優しさを持つことは良いことですが、いつでも他人に優しくするばかりではいけません。
あなたから優しくされたその他人も、いつでもそれを当たり前として考えるようになり、一旦そうなってしまうとその後は、せっかく優しくしてあげても感謝すらしなくなります。
しかも、そのような他人に限って、こちらがたまに優しくしなかったり優しくするのをうっかり忘れてしまうと、怒り出したりするのです。
つまり、しなくてもよいのにいつでも優しくしてしまうことは、いつでも優しくしないと感謝されないし怒られる上に、普段から他人に主導権を握られ続けてしまうという状況を、自ら作ってしまうのことになります。
もしもあなたの周りの人がちゃんとした人達で、「ここまでは有難く受け止めるけど、ここから先は自分でやるよ」とか、「あまり優しくされると甘えてしまうから、もう大丈夫だよ」と気付くことができる人であれば良いのですが、世の中は100％そうなるようにはできていません。
しかし、人の優しさに付け込むような図々しい他人に一度でもナメられてしまうと、その評価を挽回するのはかなり難しくなってしまうのです。
そのような他人にナメられるのが嫌なのであれば、怖がられる存在になることです。
自分が決めたルールは絶対に守らせ「守らない奴がもし一人でもがいるときには絶対に許さない」という断固とした状態をとっていれば、人の優しさに付け込むようなタイプの多くは従ったり合わせようとするものです。
実際のところ、優しいだけでは指示も話も聞いてくれませんし、下手をするとこちらが「お願い」をすることになりかねません。
ですから、こうしたタイプの人達にあなたの優しさを台無しにされてしまう前に、やはり一度は怒っておくべきです。
相手をつけ上がらせるのではなくねじ伏せるつもりでそれなりにシナリオを作り、一歩も譲ることなくはっきりと、明確に、怒っていることを相手に伝える必要があります。
ただし、仕事などでやる気があって、それがうまくいっていない人の場合は別です。
怒るべき場面は、やる気や変わる気のない人、甘えた態度の人、ナメてかかってくる相手に対してですから、やる気のある人や一生懸命やっていて結果がまだ伴っていない人は優しく見守り、良い関係を見据えて大切に接するべきです。
また、他人の甘えた態度を逆手に取る方法にも慣れておく必要があります。
怖がられる存在の人は怖さでも勝負し、ごくたまに優しさも見せて勝負するのです。
怖い人、怖く見せてる人は、何かそうなる事情を抱えているだけで根は優しい人なのかもしれませんが、しかし実はそうやって敵を転がして、押さえるところは押さえ、有利な立場に立つものなのです。
弱いふりをして甘えて優しさを引き出して付け込む人とよく似ていますね。
ただ、本当に残念なことは、優しいだけの人は優しさでしか勝負できないことがほとんどです。
イタリアの偉人で「君主論」の著者としても知られるニコロ・マキャベリは、「武器なき人格者は滅びる」という旨の言葉を残しています。
その言葉の通り、武器はたくさん持っていた方が有利ですし、その「武器」についても現実では、優しさや怖さなどの性格の他、知恵、経験、実績、本当の武器、人数など、優位性を持つために使えるすべてのものと言うことができるでしょう。
もしもあなたの優しさに付け込んだ他人に何かを奪われてしまった時は、その奪われたものはきちんと奪い返さなければなりません。
「返して」などと言うのはそれこそただ優しいだけの馬鹿をさらけ出すことになりますので、絶対にダメです。
自分が守らなければならないものはきちんと守らなければいけないのですから、あなたを軽く扱ってくるような人は「どこまで行ってもただの他人でありただの人間なのだ」とバッサリと割り切って、決してあなたの人生にのさばらせないように、奪われたものは絶対に奪い返し、分かっていないことは徹底的に分からせなければならないのです。
これからは、あなたに対していつでもやる気なく甘えた態度をとったり、ナメた態度で接してくるような他人には、会話中の相づちを減らし、そっぽを向き、ため息をついて目を閉じ、相手を不安と恐怖に陥れることから始めていくことです。
いつも優しいあなたなら確固とした理由に因るものでしょうから、時折このくらいの態度を見せたってバチは当たらないでしょう。
念のためですが、相手は決して間違えてはいけません。
「自分よりもただ優しそう、気が弱そうに見えるから」と言って、例えば身近な人や近くにいてくれる友人などに、先のような優しさに付け込んでくる人にとるような態度を試しにでもやってはなりません。
わざわざ言わなくても想像がつくことでしょうが、もしその相手が真に優しさを持つ人であって、あなたがそれを裏切るような行為をしてしまった時は、その相手からの怒りの炎は決して消えることなく、あなたには「一切信用できない愚か者」の烙印が押されることになるのです。
