ポジティブなことを言っていくのはその後になる。
 
 
 
 さて、筆者の余談はそこまでとして、大人でネガティブな人は何とかならないのだろうか。
 率直に言うと、何ともならないだろう。
 なぜならば、その人はその年齢になるまで、その環境で生きてきているからである。
 
 ある程度、他人の気持ちを察したり、人の目を気にしたり配慮ができる人というのは、何ともならないというようなことは起こらず、たまにネガティブなことを言うことはあるにしろ、大抵は「言い過ぎかな」とか「やっぱりやめておこう」と思えば、自制して自分からサッと引くものだ。
 だから、ネガティブな環境にどっぷり浸かったまま生きてきた人を、ネガティブなことを言わない人に変えられるのかと言ったら、難しいだろう。
 
 せめてできるのは「そうなんだ、大変だね。」などと、「できるだけポジティブな相槌を打って、聞き流してあげること」だ。
 相手がまだ若い年齢の人だったら、今回のあなたとのやり取りを良い機会として何とかなるかもしれないが、年を重ねていればいるほど変わりづらく、こちらが変わってあげるしかないことがほとんどだ。
 
 というよりも、他人を変えるということはできないので、自分自身が知らないうちにネガティブな影響を受け過ぎないように、もっと楽な気持ちで話を聞いたり、サラッと受け流したり、共感してあげたりする力をつけていく方が大事なのである。
 また、「そもそもそういうことを言う人」なので、「ネガティブなことを言ってくるぐらいしょうがない。いつも通り。」と思って、ある程度のことは予測しておけば、それなりの対処もできるだろう。
 しかし、準備も対策も何にもせずにネガティブに巻き込まれて、自分までネガティブになることは、避けなければならない。
 
 
 
 基本的には、もしネガティブなことを言っている人がいたら、周りが何人ネガティブだろうと自分だけは会話の中にポジティブな発言を多く入れていった方がよい。
 そして、全体として、ネガティブな発言とポジティブな発言の比率が1:3以上になるようにしていくとよい。
 つまり、「相手がネガティブなことを言ってきたら、自分はその3倍はポジティブなことを言う」ということだ。
 
 相手がネガティブなことを言うからと、こちらもネガティブなことを言って対抗することはない。
 先にも述べたが、同じように対応してしまうといつか飲み込まれてしまうからだ。
 それよりも、こちらの方がより多くポジティブな発言をして、相手をこちら側の世界へと引っ張り出してあげるつもりでやることだ。
 
 そうすれば相手だって、最初のうちは回数が少ないかもしれないが、ポジティブな発言を一つくらいポロッと漏らし始めたりするものである。
 他人を完全に変えることは難しいかもしれないが、口癖、ノリ、些細な反応など、何か小さなことでも、少しでも変わるようなら、それだけでもきっかけとしては十分過ぎるほどマシと言えるだろう。