相手の本心や本音を知りたいと思う場面は、仕事でも日常でも少なくありません。
特にビジネスにおいては、相手が今何を問題と感じ、どんなニーズを持っているのかをつかむことができれば、必要な提案が見えてきます。
それは次の機会へとつながる可能性もあります。
ただし、本音を引き出すことは簡単ではありません。
無理に探ろうとすれば、かえって距離が生まれてしまうこともあります。
今回は、本音を引き出すための具体的な考え方と関わり方を整理します。
1. 質問を選びながら重ね、ニーズをつかむ
本音を引き出すには、いくつかの質問を事前に準備して臨むことが有効です。
その場の状況や相手の様子に応じて質問を選びながら、少しずつ積み重ねていきます。
たとえば、次のような問いです。
・今どんな問題がありますか?
・何か改善したい点はありますか?
・理想とする姿はどういうものですか?
・不満に感じているのはどこですか?
こうした質問を通じて、相手が今何を大切にしているのか、何に困っているのかを見ていきます。
ニーズがわかれば、今必要とされる対策や提案も自然と絞り込まれて、明確になっていきます。
注意点として、本音を引き出せないケースもあります。
①相手が本音をのぞかせているのに、自分が気づいていない
→ 相手の言葉や表情に、より集中する。
②相手自身も、何を伝えればよいのかわからずにいる
→ だからこそ、質問を準備しておく。
相手が言葉にできていないだけであっても、心の中には何かしらの思いがあります。
それを整理する手助けをするのも、質問の役割のうちなのです。
2. 「正反対の観点」から捉えてみる
もう一つの視点として、相手の言葉をあえて正反対の観点から捉えてみる方法があります。
例えば、相手に10分ほど自由に自分のことを話してもらい、その内容を心の中で反転させてみるのです。
・「人生が退屈だ」
→ 退屈な人生を求めているのがあなたなのかもしれない。
もちろん、これをそのまま口に出す必要はありません。
実際に言えば角が立ちますし、せっかく10分も話してくれた相手に失礼になります。
あくまで心の中で捉えるだけで十分です。
また、人は自分の理想像と現実の自分を混同していることがあります。
誰しも、自分を完全に客観視するのは難しいものなのです。
・「幸せを意識しなければならない」
→ 今がそれほど幸せではないと感じているからかもしれない。
・「自分は変わっている」と言う人
→ 自分を平凡に感じていて、天才のように何か特別な存在になりたいと思っているのかもしれない。
本当に変わっている人は、できるだけ目立たないように振る舞うこともよくあります。
というように、語られる言葉は、本当の姿というより「目標」や「願い」である可能性もあります。
そう考えると、表面的な言葉の奥にある思いが見えやすくなります。
3. 結局は、本人に直接聞く
心理学の統計や傾向が、すべての人に当てはまるわけではありません。
どれだけ理論を学んでも、目の前のその人そのものを完全に説明できるわけではないのです。
だからこそ、本心を知りたいのであれば、本人に直接聞く方が早かったりします。
そのためには、普段からコミュニケーションをとり、人間関係を築いていくことが近道です。
むしろ、小手先の心理テクニックに頼らず直接聞ける方が自然ですし正攻法だと思います。
その先に、腹を割って話せる間柄になったり、親密な仲になり絆ができれば、何ものにも代え難いものになります。
一方で、注意点というか、自分でもあらためて思い出しておかなければならないこともあります。
それは、相手もまた、人の心理について考えたり学んだり、経験しているということです。
自分がされた時、不自然な違和感や圧、どこか操作されているような感覚を覚えたことはありませんか?
それを、相手だって同じように感じるかもしれません。
心理学の入門書をかじり読みしたようなテクニックを露骨に使えば、すぐに察知されます。
不自然な会話の仕方や、誰かを間に介した探り方をすれば、取り返しのつかないほど信頼を損ない、距離を置かれることもあります。
相手との信頼関係を保ちたければ、偽らない、侮らない、裏切らない、試さない。
これは絶対に外してはなりません。
本音を引き出すことは、駆け引きではありません。
あくまで信頼の延長線上にあるものです。
まとめ
相手の本音を引き出すためのポイントは、次の通りです。
・質問を準備し、状況に応じて積み重ねること
・言葉を正反対の観点から捉え、背景にある理想や目標も考慮すること
・本人に直接聞ける関係を築くこと
人の本音は、無理にこじ開けるものではありません。
丁寧に耳を傾け、信頼を積み重ねた先に、自然と見えてくるものです。
あなたも、相手が誠実な人だと思えなければ、本音を話したくないですよね?
ということで、お互い様なのです。
急がず急かさず、焦らず焦らせず、です。
相手を理解しようとする姿勢そのものが、すでに大切な第一歩になるのだと思います。