世の中には、特に話し上手でなくても、なぜか人から慕われたり、いつも周りに人が集まっているような人はいるものです。
実際のところ、話の内容や話し方だけにとどまらず、気持ちの良い返事や相槌、相手が自然体で会話ができるように接していくことなどもまた、コミュニケーション力の一つと言えます。
ですから、その場限りの小手先のテクニックを駆使するというのではなく、誰でもできる小さなことを積み上げていく方が良いでしょう。
また、その相手と会えて嬉しいとか、お話ができて楽しいという気持ちが伝わるように話をするなど、そもそも相手の自分に対する態度が有効的になってもらえるように働きかけていくことも大切です。
①何気ないことにも「ありがとう」と言う
人は、自分に感謝してくれたり大切に扱ってくれる人を大切に思うものです。
心理学ではフランクリン効果と呼ばれるものがあるそうですが、そう言うまでもなく、そもそもの礼儀として身につけておくに越したことはないでしょう。
人間の脳は他人から親切にされると、エンドルフィンという快感ホルモンが分泌されると言われています。
つまり、「自分に感謝してくれた人に親切にすれば、また快感を味わえる」ことになるので、「この人を大切にしよう」と思っていくようになるということです。
また、その場で実際に「ありがとう」と言うだけでなく、その日の帰り際や翌朝や次に会った時などにもう一度「ありがとう」と言うことで、さらに効果があると言われています。
対面で言葉にする以外にも、帰った後にメールやメッセージなどでお礼を言うこともできるでしょうし、そう考えるとやり方は様々見つけられるでしょう。
②身体全体を向ける
相手とコミュニケーションを取っている時には、顔だけ向けずに身体全体を向けてやり取りをした方がよいでしょう。
人としての温かさや冷たさなどの印象の他、ちゃんと話を聞いてくれているという印象も与えることができます。
運動系の部活動などを経験している人は普段からそのように言われていたり、「話は目で聞け」とか「話は全身で聞け」などと言われたこともあるかと思います。
相手に対して「身体全体を向ける」という言い方の他に、「へそを向ける」とか「(体の)面を向ける」という言い方をされることもあります。
③「共感」の言葉を先に言う
相手から振られた話題に対して、まず共感するということです。
何も前置きせずにいきなり否定から入ってしまうと、相手が受ける印象としても良くないでしょう。
たとえ「自分は正直に誠実に意見を言っているだけだ」と考えていても、自分が相手から同じように言われた時の事を考えたら、ワンクッションあった方がやはり印象は違うと思いますので、それを「自分から先に共感の言葉を使ってみる」という話です。
人は、共感してくれたり、少しでも自分のことを受け入れてくれた人に対して心を開くものですので、「いいね」、「わかるよ」、「そうだよね」など、まず共感して相手のことを受け入れ、その後に意見や要望などがあれば付け加えるようにすると良いでしょう。
④相手の触れてほしくない話題は避ける
他人に触れてほしくない話題や事柄や思い出は、誰にでもいくつかあるものです。
たまたま一つだけ言ったり言われたりしただけでも気分が悪くなってしまうことだってあるのに、もし三つも四つも重なってしまえば、そこでコミュニケーションが終わるだけでなく、その後の関係も良くないものになってしまうかもしれません。
だから、もしもこちらが話題を振ったり何か質問をした時に、相手が「答えるまでに間が空く」とか、「答えを濁す、はぐらかす」とか、「目線が逸れたりトーンダウンする」という場合は、そこに何かのコンプレックスやトラウマや良くない思い出など、触れてほしくない話題があることが多いです。
そのような反応に気付いたらサッと話題を変えてあげる方が、自分自身のコミュニケーション力も瞬時の判断力も高まりますし、相手に対しても「思いやってくれた」、「気遣ってくれた」という印象を与えることができるでしょう。
⑤食べ物を与える
食事、お菓子、飲み物など、何か話をする時には相手に食べさせるということです。
人の脳は、美味しいものを食べている時に、その目の前にいる人も好きになると言われています。
交流会や飲み会などで出会った人と仲が深まったり、政治家などがよく食事会をしているというのもこうした理由からだとされ、ランチョンテクニックと言われることもあるそうです。
相手に食べさせるのは、ガムでも飴でもちょっとしたものでも効果があるそうで、仲良くしたい相手がいる場合は美味しいものを口にしながらコミニュケーションを取ると、その効果が期待できるでしょう。
とはいえ相手も、特に仲が良いわけでもない人や、明らかに苦手だったり嫌いな人から「話があるから何か食べに行こう」と言われる経験をしている場合もよくあることです。
そのような時は大抵もの凄く警戒されたり、「断りづらくさせて自分のことを都合よく使ってやろうと思っているんじゃないか」と心がなかなか開かなかったり、断る前提で「何で?」と訝しげに言われたりすることもあります。
そうなると、ただ普通に仲良くなりたくて、良かれと思って声を掛けただけなのに、信じられないほどのダメージをこちらが受けてしまうこともあります。
しかし、全員がそうな訳がないので、「まあそれも経験の一つ」と考えることもできるでしょうし、「何事も丸腰、無防備はいけないな」という教訓と捉えることもできるでしょうから、あまり気にし過ぎる必要はないでしょう。
ですから、相手に食べさせることも大切ですが、それ以前に、普段から明るい人・安心感のある人を心掛けて振る舞うとか、ちょっとした集まりや話題に入れてあげる寛容さを持つとか、こちらから挨拶したり話しかけたりするなど、小さなコミュニケーションをよくとっておくことが大切になります。