普段から意識はしていなくても、「相手に何かを伝えたい」とか「自分を理解してほしい」というようなことはほとんどの人が思っていることであり、コミュニケーションの基本ともなることです。
家族や友人といった親しい関係の人達と話をしている時でも、当然自分の気持ちや意見などを伝えるためにそれぞれがコミュニケーションを取っていますので、それなしでは生きていくことはできません。
ですから、より良く伝えるためにも受け取るためにも、たまにはコミュニケーションについて理解を深めてみるのも良いかと思います。
上手にやり取りをするために気を付けるポイントは様々ありますが、ここでは以下の3つに絞ります。
①自分の話を相手が理解しているか考える
②オウム返しをすることで相手の話を理解していることを示す
③右から左に聞き流されることは起こりうると心得ておく
①自分の話を相手が理解しているか考える
自分が相手に話をする時は、相手が自分の話を理解しているのかを常に自分自身に問う姿勢が大切です。
なぜなら、自分の話というものは、実は相手には伝わっていないいうことがほとんどだからです。
人は、情報を見たり聞いたり受け止めたりする時、多くの場合は素通しです。
また、みんなそれぞれの人生を生きていて、それぞれ大事にしているものが異なるからです。
見方を変えれば、相手がよほどその事に関心を持ったり、注意を払って聞いていたり、知りたいという強い興味を抱いていれば、あなたの話は相手のインプットに繋がる確率が高いということです。
しかし、一度に止めどなくずっと喋り続けたりすれば、誰だってその全てについて覚えておくことも集中していることも不可能です。
世の中には「10分間他人の話を聞き続け、その要点をキレイにまとめて上手に返すことができる」という人は少ないのです。
メモを取りながらであれば可能かもしれませんが、普通のコミュニケーションではそんなことはまずしないでしょう?
自分が相手の長い話を100%理解しながら延々と聞いていられるということはまずないという視点に立てば、その逆も同じだと分かるでしょう。
ですから、「少し長くなりそうな話をする時は、要所要所で相手が理解をしているかを確認しながら話をしていく」方が良いのです。
②オウム返しをすることで相手の話を理解していることを示す
①を踏まえた上で、自分が相手の話を聞く時は、話のポイントを確認しながら話を聞いたり、質問しながら理解を深めたり、復唱やオウム返しというような技術を使いながらコミュニケーションを深めていくことが大切になります。
いつも簡単な返事や同じ相槌ばかりだと、ちゃんと理解していたとしても「話聞いてた?」とか「ちゃんと伝わってる?」などと言われかねません。
「いつも」、「常に」、という意味ではありませんが、「聞いてるし、分かってるよ」、「理解していますよ」ということをそれとなくでも伝えていくことも、円滑なコミュニケーションには大切なことなのです。
さて、一般的にはオウム返しとは「相手の言葉を繰り返すこと」です。
コミュニケーションの最中であれば、相手の言葉の断片がまだ脳に残っている状態ですぐに言葉にするというアウトプットすることになるので、より記憶が強化されやすくなります。
さらに、相手の話を理解しようとしたり覚えようとしているということが目に見えて証明されることにもなるので、相手にとっては「自分の話を聞いて理解してくれている」ということが伝わるため安心してもらいやすいのです。
また、話が一区切りしたところで、「◯◯したら✕✕になったんだね」とか、「◯◯に行って、✕✕も△△も買えたんだね、良かったね」というように、その時点でオウム返しに加えて「小さくまとめて返してあげる」のもよいでしょう。
③右から左に聞き流されることは起こりうると心得ておく
最後は、コミュニケーションを取っている時の状況についてです。
実際のところ、相手の話を黙って聞いている人ほど、意外と聞いていないものです。
しかし裏を返せば、コミュニケーションとはキャッチボールであり、双方向性のやり取りが必要ということです。
例えば以下のような点をもとに振り返ってみて、相手と上手にやり取りができていたでしょうか。
・相手が話を聞く体制になる前から突然話し始めていませんか?
・自分の話が長すぎて、相手の集中力が切れていませんか?
・思いつくままに喋って、要領を得ない話になっていませんか?
・うっかり相手が嫌がって聞きたがらない話をしていませんか?
・元々は相手が始めた話を、自分が横取りしたかたちになっていませんか?
他人の話を一方的にただ聞くことしかできないなら、情報も右の耳から入って左の耳に抜けて、それで終わりでしょう。
だって、質問も、確認も、共感も、理解できた点も、相手に何も示すタイミングが得られないのなら、ただ辛いだけですよね?
その点を想像できれば、「一方的な話は理解されない」ということはよく分かるのではないでしょうか。
ですから、まずは「自分が相手に向かって投げたボールが、自分の手元に帰ってきているかどうかを考えながら話をしてみる」ということをやってみると良いです。
それだけでも、相手とのコミュニケーションの深まり方は変わってゆくでしょう。