とりあえずやめてみるだけで生きる気持ちが少し楽になること


 やらないことを決めるのは、やることを決めるのと同じくらい大切なことです。
 加えて、必ずしもやるべきでないことをわざわざ効率化してこなすのは、無駄なことです。
 「何でもやるべきだ」と付け加えていってしまうと、やがて生きづらくなっていきます。

 ただ、世の中には、「やめた方が人生がうまくいく」というようなこともありますから、本稿では気持ちが少し楽になる対処法を3つ挙げています。

 


①人に優しく自分に厳しくすることをやめる
 もちろん、他人にわざと冷たくしたり、ひどい扱いをしろということではありません。
 自分にも優しく大切に扱い、自分のすべきことをすることを先にやれということです。
 自分の人生で余力も作れないのに他人ばかり優先して、自ら自分の人生を棒に振るなということです。

 好きなことする時間を作り、やりたかったことをやり、たくさん笑ったり、自分を褒めたり、好きな人達と過ごしたり、美味しいものを食べたり、リラックスできることをして、よく眠って、そういう自分のための時間を作ってください。

 「先に、自分に優しく、自分を大切に扱って、自分で自分の機嫌を取れるようになってから、他人にも優しくする。」というのが本来あるべき順序です。
 そうすると、優しくしたい人にはもちろん優しくできるし、苦手な人にも少しくらいは優しくできるようになっていきますから、回り回ってまた自分のことを大切に扱えるようになります。

 それでは、「今後は自分に厳しくするのは0でいいか?」というと、できればそうしたいものですが、そんなはずはありません。
 今まで厳しくできていたのですから、「どこでどのように厳しくすれば後にどんな影響が出るか」とか、「ここは絶対押さえなければならないところ」というのは分かっているでしょう。
 0か100かの考え方でなく、これからは自分に優しくしたり自分のことを大切に扱う時間の割合を増やしていけ、そしてそれを先にやれということです。

 他人に優しく自分に厳しくしてばかりいると、やりたくないことなのに引き受けてしまうことになるし、やがて他人の顔色ばかり窺って生きるようになるし、無理して他人にスケジュールを合わせて付き合ってばかりになる破目になります。
 まさに「いい人 = 他人にとって都合のいい人」になってしまうのです。

 


②「他人から凄いと思われたい」と思うことをやめる
 自分がやりたいことや興味を持っていることを優先させないと、結局はお金と時間を無駄に使うことになります。
 他人から凄いと思われたいがために、たいして興味もないようなことに取り組んでしまうと、つまらないし、先の見通しも見出せないから、長続きもしないのです。

 また、一流ブランド品で身を固めるのも避ける方が良いでしょう。
 それは自分が凄いのでなく、それを作ってブランド品として確立し、世の中に広めている人の方が凄いのですから、あなたは常に二番手以降ということになります。
 ただし、身の周りに一流の方がいて「その人を真似たい、自分もそっちの世界に行きたい」というのなら話はまったく変わってきますが。

 それよりも、自分が愛着や興味を持って使い込んだり、使いこなしながら自分や周りに役立ていかれるものを持つ方が自然です。
 他人から凄いと思われるために、ろくに使えもしない最新機器を持っていても、何の意味もないのです。
 まあ、筆者が色々なブランド品で丸ごと身を固めるよりも、使うならワンポイント程度という作り方を好むからなのかもしれませんし、実用的で機能性のあるものを好むからなのかもしれません。

 何にせよ、他人から凄いと思われたいという心理は、人間の本能という一面もあるでしょう。
 しかし、そのためだけにお金と時間を使うのだとすると、結局は財布からお金が消えるだけであり、直ちに幸せになれるわけでもなければ時間を短縮できるわけでもありません。
 自分の大事な人生を、他人から凄いと思われるためだけに四苦八苦させるようなものにすることは、賢いとは言えないのです。

 


③失敗を隠すことをやめる
 失敗を隠し続けていると、自分は忘れたつもりでいても心の中のどこかには残っており、それらが積もり積もってしこりだけが残ります。
 そして、やがて劣等感が芽生えてきます。
 そうすると、いつも自分に自信が持てなくなったり、そうする必要なんてないのに、なぜか引け目を感じてしまったりするようになるのです。

 しかし、失敗を隠さずに人に話せるようになると、周りからは正直な人だと思われるようになりますし、そのことをきっかけに過去も精算されて気持ちがリセットできるきっかけにもなり得えます。
 さらに、相手も心を開きやすくなり、意外と相手の失敗談を共有してくれることもあったりして、距離感も縮んだりします。
 小さな失敗なんて笑い飛ばしてしまうような器の大きい人物になれればストレスにも強くなるし、そのまま経験や実績を積んでいけば自分に強い自信を持てるようになるのです。

 また、隠すのは失敗だけに限った事ではありません。
 ちょっとしたハプニングや理不尽な出来事であっても、何か起こったとしても「ネタになる」と思えるようになってくれば、クヨクヨ悩むことも少なくなるでしょう。
 自分の様々な体験をネタにできれば、発想力や企画力を伸ばすきっかけにもなるし、ビジネスや人間関係にも活きてくるのです。