人に必要とされるのは、不満を解決する力があるからだ。

 
 少し前に、出張先で初めて泊まったアパホテルにて。
 部屋にあるテレビでは特別企画が視聴でき、経営者で会長の元谷外志雄氏と社長の元谷芙美子氏の二人と、堀江貴文氏と司会の方の四名での座談が視聴できたので見ていたところ、「おぉ」と気になったところがあったのでメモしていました。
 
 本当に良いホテルを考えた時、経営するなら「こうあるべき」に囚われず、使い勝手が良いホテル、選んでもらえるホテルになるためには合理的思考が大切という話の流れで、
 
 
(元谷外志雄氏)
 ユーザー思考というか、「自分が使う身になったら何が良いか」ということ。
 そのものを作ればよい。
 だから、単に伝統に囚われたり「ホテルとは」ということにカテゴリーをアレするんじゃなくて(「限定してしまうのではなくて」ではないかと推測)、自分がユーザーならこうした方が良いと思うものを提供するということです。

 

これに続いて、
 
(堀江貴文氏)
 それがみんなできてないんです、できないみたいですよ。
 よく、「起業をしたいんですけどアイデアが浮かびません」みたいな人がいるんですよ。
 僕のところに相談に来る人がいたりとかして、僕が言うのは、「あなたは今、普段の暮らしをしていて不満に感じることはないんですか?」と。
 
 あるでしょう?不満に感じる事って。
 だから、そういうことを一つ一つ解決してくれば良くて。
 例えばホテル業だったら、ホテルのお客さんになって、ここに泊まって、不満に感じることがいっぱいあるでしょう?
 
 でもね、マスクの信仰じゃないですけど、日本人って今でもコロナのマスクをみんな外してないですけど、「息苦しくないですか?」、「外してもよいところなのに外さないんですか?」って。
 考えない思考になっちゃっているというか当たり前で、多くの人達はこれを我慢とすら思ってないというようになっちゃっているんじゃないかな。
 
 だからゼロベースに立ち返って、例えばホテルの部屋のライトの電源が5個あって、(それぞれ個別に)全部消さないと寝られないのはおかしいって思えよ、と僕は思うんですけど。
 何で(他のみんなは)思わないんだろうなっていうのは、そこで働いている人たちはもうずっと それに慣れているから不便だと思わないんでしょうね。

 

 
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 この話を記事に起こしたしたきっかけは、宿泊した部屋に備え付けられた歯ブラシがあまりに心地良かったからです。
 「歯ブラシかよ!」とお思いでしょうが、何事もきっかけなんて小さなものです。
 
 この時に宿泊したのは勝田という土地にあるアパホテルで、車を少し出せば海も近いところです。
 ですから夜ともなれば、宿泊する人の多くは当然その土地の海の幸を楽しみにお店を探すものだということは、想像に難くないでしょう。
 
 さて、その歯ブラシは、毛先が細くて柔らかく、コンパクトな作りなのに、途中でへたらずにしっかり磨けるものでした。
 しかも、磨いた後に口の中が痛くないのです。
 
 普通、ホテルの歯ブラシと言ったら、先端は大きくて毛先は太くて、磨いた後は口の中、特に歯茎がヒリヒリして痛いのが相場だと思っていました。
 さらに、普通なら地方に宿泊となれば、ホテルの客はその土地の食べ物や飲み物を楽しみたいものです。
 
 ですから、歯を磨いた後に口の中が痛いというのは、決してシャレではなく、痛い。
 体にも心にもダメージが残って、少し痛みを感じながらその土地でのおいしい食事を摂ることになるのでしょう。
 
 でも、それがなくて快適だったのです。
 夕方に磨いても、夜に磨いても、朝に磨いても、何のストレスも痛みもない。
 「これはスゴイなぁ」と感心しながら何気なく特別対談を見ていた時、堀江氏の言葉がタイミング良く心に刺さったのでした。
 
 
 
 なお、ホテルの宿泊者だけが視聴できる特別対談だと思って、何度も巻き戻しながらメモを取っていたのですが、後になって堀江氏のYouTubeチャンネルでも閲覧できると知りました。
 参考までに、末尾に該当部分の動画のURLを記載しておきます。
 
 「結局歯ブラシかよ!」と思うでしょうが、それだけで印象が変わることだってあるのです。
 全体的な条件も踏まえて宿泊施設を取ることはもちろんですが、少なくとも周辺にアパホテルがあるかは確認しますし、実際に泊まる頻度そのものも上がりましたし、他と比べることとなった時に多少値段が張っていても選択肢から外れない確率は格段に上がっています。
 
 不満を解決する力は、決して「痒いところに手が届く」だけではなく、時には潜在的に「分かってくれたのが嬉しい」と思わせることもあり、今回の場合は一見ただの歯ブラシ一本が、その人がその土地で心躍る体験をするためのきっかけを作った、というわけです。
 
 そんな出来事もあり、自分もあらためて「アレを実現させてやろう」、「これもきっとできる」と奮起するきっかけもつかみましたし、この時は大洗の海の幸をたらふく堪能することもできました(残念ながら写真はありません)。
 
 
 
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 ●参考
 堀江貴文 ホリエモン
 「ホテルはこうあるべき」に囚われない!世界でも支持されるアパホテルの良さとは【元谷夫妻×堀江貴文】
 1:40~7:48頃
 
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