まず最初に言えるのは、最初から高すぎる目標を立てないこと、絶対できる目標を立てることである。
不可能だなと思えるようなことを最初に立ててしまうと、叶いづらくなったり回り道をして疲れ果ててしまう。
そうして無気力になったり、目標を立てるのが怖くなったり、「また叶わなかったら辛いな」と思ってどんどん沈んでいってしまうのである。
そうならないためにも、大きな目標を立てた後、差し当たって今できることに落とし込んでいく時に、達成できるレベルにまで小さく分解して、中目標や小目標というものを設定するのである。
小さな目標は、ちょっとやればすぐに達成できるようなことが望ましいだろう。
そうすると、「目標達成グセ」がついていくことになる。
すぐに達成できるような目標、絶対達成可能な目標というのは、例えば、「やれるところまでやってみる」である。
やれるところまでやったのだからその時点での目標は達成するし、自分の今のペースも測ることができる。
さらに、今の目標を10分の1ぐらいのレベルにしたほうがいいとか、10分割にしてステップ分けしたほうがいい、などということも見えてくるようになる。
目標は小さく分けずに大きなままにしておくと失敗しやすいのだ。
例えば、「歌手になりたい」とした時に、今の時点でどのような努力をしているのであろうか。
夢や目標を語ったところで何もしていないのであれば、何も実現するはずはない。
「1曲自作した」とか、「路上ライブをした」とか、「バンドを組んで練習室を借りてリハーサルしてみた」とか、「とりあえず1曲作って動画サイトに上げてみた」など、何かやっていないと進んでいかないのだ。
重ねて言うが、世の中、何の努力もしないで夢が実現することはない。
がむしゃらにやるのもいいが、せっかく「こうなりたい」というのがあるのなら、それを細分化していくとよい。
そして、どの順番で進んでいったら適切かというのを考えたり、必要なものを考えたり、辿れそうな人脈を考えたりできれば尚良いのだろう。
最初は誰だって、思いつきのようなものを強引に形にしたようなちぐはぐな出来だったり、幼稚でこっ恥ずかしい表現だったり、笑っちゃうくらいヘタクソなレベルだったりするものだ。
だから、必要以上にしり込みする必要もないだろう。
ちゃんと物事に向き合ってやっていけば、やってるうちに手順が体に馴染んできて頭で考えるよりも体が先に反応するようになったり、「○○といえばコレ」というように理論や決まり事に則っとって進めていかれるようになるものなのだ。
その中で、「もっと良いものを作りたい」という気持ちから新しいことに気が付いたり、本当に良いものがあれば誰かの目に留まって評判になるものだし、色々とやりようもあるし色々な反応もあるのだ。
もし本当に才能があったり、歌声が美しかったり、職人の域に達するような精密なものが作れたり、誰にも追いつけない速さで何かの作業ができたりすれば、例えばネットならバズったり、継続してじわじわと拡散して行ったりするのだろう。
筆者はネットでバズったことはないが、作編曲や音楽指導などが口コミで広がって依頼に繋がっていったということは、かなりマイナーで狭い世界の範囲のことだが、少なからずある。
というように、何かをすれば無限に可能性は広がっていくのだが、何もしなければ何の結果も出るはずがないのだ。
また、生きているうちにどうしても達成したいという大きな目標というものも、時には持つこともあるだろう。
最初に立てる目標というのは、大きすぎるか漠然としていることが多いので、それを詳しく描いたり言葉や文字にしてみた次のステップは、10分の1ぐらいのサイズに小さくしてみたり、10ステップぐらいに分割してみることで、現実味を帯びてくるのだ。
その時のコツは、「そのために今できることは何か」と考えることである。
自分が何かやりたいこと、夢でも目標でも願望でも、何かあれば「とりあえず今できることは何か」ということを自分に問うてみるとよい。
それをできるだけ書き出してみて、より正確な言葉にしてみたり、順番を決めてその中の1つを実際に行動に移してみるだけでも、物事はどんどん進んでいくことになる。
そういうことを地道に1個ずつやっていくのだ。
ちなみに筆者が渡米して音楽の世界大会に出たいと思っていた当時の取っ掛かりとなったことは、とあるバンドの連絡窓口の担当者に「私もそこでプレイしてみたいのですが、あなたのバンドでは外国人を受け入れていますか」とメールしたことだった。
「英語を勉強しなきゃ」とか、「バンドを探さなきゃ」とか、「外務省のホームページを見なきゃ」とか、「パスポートを作らなきゃ」とか、「貯金をどのように使おうか」など様々なことを書き出してみてはいたが、このように、最初の一手目の小さな目標なんて30分ぐらいあれば達成できるようなことなのである。
ちなみにその20分後には返信があって、ざっくり言うと「OK、受け入れてるよ!オーディションは○日と○日だよ。とりあえず自分がやってる基礎演奏をビデオで送って。ホームステイとかの滞在先はこの人に連絡するといいよ。実際に会えるのを楽しみにしているよ!」となった。
あれこれ悩んで思い詰めてしまうよりも、ある程度の段取りを組んだら実際に動いてみるのが良い、ということを体感した出来事だった。
誰でも、最初に大きな目標を設定することで、何をしていいかわからなくなるものだ。
例えば「お金持ちになりたい」と思っても、「いくらぐらい稼げば良いのか」とか、「どのような生活水準になればそう言えるのか」とか、「そのお金を稼ぐためにはどうすればいいか」とか、「必要なのは出世か独立か」など、どんどん分割していかなければならない。
そうしないと、やるべきことも気づけないまま終わりがきてしまう。
大切なのは、ToDoが伴わないこと、ToDoに落とし込めないこと、というような漠然とした大きな夢は、まず実現しないということである。
大きな目標を持った時は、「では、そのために今できることは何か」と考えて書き出してみて、それらを小さく分割したり分解してステップ分けをしたりしていくと良いだろう。