悩みは誰にでも一つくらいあるものですし、人によってその大きさや種類や解決方法はさまざまです。
しかし、どんな悩みであっても、前向きに対処する方法はあるものです。
本稿では、自分で解決する力を高めたり、悩みの度合いを和らげたりする基本的な方法について記しました。
1. 自分で調べてみる
悩みを解決する第一歩は、自分で情報を集めることです。
同じようなことで悩んでいる人は意外といるものです。
インターネットで検索してみるだけでも、専門家の回答から一般人の体験談まで様々あることでしょう。
また、後の項目でも述べていますが、仕事での課題やプライベートな悩みがあると思います。
こういう場合も、いきなりゼロから丸腰で人に聞くのではなく、解決に必要な知識や方法を事前にリサーチする方が良いでしょう。
自分で調べる際のポイントとして、
①問題が何なのかはっきりさせる
何で悩んでいて、どうしたいのかを明確にします。
例えばインターネットで調べるのであれば、自分なりにキーワードに当たりをつけて検索してみるとよいでしょう。
繰り返していくうちに、調べ方の勘所も身に付いてくるものです。
②仮説を立てる
自分なりに問題点を整理し、どこに原因があるのか考えます。
また、どう対応するのがよいかを3案くらい挙げてみるとよいでしょう。
これも繰り返していくうちに、内的要因か外的要因を想定したり、広い見方をすることに慣れて、案外あっさりと解決への道筋を見つけることにも繋がります。
③質問を具体化する
誰かに聞くなら、解決したいことを明確にし、相手に伝えやすくすることです。
例えば、仕事で納期が迫っている時期なのに、聞きたいことも分からない状態で相手に対しておんぶにだっこでは、質問をする態度としては相手にとってちょっと失礼に映るかもしれないですよね。
少なくとも、どんな問題を、どのように解決したくて、今どんな状況なのか、くらいは伝えたいところです。
また、自分の満足のいく理想の解決方法以外にも、「どのような条件が揃ったら解決と言えるか」という視点でも考えてみるとよいでしょう。
なぜなら、あなたが人に質問するのであれば、その相手はあなたとは経験も、育ってきた環境も、視点も考え方も違うので、当然解決へのアプローチの仕方も異なる可能性があるからです。
そう考えると、
・10の条件が揃ったら満足のいく解決 → スゴイ!マジ神!ありがとう!レベルの解決。
・7なら十分納得 → こんな発想があったんだ、勉強になった。と見習える。
・5ならまあ納得できる → 一般的な解決。次は自分で何とかできそうと思える。
・3なら不満は残るが理論上は解決 → 解決はしてるけど多少補えていない部分も残る。
というような尺度でも考えられた方が良いですし、それに伴って解決の仕方の視点も変わりますよね。
だって、もし自分が人助けした時に、相手から「うん、まあ、とりあえずありがとう、思ってたのと違うけど。」とか言われたら、気分が悪いじゃないですか。
このように、自分で調べたり、質問する準備をしておくと、他者に相談する際にもスムーズに話が進み、必要な答えが得られやすくなるのです。
そして何よりも、「調べているうちに自然と解決する」という回数も増えていくのです。
2. 手書きで書き出す
頭の中にある悩みを紙に書き出すことは、解決への近道です。
書くことで自分の考えが整理され、物事を客観的に捉えられるようになります。
書き出すことのメリットとして、次のようなことが挙げられます。
①現状を把握することができる。
②論理立てて整理されたり、ストーリーになる。
③自己観察力や自己洞察力が向上する。
④問題点が明確化され、解決策が見えてくる。
⑤ストレスの発散になる。
また、よく言われている「賢者のワーク」と呼ばれる方法もあります。
その手順として、
①悩みや思っていることをすべて書く。
②時間を置いて(少なくとも10~30分程度、一旦忘れるくらい)書いた内容を読み返す。
③自分ではなく、友人や第三者が書いたものだと想定して読む。
④その内容に対して、助言や感想を書き加える。
よくよく思い返してみれば、頭の中で考えたり、思ったり、感じたりしていることは、「分かっているようで実は分かっていない」ことがほとんどだったりします。
ですから、悩みや質問などは、面倒でも一旦アウトプットして言語化することで物事を客観視できるようにしてしまった方が、はやく解決することに繋がるのです。
3. 他人に相談する
悩みが自分だけでは解決できないと感じたら、周囲の人に相談してみましょう。
家族、友人、同僚、専門家など、状況に応じて適切な相手を選ぶことが大切です。
相談のコツとして、
①相談前に現状を整理する
(1) どんな悩みや問題なのか
(2) 最終的にどうなればよいか
(3) 現在どのような状況か
(4) 自分で解決できた点は何か
(5) まだ解決できていない点は何か
②普段から良好な関係を築いておく
人との信頼関係があることで、相談がスムーズに進みやすくなります。
良い関係作りができていないと、質問や相談をしている最中に相手が諦めてしまったり、そもそも応じてくれないということにもなりかねません。
この項は「1. 自分で調べてみる」と近い部分がありますね。
例えば仕事であれば、職場で最も解決に近づける回答を持っていそうな人に聞くのがよいのでしょうが、それ以外で、特にプライベートなことなどでは、門外漢に聞いてしまうことはできるだけ避けなければなりません。
また、もし相手が解決策を持っていたらラッキーですが、必ずしもそうとは限りませんので、やはり一旦自分で調べるという過程は省かない方がよいでしょう。
他にも、SNSを活用してみるのも一つの手です。
SNSに投稿することで、詳しい人からコメントが得られる場合がありますし、既に同じ悩みを既に誰かが聞いていることもあります。
何にしろ、自分からネガティブな内容を頻繁に発信することは避け、②でも記したように、画面の向こうの見知らぬ人であっても丁寧で建設的なやり取りを心がけていくことが大切です。
4. 一旦諦めるという選択
ここでいう諦めるとは、「一旦受け入れる」という意味です。
ただ投げ出したり、匙を投げるという意味ではありません。
解決が難しい問題であっても、冷静に受け止め、視野を広げてみましょう。
広い視野を持つためのヒントとして、
①できることに集中する
今できる行動に焦点を当てる。
②長期的な視点を持つ
今は一時的に解決が難しくても、時間が経てば状況が変わることもあります。
解決したいことが自分ではコントロールできない範囲のことで、今は諦めなければならないこともあります。
また、今のレベルでは解決が難しくても、技術や経験など自分の成長が伴えば解決できることもあります。
悩みが解決しないことに焦らず、柔軟な対応を心がけることが大切です。
まとめ
相談や質問をすることは、自己開示の一種とも言えます。
それをきっかけに自分の考えを知ってもらったり、また相手の考えを知ることにもなり、コミュニケーションとしても深めていくことができるでしょう。
「解決しなければ意味がない」なんて仰らず、悩みを聞いてもらえる相手がいるだけでも心が和らぐこともありますから、これも身に付けておいた方が良い大切な考えの一つと思っておいた方が後のためになります。
筆者は昔、渡米した経験があります。
基本的には、こちらが困っている時に相手に求めれば助けてくれることがほとんどですが、まあ、これは日本でも同じことが言えますよね。
ただ、そもそも「以心伝心」という考え方がありませんので、親しい間柄の日本人同士のように言葉にしていないことを察して理解してくれるということは、ほぼ、いえ、まずありません。
「ここは日本だし、日本を出る気はないから関係ないよ」と思う人もいるかもしれませんが、それでも質問や相談をすることで解決に向けて何かを変えるきっかけにできます。
自分だけで解決できないことや悩みを相談したり質問することに、日本人も外国人もありません。
より正確に相手に伝えるからこそ、「今助けて欲しい」と知ってもらったり、「一緒にやれば解決できるよ」となるのですから、上手に伝えられるようにしていきましょう。
悩みを解決する方法は一つではありません。
自分の力を信じて試行錯誤していくことも、必要に応じて他者の力を借りることも大切です。
それに加えて、どんな状況でも前向きに行動を続けることで、新たな道が見えてくるのです。
本稿が悩み事の解決のきっかけになれば幸いです。