物事の見方と受け止め方を変える事でストレスを無くす方法


①「失った」ではなく「返した」と考える
 こと人間関係においては、「借りているものと考える」ということです。
 もう少しかたちを変えて言うなら、この世に生まれてから死ぬまでの間に出会う、両親、兄弟、友達、恋人、配偶者、子供、ペットなどは、「自分の人生を豊かにするために、神様が貸してくれたものと考える」ということです。

 例えば、1年間付き合った人と別れて落ち込んだとしても、上記のように「神様が貸してくれた」と考えれば、「1年間でこの人と一緒に色々なところに行ったり、様々な食事をしたりして、二人で楽しい時間を過ごせた」、と感謝の気持ちが湧いてくるでしょう。
 そして、この感謝の気持ちが悲しみを中和してくれるので、心に余裕が生まれて平常心を取り戻すことができるのです。

 そう考えれば、家族と接する時でも子育ての時でも、その相手との貴重な時間をより大切にできるのではないでしょうか。
 或いは、我儘で非常識な友人がいる時でも、「何のために神様からこの友達を借りているのか」をよく考えて、距離を置くようにするなどの正しい判断ができるのではないでしょうか。

 人間には所有欲がありますから、「家族を借り物だと思うなんて」とか、「家族もペットも恋人も自分のものと思いたい」という気持ちも分かります。
 しかし、そこが「失った」と喪失感を感じてしまう落とし穴となるのです。

 「家族は自分のものだ、〇〇は自分のものだ」と思っていると、相手を自分の思い通りに動かしたいという気持ちが湧いてくるものです。
 だから、そういう気持ちが知らないうちに行動に出てしまって、言葉が荒くなったり小言や文句が出たりするのです。
 さらに、相手はそう簡単に変わらないからそこがまたストレスになって、もっと腹を立てたりトラブルに発展したりすることになるのです。

 

②自分でコントロールできるものを重要視する
 ポーカーで言うなら、「どんなカードが配られるか」はコントロールできないことです。
 ポーカーの中で自分がコントロールできるのは、「配られた手持ちのカードを使ってどうやって勝つか」ということです。
 つまり、自分でコントロールできないものはしょうがないので、自分でコントロールできるものの方を重要視しようということです。

 また、例えば居酒屋で、世の中の景気が悪い、会社の給料が安い、上司がいい加減な人だ、異性にモテないなど、お酒を飲みながらそのような文句をどれだけ一生懸命訴えたとしても、お金と時間とエネルギーの無駄遣いにしかなりません。
 しかも、常に自分が被害者の立ち位置に立たなくてはならなくなるため、自ら生き辛くなっていってしまいます。

 軽く例を挙げるとすれば、会社の上司のことで自分がコントロールできることをするのであれば、その上司とうまくやっている同僚に秘訣を聞くとか、コミュニケーションの本でも読んで内容を一つ試すとか、挨拶でも雑談でも何でもいいから本人と接する小さな機会を増やしていく、などが挙げられるでしょう。
 色々やってみてもどうしても本人とうまくいかないのなら、他部署の親しい上司や先輩に相談してみたり、人事に相談して部署を変えてもらうことだってできるでしょう。

 給料に納得していないのなら、勉強してスキルを一つつけるとか、副業を一つ始めてみるとか、貯蓄やお金の増やし方を学んでみる、などが挙げられるでしょう。
 異性ともっと交流したいのなら、身だしなみを整えて清潔感を出すとか、こちらから気さくに声をかける機会を増やすとか、異性だけでなく周りの人に優しく接して人間性を磨くとか、運動や筋トレをして魅力的な体型を作る、などが挙げられるでしょう。

 このように、自分でコントロールできる物事を重要なものとしてもっと大切に扱って、目の前のできることについて精一杯取り組んだ方が良いのです。
 自分でコントロールできないものに心を乱されたり振り回されたりしていいわけがないのです。

 

③他人事のように自分事を捉える
 この考え方は、ネガティブな感情に支配されないようにするために大事なことです。
 例えば、友人が失恋して落ち込んでいる時にどのような言葉をかけるかと考えた時、恐らくは優しく励ますでしょう。

 しかし、人間は自分の不幸には弱いですから、これが自分が失恋したとなると、まるでこの世の終わりのように感じてしまい、なかなか立ち直ることはできないでしょう。
 もしも、そうやって不幸に見舞われる度にどん底まで落ち込んでいたら、やがて生きることに対して臆病になってしまうでしょう。

 そこで、「もしこれが他人だったら」と考えて、他人を励ますように自分を励ますというわけです。
 仕事で失敗した時に、「もう取り返しがつかない」とか「もう終わりだ」と言うのではなく、「誰だって失敗はあるよ」とか「失敗があるからこそ成長があるんだ」と言うのです。
 そうやって他人を励ますように自分を励ませば、自信ややる気を失うこともないし、無駄に精神を病んでしまうこともなくなるのです。