メンタルを強くする習慣と整え方|しなやかに生きる方法

 

 精神的に強いか弱いかで、人生の感じ方は大きく変わります。

 昨今では、様々な面で複雑化したり、配慮が必要となったようにも思います。
 しかしそんな中にあっても、「自分自身の人生は自分で何とかしていかなければならない」という事実は、今も昔も変わりません。

 とはいえ、根性論や我慢だけで乗り越えるのは難しい時代です。
 無理に強くなろうとするよりも、強くて「しなやかな」状態を育てていく方が、現実的で続きやすいのではないでしょうか。

 誰でも、しなやかで強い心を養い、少しでも活き活きとした人生にしていきたいものです。
 そのために、普段からできることは何か、少し思い出しながら振り返ってみましょう。

 

 

1. 心のしなやかさ(レジリエンス)を高める

 心理学では、心の回復力を「レジリエンス」と呼びます。
 これは、落ち込んでも後に引きずらずに回復する力であり、ストレスを受け流す力でもあります。
 元々は工業用語で、「ばねの弾性(伸びたり元に戻ったりする力)」を表す言葉として使われていたことが由来だそうです。

 単に耐久力を上げるのではなく、


 ・そもそもダメージを受けにくくする
 ・ダメージを軽減させる
 ・蓄積させない


という発想も大切です。

 メンタルが弱いと言われがちな人ほど、実は真面目で、ストレスにも真正面から真摯に向き合い過ぎる傾向があります。
 だからこそ、


 ①適度な緩さを認める
 ②いちいちこだわりすぎない


という姿勢がちょうどよいのです。

 嫌なことがあっても、「歩き出したら5秒で忘れる」くらいの適当さが、心の健康には必要かもしれません。

 

 

2. 中立(ニュートラル)な立場で受け止める

 全てを真正面から受け止めない、真に受けないという姿勢は大切です。

 これは、無視することでも、話半分に聞くことではありません。
 また、相手の言うことに過剰に影響されたり盲信しないということでもありません。

 中立な立場で客観的に捉えるということです。

 怒られたり悪口を言われたりした出来事があっても、そこに全てを集中しないことです。
 無視しよう、忘れよう、思い出さないようにしようとするほど、余計に思い出されてしまうものです。
 そこに集中してしまうことが、「真正面から受け止める」ということになります。

 でも、中立な立場で見れば、それは今日起きた出来事のうちの一つです。
 1日24時間のうちの数分に過ぎません。
 それは自分の人生や仕事においての全てではないのです。

 嫌な出来事があると、何日も反芻してしまいがちですが、「そういう出来事があった」と起きた出来事を一つの現実・事実として受け止めるだけで十分です。
 そうして、そこから修正点を見つけ、やれる範囲でやっていく。
 だから、次につなげられるのです。

 感情に飲み込まれたときも、自分でニュートラルな位置に視点を戻す練習をしてみましょう。
 少しずつ、受け流せるようになっていきます。

 ところで、今まであった嬉しかったことや楽しかったことは、どのくらい思い出し、どのくらいその世界に浸っていますか。
 また、「そこから教訓を得た」とか、「また同じような良い気分を味わいたい」など、現在でもその出来事を人生の糧や発奮材料として役立てていますか。

 せっかくニュートラルに物事を捉えるということを知ったのですから、いきなりは難しくても、少しだけでもやってみるとよいです。

 嫌なことや悲しいことを日々反芻し、大切な人にその話をして負の記憶を強化するばかりではいけません。
 一日の中には楽しいことも辛いこともあるのだから、そちらも含めて捉えないと、中立ではなく偏ることになりますよね。

 もしそれでも嫌なことばかりだったら、感情はできるだけ取り除き、一つの事実として客観的に「そういう出来事があった」として受け止め、「受け流す」ことにしましょう。

 ちなみに、嬉しかったことや良かったことが中立視されても、多くの場合は「また経験したい」「再現したい」となりますので、かわしたり受け流したりすることはまずないでしょう。

 

 

3. 自己洞察力を身につける

 自分自身と向き合いよく観察し、自分の状態を把握する力も重要です。
 今の自分がどのような状態なのかが分かれば、それに対して現時点でのより正しい対応ができるからです。

 「まだいける」「まだ大丈夫」と思い続けてしまう人ほど、どこかで破綻しやすいものです。
 仮に、日々の自分の能力の最大値が100だとしたら、150や200で頑張り続けたら、いつか参ってしまいます。
 105や110なら成長の実感を得られるかもしれませんが、それ以上はやりすぎです。

 しかし、自分のことが分かっていれば、「疲れたから休憩する」「最近睡眠不足だから帰って早めに寝る」などの対応ができるので、そうそう健康を害することもないのです。

 確かに、「やれることをやれる範囲でやる」という考えはとても大事です。
 ただ、それですら自分の体力や能力が把握できていないと、できる範囲のうちのどこまで攻めればいいのかが分からないままになってしまうのです。

 普段から身近にできる自己洞察力の高め方として、


 ・日記をつける
 ・ノートに自分の考えやアイデアを書き出す
 ・年間計画を立てたり、それを修正する


など、必ず一度は思考を外に出すことです。
 頭の中だけでは客観視できません。

 一見、地道な作業のようですが、紙に書くことで初めて見えてくるものがあります。
 徐々に「自分が何をしたいのか」「自分の時間の使い方は正しいのか」というようなことを考えながら、分かるようになっていきます。

 そうやって自分を把握できるようになれば、無理をしなくなります。
 自分からメンタルを悪くするようなことはしなくなりますし、結果として、「メンタルを強める必要がない状態」に近づいていけるのです。

 

 

4. 行動しながら考える

 困ったら、本でもネットでもよいので自分で調べたり、誰かに相談してみることです。
 「動きながら考える」ということです。

 実際、専門家や先に上手くいった人に相談すれば、すぐに解決できることは多いです。
 また、どのようにしたらよいかを調べて、ToDoを見極めて落とし込むこともできます。

 ストレスに弱い人は、何もしないまま悩み続ける傾向があります。
 相手の攻撃をガードしたまま、かわすことも受け流すこともできるのに、ただずっと我慢し続けているような状態です。

 一方で、ストレスに強い人は、ほぼ常に行動しています。
 「全力疾走中には一時的に悩み事を考えなくなる」という現象のように、体を動かした瞬間、ストレスの原因は頭の中から薄れていくのでしょう。

 自分で調べたり相談したりできる人は、ストレスで苦しまず、どんどんステップアップしていきます。
 運が良ければ一発で、その時点での最善の回答を得られる可能性も高いです。

 というように、ToDoが分かれば、あとは実行するだけです。

 また、自分のストレス時の反応や結果、考え方などのパターンを知ることも対策の一つになります。
 うまくいけば、「場合によってはストレスも悪いものではない」と切り分けることもできます。

 例えば、


 ・ストレスを感じた時、「じゃあ、どうしたらいい?」と考える
 ・悪く言われる方が、「無関心、見て見ぬふり、の扱いよりもまだマシ」と考える
 ・ちょっと嫌なものでも「言うほど悪くないよね」「嫌いじゃない」と言ってしまう


 人がストレスやプレッシャーを感じる反応は、自分のメンタルを強くするために起こるとも言われます。
 その一面を利用してしまえば、よりストレスを自分の力を発揮させる材料にすることにつながります。

 

 

5. 回避行動を減らす

 目先のストレスを避け続けると、それが本当に苦手になってしまいます。

 例えば、苦手な人からの挨拶だから返さない、怖そうな上司だから相談しない、気を遣うのが面倒だから会合に参加しない、などです。

 小さな回避が積み重なると、精神的なハードルが高くなっていき、今までできていた簡単なことすらできなくなっていきます。
 自分で自分の評価を下げていき、自信を失います。

 人は自信を失うと、人と話すことすらストレスになります。
 何気ない日常の中にすら、何とも言えない怖さを感じていき、さらに新たな回避行動を重ねていきます。
 最初のきっかけは「めんどくさいから」「恥ずかしいから」という、ほんの小さな行動だったのに。

 これを改善するには、コミュニケーション量を少し増やすことです。
 行動が自信を育てますから、どんなに少しでも構いません。
 さらに量を増やしていかれれば、自分に対する自信が高まり、また行動力も上がっていくのです。

 

 

6. 小さな成功を積み重ねる

 やりたいこと、やめるべきことが終わったらそれを横線で消し、満足感に浸ることです。
 加えて、できることの数を数えると、自己効力感が高まります。


 ①今日やりたいことTop3を書き出し、終わったら横線で消す
 ②直近1年でできたことを50個書き出す


 また、人の好みは分かれます。
 2割は好いてくれ、2割は合わない。
 残りの6割は自分の行い次第で、好きにも嫌いにもなってくれる人達です。

 ですから、他人の評価を過度に気にしすぎたり、他人に振り回されなくてよいのです。
 それよりも今、自分がより良くなるための行動や、人や身の回りのためになる行動をとることに注力しましょう。

 

 

7. 腸内環境を整える

 腸の状態は心にも影響します。
 また、腸内細菌はセロトニン、ドーパミン、ビタミン類、GABA、短鎖脂肪酸などの物質の生成にも関わると言われています。


 【腸に良いこと】
 ・腸内細菌の種類を増やす
  → 発酵食品、プロバイオティクス(ビオフェルミン、ヤクルトなど)
 ・食物繊維をとる
  → 野菜などが腸内細菌の餌となる
 ・善玉菌を増やす
 ・適度な運動
  → 腸を通過するスピードがちょうどよくなる
 ・バランスの良い食事と睡眠


 【腸に悪いこと】
 ・食べ過ぎ
 ・偏った食事
 ・脂っこい食事
 ・過剰なストレス


 「今日も健康で元気」という状態は、それだけで心の支えになります。

 

 

8. 声量をほんの少し上げる

 ここだけ少し長めですので、最後の項目にしました。

 意外に思われるかもしれませんが、声の印象は大きな影響を持ちます。
 声が小さい人がそれだけで頼りなく見えてしまうのは、こうした印象に因るものかもしれません。

 急に大声を出す必要はありませんし、不慣れな人はすぐに疲れてしまうこともあるでしょう。
 ですから、第一ステップとして、まずは次の3つを意識してみてください。


 ①声量も内容もはっきり話す
  語頭・語尾・主語、発音などをはっきりさせる。
  主語の有無や省略、同音異義語などは特に注意する。
  また、文脈としてもはっきりするように、主旨、接続詞、経緯、語彙などにも注意を払う。


 ②よく通る声をイメージする
  例えば、5m先にいる相手に話すイメージで、1m先にいる相手に話す。
  よく通る声をしている人を見つけて参考にする。
  腹式呼吸や喉を開くなどの技術を知る。


 ③相手の顔に向けて話す
  相手の目を見ると緊張するなら、例えば鼻、眉間、全体的に顔を見る。
  うつむいた状態で話しても、声は前方に飛びません。
  また、相手の耳は相手の頭部に付いていることを、よく思い出しましょう。


 これだけでも、相手の受け取り方は大きく変わります。
 続けるうちに、自分自身の伝え方にも気づきが生まれます。

 本当にくだらない視点かもしれませんが、音楽指導者や接客業をしたり、武道をやっていて良かったと感じた、私の経験から補足致しますね。

 あなたがこの先どんなに正しい話をしても、どんなに整理して筋道を立てて話しても、主観的にも客観的にもどんなに相手より優位であっても正義があっても、「声が小さい」という理由一つで、相手は全ての主導権を奪うことができてしまいます。

 しかも、「だから○○」という理由までつけて、あなたが頼りないとか、ウジウジしてるとか、物事を任せてよいのか不安だとか、ありとあらゆる物事や人格まで否定して、ダメ人間としてこき下ろせるようになっていきます。

 仕事でもそれ以外でも、そのように扱われている人をたくさん見てきました。
 ですから、まずは上記に上げた3点を心に留めておくとよいと思います。

 もちろん、大きな声ではっきりと話すためには、他にもいくつもの要素もあります。
 当たり前ですが、急にわざと大きな声で話しかけられたら、どんな人でも嫌がります。
 でも、この3点であればそれほど急な変化ではありませんので、心配せずに取り組めると思います。

 そして、続けているうちに、あなたにも変化が出てくると思います。

 実は他人も、「何で話聞いてないの?(呆れ)」とか、「ここまで理解できてますか?(心配)」と思うくらいのレベルで話を聞いていないし、理解もしていない人が多いことに気付くことになります。
 それと同時に、自分自身に対しても、「短く力強いメッセージ」「要点や文脈を明確にする」「そもそも話を聴かせる体勢にする」というような課題にも気付くことになります。

 その中にあっても大切なことは、知見を広げ、お互いの理解を深め、はっきり堂々と意思疎通をする力を養っていくことです。

 何にしても、声の大きさは意外と重要です。
 ちょっと厳しい言い方ですが、声の印象一つでナメられてしまう、実力とは無関係に評価が決まってしまう場面があるのも現実なのです。

 

 

まとめ

 メンタルを強くするとは、無理に我慢することではありません。


 ・心をしなやかに保つ
 ・ニュートラルに受け止める
 ・自分を観察する
 ・行動する
 ・回避を減らす
 ・小さな達成を積む
 ・体を整える
 ・声量や伝え方を整える


 不安や迷いがあっても構いません。
 そのままで、やれることをやれる範囲でやっていけばよいのです。

 強くなるというよりも、整えていく。
 その積み重ねが、気づけばあなたの土台になっていくでしょう。