やりたいことが見つからない時はどうするか

 
 やりたい仕事も見つからないし、見つけたとしてもその仕事に就けるかどうかはよくわからないものです。
 例えば仕事においては、今の仕事がどうなのかということを次の三つに分類してみるとよいでしょう。
 
①ライスワーク
 生計を立てるために必要な、日銭を稼ぐ仕事。
②ライクワーク
 自分にとって好き、楽しい、興味、関心のある仕事。
③ライフワーク
 楽しくて自分を実現できる仕事、この仕事をするために生まれてきた、と思える仕事。
 
 
 
 ③については一朝一夕に得ることができないものだと思いますし、20代30代のうちでは自分の考えていることに到達できていないということもあるかもしれません。
 それを考えると、自分が本当にやりたいことを仕事にするのは中々簡単ではないことは誰にでも言えるでしょう。
 
 だから転職してキャリアを積んだり、セカンドキャリアを計画していったりすることが必要にもなります。
 学校を卒業して一番最初に就職した職場が、自分の生きがいとも思えるライフワークであればとてもラッキーなことですが、おそらくほとんどの人は出会えていないでしょう。
 仮にその仕事に就けたとしても、希望の部署に配属されないということもあるかもしれません。
 
 ということを考えて、今は①のライスワークかもしれないでしょうが、これを②のライフワークに関連させたり、仕事外でなにがしかの経験をするなりしてつなげていく工夫をしたりする。あるいは転職などをして少しでも希望に近づけた仕事の仕方をする。
 そして最終的に自分の好きなことを仕事にして、③のライフワークとして生きていかれるようにしていく、というようにレベルアップさせていく必要もあるのです。
 
 好きな仕事かそうでないかとか、やりたい仕事かそうでないこととか、物事を二者択一で考えすぎないようにして、実現させていくための筋道を少しでも自分で作っていくということが大切です。
 筆者もそこそこ生きていますが、自分が素晴らしい、最高と思える仕事にいきなり就くことのできる新卒の人というのは、聞いたことがありません。
 
 むしろ今いる場所、今できていることを活かして少しずつレベルアップをしたり、常にアンテナを張ったりその張り方を覚えたりしながら、「自分は本当は何がしたいのか」とか、「自分は何をしている瞬間が一番楽しいのか」とか、「自分の興味関心は一体どこにあるのだろうか」ということに常に向き合って、その時なりの答えを出来る限り具体的に頭や心の中から出し続けていくことが重要なのです。
 
 
 
 ちなみに、筆者は子供の頃から「自分もいつか音楽室の壁に写真を飾られる人になりたいなあ」と思っていましたが、当時は学校や音大で教えてもらえる音楽の分野として存在していないものがあったため、それを学ぶために自ら働いてお金を貯めて渡米して作曲家や編曲家や指導者の家に転がり込むとか、その後自分が作ったり編曲した譜面を学生さん達が全国大会で演奏してくれて金賞取ってくれたとか、知らない土地を方々お伺いして見ず知らずの子供達に楽器を教えたりするようになるなどとは、10代や二十歳そこそこの頃の自分としては微塵も思っていないわけです。
 
 学生時代のアルバイトでいろいろな経験をするところから始め、やがてライスワークとして飲食業やプログラマー、SEなどをしながら、「何にも無くなってしまった時にはここから再起できる仕事」や「自分が身動きを取れなくなる状況が今後必ず訪れる予測があるため、そうなった時でも少しでも稼ぎを得られる仕事」を積み上げつつ、当時は何ともぼんやりしたままだった状況を現実として少しでもかたちにして、今のところを生きているわけです。まあ年齢を重ねた大人であれば誰しもこのようなことに近い経験をお持ちでしょうが。
 
 まずは、自分の好きなことや得意なことに向き合い、そこを徹底的に伸ばすことです。
 ライフワークというものは恐らくその先にあると思いますから、現在の段階で、自分の好きなことや得意なことも分からず、何においても自信がないという状態では、たとえどんな仕事に就いても転職をしたとしても、良いと思える仕事に就ける確率はとても低くなるでしょう。
 
 もし今のところ何も思いつかないのなら、とりあえずのところは、自分の頭にあることをノートに書き出しでもしながら、①から③へとステップアップをしながらより良い状態へと移行していくためにどうしていったらよいかを少しでもはっきりさせていくことから始め、自分と向き合いながら軌道修正を続けていくとよろしいのではないでしょうか。