リーディングと心理について

 
前提を操作して相手を誘導する技法のことを、リーディングと呼ぶ。
 
実験例:
赤い服を着た人の写真を見せた後の質問で、
A:男の人が着ていたのは赤いシャツでしたよね?
  →リーディング
B:男の人が着ていたのは青いシャツでしたよね?
  →ミスリーディング
C:男の人は何色のシャツを着ていましたか?
  →中立
 
 
また、「言うまでもございませんが・・・」などの、
社会的に広く認められている事を匂わせる前提が入ると、
人は何となく受け入れざるを得なくなる。
 
その時にちゃんと物事を見ていたり、普段から学んで知ってさえいれば、
「知らぬ間に思考を誘導される」ことは、今までの半分以上に減らせるだろう。
 
仮に今まで、「あなたは頑固だ」と周りから言われていたとすると、
「あなたは私の言いなりになれ」と言われていることにほぼ等しかったのだと、
後になって気づくことになるだろう。
 
自分の事であれ他人の事であれ、人の心の動きを少しでも知りたければ、
心理学は基礎程度は知っておいた方がよい、ということである。
 
 
余談だが、「頑固者になると人から嫌われるよ」と言ってくる人がもしいたら、
あなたが故意に強情に、天邪鬼のように振る舞っているのでなければ、
そのまま放っておき、その言葉に騙されないようにしていればよい。
 
できるだけ偏りのない知識をしっかりと身に付け、理路整然と物事を考え、
原則や計算結果に基づいて行動した結果、周りから「頑固者」と言われたとしても、
そこで諦めたり悲観したりせず、自分の力を磨き続けていれば、
やがて周囲の人もあなたと同じように変わったり、離れていく人は離れたりしながら、
同じような考えの人達との交流が少しずつできていくものである。
 
そうなった時に、自分の回りには今までよりも賢い人達が集まっていることになる。
最初のうちは彼らの言葉の使い方を非常に理屈っぽく感じるかもしれないが、
慣れてしまえば、自分の考えを相手に対して可能な限り正しく伝えるために、
より的確な言葉を選んだり、前提条件や理解の確認をとっていると分かるのだ。
 
結局のところは、普段から少しでもよいので何か新しいことを学ぶ癖を持ち、
その中で一時でもいいから、心理学の基礎的なことについても触れた方がよく、
たとえ何度か失敗ても続けていれば、少々の事では騙されたり惑わされたりしにくくなる、
ということである。