人様のことなどとても言えたものではないが、ごく稀に度をこして非常識な人や、嫌味を言う人や、侮辱的な言葉を言う人などと場を同じくしてしまうことがある。
こういう時にイライラしたりムカムカすることは誰にでもあるだろう。
そして、その時のストレス度合いが大して問題ない状態なら、「毎日あるような小さなストレスだな」くらいの大らかな気持ちで受け流したりすることができるが、こういうことをやり過ごせずに溜め込んでしまうような周期に陥っている時は、やはり辛いものである。
ストレスにやられず、精神的に病んでしまわないようにするためには、「日々の小さなストレスを上手に受け流す」ということが大切であるが、ではどうすればよいか。
一つには、「そういう人もいる」と考えることだ。
表に出ていれば、例えば電車に乗っている時などにマナーの悪い人を見かけることは、何十人かに一人くらいの割合であるものである。
しかし、そこに対していちいち腹を立てていたらキリがないし、毎日外に出る度にそのような光景を見るにつけ腹を立てていたらストレスだらけになってしまう。
こういう場合は「そういう人がいるなあ」と思って受け流すのだ。
もし、明らかに一方的に不特定多数の人に迷惑をかける行為だったり、犯罪めいたことををしているような人だったら話は別だが、ここで受け流しずに腹を立てていると、大事な時間を使って自分が損をするだけなのである。
そもそも、身近な人ですら他人を変えるということはほぼ不可能なことなのに、まして見ず知らずの他人に対して、なぜそこに時間とエネルギーを使うのか。
また、例えば職場の上司が怒りやすくて言葉遣いも荒い人だったとして、そういう人がこちらにイライラをぶつけてくることも時にはあるだろう。
その人はかなりの確率でイライラしやすい性格の人なので、「いつものことだなあ」と思って受け流しておき、仕事は仕事として割り切って、その人とはドライな関係でもいいからやる仕事をきっちりこなせばよいのだ。
他人のネガティブな特徴を発見する度に腹を立てているよりも、仕事もバリバリこなし、自分の人生をもっと健康的に楽しく生きられるようにしていくべきである。
さて、「十人十色」という言葉があるが、辞書の上では10人いれば色々な人がいるという意味だろうが、現実の十人十色としては、優しい人、親切な人、思いやりのある人もいれば、変なことをする奴がいたり、怒りっぽい人、マナー違反をする人、人の感情を逆なですることに喜びを感じる人もいるということだ。
だから、その度ごとにそこにいちいち反応するのは、精神エネルギーの無駄であり人生の無駄なのである。
また、「1対2対7の法則」と言われるように、例えば自分の職場などで10人いたとしたら、あなたのことを嫌う人が1人、好きになってくれたり応援してくれる人が2人いて、残りの7人は中立的な人だったりするものである。
その中で、あなたのことが嫌いな1人に注目するよりは、自分にとってプラスになる関係にある人や、プラスになるように働きかけたいと思える人に時間を使った方がよほど良いことだ。
そう考えれば、「ネガティブな人に注目するか、ポジティブな人に注目するか」という二択で、ストレス度合いも人間関係も大きく変わっていくのである。
あなたの貴重な時間やエネルギーは、あなたのことを大切にしてくれる人のために使えばよい。
そうするからこそ、一生懸命良い関係を築こうとしたり、仕事で恩返しをしようとしたり、後進の育成に充てるなどのポジティブな関係性を深く築き上げていこうとすることができるのだ。
怒りが込み上げた時は、「どこに注目するか」という視点が大切であり、ただそうしてみるだけで「ストレスは自分次第」だということを思い出させ、一瞬のうちに平常心の状態に戻すきっかけを掴めるようになるのである。