六義園の紅葉


2022.12.18. 六義園(りくぎえん)にて。

 JR山手線駒込駅から徒歩5~10分程の、東京都文京区本駒込にある特別名勝六義園です。
 また、南北線駒込駅、山手線巣鴨駅、都営三田線千石駅からもアクセスできます。

 六義園は、五代将軍徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保が、下屋敷として与えられた駒込の地に自ら設計・指揮し、元禄八年~十五年(1695~1702年)の七年もの歳月をかけて作り上げた庭園と言われています。

 吉保は和歌に造詣の深かったこともあり、園名の由来となっている「六義」から受け取れるように、和歌の心を造園することを意図していたと考えられています。

 六義(りくぎ)とは中国古代の詩集「詩経(しきょう)」の分類「風(ふう)、賦(ふ)、比(ひ)、興(きょう)、雅(が)、頌(しょう)」のことです。

 これを紀貫之が転用し、古今集仮名序(こきんしゅうかなじょ。→古今和歌集の序。仮名序は、仮名文で書かれた序文のこと。)で述べた、そえ歌、かぞえ歌、なずらえ歌、たとえ歌、ただごと歌、いわい歌として伝えられており、「六義」はこの六体に由来したものということです。

ちなみに、
・風(ふう)
→そえ歌。諷歌(そえうた)。他のことにこと寄せて思いを詠む歌。

・賦(ふ)
→かぞえ歌。数え歌(かぞえうた)。感じたことをそのまま表わした歌とも、物の名を読み込んだ歌とも言うが、語義不明。

・比(ひ)
→なずらえ歌。準え歌(なずらえうた)。物事になぞらえて詠んだ歌。

・興(きょう)
→たとえ歌。譬え歌(たとえうた)。物に例えて詠んだ歌

・雅(が)
→ただごと歌。徒言歌(ただごとうた)。物に例えないで、ありのままに詠んだ歌。

・頌(しょう)
→いわい歌。祝い歌/頌歌(いわいうた/しょうか)。祝いことほぐ歌。

 

 吉保自身が撰した「六義園記(りくぎえんのき)」では、六義園の呼称について日本風に「むくさのその」と呼んでいましたが、現在では漢音読みで「六義」を「りくぎ」と読む習わしから、「りくぎえん」と読みます。

 これら六体を表現するため、和歌山にある「和歌の浦」という名所を参考にして駒込の地に移し、万葉集、古今和歌集などに基づいた八十八ヶ所の名所を、園内に「六義園八十八境(はちじゅうはっきょう)」として、和歌や古典にちなんだ八十八ヶ所に渡る景観を生み出しました。

 

1_入口付近の風景

1_入口付近の風景

 

2_出汐湊(でしおのみなと)と夕焼け

2_出汐湊(でしおのみなと)と夕焼け

 

3_藤代峠からの展望

3_藤代峠からの展望

 

4_山陰橋周辺の紅葉

4_山陰橋周辺の紅葉

 

5_吹上松と周辺の紅葉

5_吹上松と周辺の紅葉

 

6_吹上茶屋と大泉水

6_吹上茶屋と大泉水

 

7_六義館跡(むくさのたちあと)の紅葉

7_六義館跡(むくさのたちあと)の紅葉

 

●参考
・公益財団法人 東京都公園協会
 公園へ行こう!
 https://www.tokyo-park.or.jp/
 六義園ページ
 https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/about031.html

・文京区
 観光案内より
 https://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/spot/teien/rikugien.html

・文京区観光協会
 https://b-kanko.jp/spot/262

・文化遺産オンライン(国立情報学研究所(NII)技術的協力/文化庁運営)
 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/160918

・和歌山県
  広報誌「和-nagomi-」 特集「東京で見つけた和歌山ゆかりの場所 六義園」
 https://www.pref.wakayama.lg.jp/bcms/prefg/000200/nagomi/w30/23_t/index.html