不安な気持ちの対処法|原因と行動で整える方法

 

 息苦しい、胸が苦しい、気分が落ち込む、不眠、食欲不振、パニック発作、頭に血が上る――。

 こうした状態は、強いストレスがかかり、心が「黄色信号」を出しているサインと捉えることができます。
 うつやメンタル不調の前触れである場合もあります。

 不安は特別なものではありません。
 誰にでも起こり得るものです。

 まずは「不安になる自分はおかしいのではないか」と責めすぎないことが大切です。

 

 

1. 不安が強まる主な原因

①脳内物質の影響

(1) ノルアドレナリンの分泌

 身の危険が迫ったときに出る物質で、身体を興奮状態にします。
 不安や緊張が強いときは、この働きが高まっています。

 

(2) セロトニンの低下

 セロトニンは、ノルアドレナリンの過剰な働きを抑える役割を持っています。
 特に寝る前はセロトニンが下がりやすく、不安になりやすい時間帯です。
 寝ている間もセロトニンは作られないため、夜に心配事をすると不安が増幅し、眠れなくなることがあります。

 つまり、夜に不安になりやすいのは、ある意味「脳の仕組み上、自然なこと」でもあります。

 また、一人でいると不安になるのも、オキシトシン(安心感に関わる物質)が下がりやすいからだと考えられています。
 人と触れ合っているときに出やすい物質なので、夜に一人でいると心細くなるのは珍しいことではありません。

 過剰に心配しすぎなくて大丈夫です。

 

②情報不足

 不安は「予測できないこと」から生まれやすいものです。


 ・知識やデータなどの基本情報
 ・良し悪し、善悪などを判断する材料
 ・メリット/デメリットなどの比較材料


 こうした情報が足りないと、頭の中で悪い未来ばかり想像してしまいます。

 心配性の人ほど、仕事を始める前に最悪の結果を予測して手が止まりがちです。
 その場合は、始める前にあれこれ考えすぎない工夫が必要になります。

 

 

2. 不安を和らげる具体的な対処法

 不安の正体は「扁桃体の興奮」と言われています。
 この興奮を鎮めるうえで、効果的な方法を記します。

 

①体を動かすこと

 とにかく、何か行動することです。


 (1) 散歩
 (2) ジョギング
 (3) 筋トレ


 朝起きて日光を浴びながら散歩をすることから始めてみるとよいです。
 規則正しい生活は、体内時計を整え、セロトニンの分泌を促します。
 サプリメントに頼るのではなく、「本来人間が持つ機能をきちんと働かせる」ことが大切です。

 また、週2~3回、中強度以上の運動を習慣にできれば、ストレス発散にもなります。
 実際、全力疾走やきつい筋トレの最中に、不安を最大限まで膨らませることは不可能です。
 やってみれば分かりますが、他のことを考える隙間がなくなります。

 人の頭というものは、何もしていなくても、ただ寝転がっている時でさえ、何かを考えることができてしまいます。
 ですから、なんとなく何も手につかず、寝転がっているだけで不安が増していくのであれば、少しでも体を動かした方がよいです。

 もし運動から遠ざかっていたなら、まずは散歩からでも十分でしょう。

 

②睡眠時間を確保する

 睡眠不足を感じているなら、まずはしっかり眠ることです。
 栄養をとり、休むことを優先してください。

 ただし、就寝直前に強い運動をすると寝つきに影響する場合があります。
 個人差や体力差はありますが、運動は日中~夕方までに済ませておくのが無難でしょう。

 

③行動を小さく具体化する

 何もしていないと、人間の頭は勝手に不安を増幅させます。
 「今日中に仕事が終わるだろうか」「明日は上司は機嫌が悪くないだろうか」「またやり直しにならないだろうか」など、考えても仕方のないことが次々に浮かびます。

 そんなときは、「今できることは何か」と考え、現実にとれる行動に落とし込みます。
 おすすめは、ToDoリストのカード化です。

 やろうとしていたことや思いついたことを書いたカードに書き出します。
 そこから、トランプのババ抜きのように一枚引いて、その仕事から片付けていく、というものです。
 そういう時に限って、重要事項や優先順位を気にしがちになりますが、それはもう少し余裕が出てきてからでも大丈夫です。

 不安や焦りは思考から生まれます。
 考える暇を与えないよう、まずは一つ動くのです。

 

④夜の「置き換え行動」を用意する

 夜眠りにつく前に不安になるなど、運動するのが難しい場合もあります。
 そんなときのために、あらかじめ自分なりの「置き換え行動」を用意しておくと安心です。


 ・今日あった良かったことを日記に書く
 ・好きな音楽を聴く
 ・カフェインの入っていない温かい飲み物を飲む


 つまり、置き換え行動とは、自分の気持ちが落ち着いたり、ホッと一息ついたりできる行動のことです。

 不安を完全に消そうと焦らないようにしましょう。
 それよりも、少し気をそらし、落ち着く方向へ導く行動を持っておくことの方が大切です。

 

 

3. 不安は「行動せよ」というサイン

 不安とは、言い換えれば「さっさと行動しろ」という気持ちの表れとも言えます。
 何もしないでいると、不安はどんどん強まります。

 しかし、行動している最中には、不安を最大化することはできません。

 もし雑念が湧いてきたら、「今できることは何か」と問い直してください。
 重くても腰を上げることです。
 現実にとれる行動を起こすことで、少しずつ振り払っていくしかないのです。

 それが難しければ、まずは何か体を動かして気分転換をすることです。

 そうすれば、「少し気持ちもスッキリしたから、この後は○○をしよう」「今の時間は散歩ではなく〇〇をしておくべきだった」と自然となっていきます。
 また、運動して疲労感が得られれば、睡眠をとりやすくもなり、リフレッシュもできます。

 そうして少し気分が変わったら、次の一歩に進めばよいのです。

 

 

まとめ

 不安の正体は扁桃体の興奮であり、実際に行動していくことでしか振り払うことはできません。

 また、不安の対処をしていくために、「正面突破で頑張る」以外の方法も用意しておきましょう。
 視点や考え方を変えたり、自分に合った適切な行動をとってみるだけでも、回避や軽減ができます。


 ・夜に不安になりやすいのは脳の仕組み上、自然なこと
 ・情報不足は不安を強める
 ・最も効果的なのは「体を動かすこと」
 ・睡眠と生活リズムを整える
 ・小さな行動に分解して、まず一つ動く
 ・夜の置き換え行動を準備しておく


 不安をゼロにすることは難しいかもしれませんが、何か一つ行動することはできます。

 今できる小さな一歩からで大丈夫です。
 それだけでも、不安との距離は少しずつ変わっていきます。