「考えても仕方がない」と分かっているのに、頭の中でぐるぐると不安が巡ってしまうことはないでしょうか。
悩みを抱えたまま、思考停止のような状態になってしまう。
そんなときにまずできることは、とてもシンプルです。
頭の中にあることを、言葉にして外に出すこと。
デール・カーネギーは『道は開ける』の中で、悩みの対処法として次のように述べています。
①悩んでいる事柄を詳しく書き出す
②それについて自分でできることを書き記す
③どうするかを決断する
④その決断を直ちに実行する
頭の中だけでモヤモヤさせ続けるのではなく、紙の上に書き出して「正体」をはっきりさせること。
そして主体性を持って決め、段取りし、実行すること。
実行までに時間を空けてしまうと、また考え直して立ち止まってしまいます。
だからこそ、「決めたらすぐに動く」という姿勢が大切なのです。
では、複雑化した現代社会に生きる私たちにも、この方法は使えるのでしょうか。
1. まずは書き出す|自分との対話を始める
誰にも言えない悩みを抱えてしまうことは、誰にでもあります。
また、負の感情であふれた思いや、二度と思い出したくないような内容もあると思います。
何度も同じことを頭の中で再生し続けるよりも、一度すべて外に出してしまった方が楽になります。
ここでいうアウトプットは、「他人との対話」ではなく、自分との対話です。
紙やノートに、論理的でも感情的でも構いません。
思っていることをそのまま書いてみてください。
不安なことを箇条書きにします。
番号を振ると、悩みの数が可視化されます。
名刺サイズほどのカードに一枚ずつ書くのもおすすめです。
いきなり流暢に書き出すのが難しいこともあるかもしれません。
でも、まずは自分が思っていることをよりはっきりとさせていく。
それだけで、不思議なほど気持ちが落ち着くことがあります。
書いているうちに「なんだ、小さな問題だった」と解決したり、「〇〇さんに相談しよう」と思えることもあります。
何度も頭の中で反芻して記憶を強化するより、一度書いて区切りをつける方が、前を向きやすくなることもあるのです。
2. 書き出した後はどうするか
「書くと良い」とはよく言われます。
けれど、最初の一手だけを知っていても、その後の手を知らなければ手詰まりになります。
そこで、あらためて次のように整理してみます。
①仕分けする
書き出したものを、次の3つに分けます。
(1) 今すぐできること
(2) 今すぐでなくてもよいこと
(3) 自分には解決できないこと
なお、前項で書き出したネガティブなものは、この「仕分け」に含めません。
書いた紙を破って捨ててしまっても構いません。
あるいは、ネガティブな部分を二重線などで消し、仕分けに適用するものだけを残します。
②「自分には解決できないこと」を手放す
行政レベルや地球規模の問題、自然の摂理、他人の考えや行動など、自分一人ではどうしようもないこともあります。
世の中や他人に関心を持つことは大切です。
しかし、今の目的は、「自分が今感じている悩みや不安を少しでも軽くすること」です。
今の自分にできないことは、今考えても仕方がありません。
「考えるだけ時間の無駄」とまでは言いません。
「今は自分に集中」とする方が適切です。
だから、ひとまず横に置く。
必要な力をつけてから取り組む、あるいは誰かに任せる。
また、周りに助けを得ながら解決への道筋をつけるというように、世の中には一足飛びにできないこともあるのです。
そう割り切ることも、立派な判断です。
③「今すぐできること」から始める
頭の中のモヤモヤを書き出して整理したことで、気持ちも少し楽になったはずです。
だからこそ、「今すべきこと」が見えてきます。
できそうなものから取り掛かります。
小さな一歩で構いません。
実際に行動に移すことで、不安は一つずつ減っていきます。
「今すぐでなくてもよいこと」は取っておき、「今すべきこと」が済んだ後で見返します。
時間が経つと、「知らない間に解決していた」「実は取るに足らないことだった」と気づく場合もあります。
もしその時に、「力を注ごうと思える対象」が新しく見つかっていたら、それは幸運なことです。
3. 言葉にするから伝わる
言葉にすることには、もう一つ大きな意味があります。
「こんなに大変なのに、どうして分かってくれないの?」
そう感じることはよくあります。
けれど、「困っている」と言わなければ、正直なところ、鈍感な人には分からないのです。
好きな人に気持ちが伝わらない、分かってくれない。
家族に理解されない、分かってあげられない。
部下にもっと気を回してほしいのに伝わらない。
あなたは、「自分はコミュニケーションが下手だ」と悩んでいるのかもしれません。
でも、それはコミュニケーション以前に、「言語化できていないだけだった」ということもあります。
だから、まずは自分の気持ちや考えを言葉にする。
慣れてきたら、少しずつ勇気を出して相手に話してみる。
誰かに相談してみる。
自分の考えを周りに上手に伝えていくようになれば、コミュニケーションもより豊かなものへと変わっていくのです。
それは、自分への自信につながるだけでなく、相手への理解、言葉のやり取りが密にできた納得感、交流することでの精神的な癒しなどにもつながっていきます。
また、悩みというものは、人によって、また人生のタイミングによって程度が変わるものです。
深刻になる前に、「ちょっとこういうことで悩んでいて」くらいのやり取りができるだけで、悩みを軽くできたり、大ごとになる前に回避できることもあります。
4. 言葉のあとに、行動を
言葉にすると、行動もしやすくなります。
たとえば勉強を始めるとき、「勉強するぞ」と言ってから始める。
頭も気持ちも体も揃うから、集中しやすくなります。
だからこそ、今の自分の程度が分かるし、その後に進む道も少しずつ見えてくるものです。
逆に、「勉強するぞ」とすら言えないときは、まだ自分の中で整っていないのかもしれません。
言葉にすることは、覚悟を整えることでもあります。
モヤモヤしていたものが、将来実現してみたいことなどに変わっていくことでしょう。
そして、今できることから一つ動いてみる。
不安は、脳の扁桃体の興奮状態だとも言われます。
現代ではもう必要のない危険に、本能が反応しているだけという見方もできます。
止められないものは仕方がありません。
でも、それはそれとして、「どう扱うか」は選べます。
できれば、「今自分が穏やかに幸せに生きるために必要なことから取り組んでみる」と思えるものが見つかるとよいですね。
まとめ
悩みや不安に対してできることは、次の流れです。
①書き出して正体をはっきりさせる
②できること・できないことを仕分ける
③できないことは一旦手放す
④できることからすぐ行動する
⑤必要なら言葉にして誰かに伝える
不安がなくなってから動くのではありません。
不安があっても、できることから動いてみる。
それだけで、状況は少しずつ変わり始めます。
手品も、タネが分かってしまえば「何だそんなことか」となるでしょう。
同じように、不安もその仕組みが分かれば、なんとかできることも増えていくのです。
今の自分が穏やかに生きるために必要なことから、ひとつ。
それだけで十分です。
焦らなくても大丈夫です。
今日できる小さな一歩を、選んでみてください。