不安な気持ちを鎮める方法|扁桃体を落ち着かせる習慣

 

 「どうしよう」「もし失敗したら…」
 そんな不安や心配事が、頭から離れなくなることがあると思います。

 不安な気持ちが強まっているとき、脳の中では扁桃体という部位が興奮していると言われています。
 扁桃体は、もともと危険を察知し、「戦うか逃げるか」を瞬時に判断するための重要な部位です。
 原始時代であれば猛獣から身を守るために不可欠な働きだったそうです。

 しかし現代では、会社のストレスや対人関係の悩み、将来への心配などが続くことで、この扁桃体が過剰に反応し続けてしまうことがあります。
 すると、些細なことでも不安が膨らみやすくなり、感情が不安定になってしまうのです。

 薬や医師の診断が必要な場合もありますが、それと同時に、日常生活の中で扁桃体の興奮を鎮めていくことも大切です。
 ここでは、自分でできる具体的な方法を整理してみます。

 

 

1. 不安の正体を知る

 不安の正体は「扁桃体の興奮」です。

 扁桃体には、大昔には「人間の本能として戦うか逃げるかを瞬時に選択させる」という役割が主だったのだそうです。
 現代で言うなら、「早く何か行動しろ」という「脳からの指令」がその正体の中身と言えます。

 もし、感情が抑えきれないような状態の時に黙ってじっとしていたり、寝転がったり座ったままでいれば、不安や苛立ちは一層強まってしまうでしょう。
 衝動に突き動かされて、取り返しのつかない行動をとってしまうなら、別の行動で置き換えてしまう方が現実的ですよね?

 何もせずじっとしていると、不安や焦燥感は強まりやすくなります。
 だからこそ、別の行動に置き換えることが有効なのです。


 体を動かす。
 光を浴びる。
 眠る。
 話す。
 言葉にする。


 そうした小さな行動の積み重ねが、脳の状態を整えていきます。

 

 

2. セロトニンを高める生活習慣

 不安や衝動が強いとき、多くの場合はセロトニンが低下している状態だと言われています。
 セロトニンは感情を安定させ、ドーパミンやノルアドレナリンを調整する働きを持っています。
 これが十分に機能していれば、普段から落ち着いた状態を保つことができ、カッとなっても踏みとどまることができます。


①睡眠を7~7時間半以上とる

 まず整えるべきは睡眠です。
 夜更かしを控え、できるだけ一定の時間に眠り、一定の時間に起きる。
 生活のリズムを整えることが、感情の安定につながります。

 睡眠不足は扁桃体を興奮させやすくします。
 6時間以下の睡眠が続くと、脳では強いストレス状態にあると判断されやすくなります。


②朝に日光を浴びる

 起床後、日光を浴びながら散歩をすることでセロトニンが活性化するとされています。
 朝の光を浴びるだけでも効果があると言われますが、軽く体を動かすとさらに良いでしょう。

 朝から「○○が起きたらどうしよう」と考え続けるよりも、まずは外に出て光を浴びる。
 それだけでも、脳の状態は少しずつ変わっていきます。


③運動をする

 運動は、不安を鎮める最も有効な方法の一つとされています。
 中強度以上の運動、例えばジョギングやジムで汗をかく程度の運動、やや負荷のかかる筋トレなどが効果的です。

 全力疾走や筋トレの最中に、不安なことを延々と考え続けるのは難しいですよね?
 体を動かすことに集中することで注意が分散し、扁桃体の興奮も落ち着かせることができます。

 夜中にイライラして眠れないときは、腕立て伏せを20回。
 それで足りなければ腹筋やスクワットを20回。
 10回ずつ区切るなど、自分のできる範囲でインターバルを取りながらやりましょう。

 ここでは、本気の筋トレの話ではなく、あくまで「整えるために行う」ということです。
 そもそも感情の高ぶりで覚醒して眠れなくなっているのですから、そちらの方がより過敏な状態であるはずです。
 運動をして少し疲れた方が、眠りにつなげやすくもなります。

 また、運動習慣のない人は、1日20分程度の散歩から始めてみましょう。
 朝の散歩とセットにできれば効果的ですが、思い立った時に取り組める方が良いです。
 筋トレなどは、体に無理のない範囲から行っていきましょう。

 

 

3. 人とのつながりを持つ

 人とコミュニケーションを取ると、オキシトシンという物質が分泌されると言われています。
 オキシトシンは、扁桃体の興奮を鎮めるとされています。

 不安が強いときほど孤立しがちですが、親しい人と話すだけでも心が緩みます。
 無理に大人数と関わる必要はありません。

 不安が強い人は、癒しよりも孤独を感じることが多いそうです。
 コミュニケーションによる不安の解消には、他人と交流して癒されるある程度の時間が不可欠です。
 安心できる誰かと、少し言葉を交わす時間を持ってみましょう。

 

4. 言葉でブレーキをかける

 「自分に向けて前向きな言葉をかける」など、言語情報(文字情報)には扁桃体の興奮を抑制する働きがあります。
 脳では、扁桃体は条件反射のように瞬時の選択に反応しますが、言語を司る前頭前野は数秒遅れてブレーキをかけると言われます。

 ただし、そのブレーキは数秒遅れてかかります。
 つまり、不安の方が先に暴走しやすい、とも言えますね。
 これをうまく利用して、「不安になったら言葉で考える」ようにするのです。

 これからは、不安に飲み込まれそうな時の「どうしよう」に変わる言葉を用意しておきましょう。
 「大丈夫」「今できることをやろう」といった言葉を自分に向けてみてください。

 おまじないのような言葉でも構いません。
 扁桃体の興奮が抑制されやすくなるには、言葉が入ることが大切なのです。

 

 

5. 四感を使って注意を切り替える

 ここでは五感ではなく、あえて四感と言っています。
 というのは、視覚は脳を興奮させやすい感覚だからです。
 例えば、スマホやパソコンを見続けていると、脳は休まりません。

 その代わりに、聴覚・触覚・嗅覚・味覚などの刺激が入るようにします。

 

 ・入浴して「温かい」「気持ちよい」と感じる
 ・マッサージを受ける
 ・音楽を聴く
 ・おいしいものを食べる
 ・温かい飲み物をゆっくり味わう
 ・自分の部屋に、自分の好きな香りのアロマやお香を使ってみる

 

 脳に何らかの別の刺激を入れることで、こうした感覚に注意が向きます。
 すると、興奮は徐々に鎮まって、不安も軽減されていくのです。

 

まとめ

 不安を完全に消し去る方法は、今のところ見つかっていません。
 けれども、不安があっても行動することはできます。


 ・朝に日光を浴びる
 ・7~7時間半以上の睡眠をとる
 ・中強度以上の運動を取り入れる
 ・人と話す時間を持つ
 ・言葉で自分にブレーキをかける
 ・四感(五感の視覚以外)を使って注意を切り替える


 特別なことではなく、生活を整えることが土台になります。

 自分で整えられる部分を整えながら、必要な助けも借りていく。
 それでもつらい場合は、医師に相談することも大切です。

 不安があること自体は悪いことではありません。
 ただ、その興奮を放置しないこと。
 少し体を動かすだけでも、脳は確実に変わっていきます。

 今からでも始められることが見つかったら、是非取り組んでみてください。