仕事の生産性を上げるには

 
①過程や頑張った感に惑わされない
 仕事のできる人ほど目的と結果に着目し、目標も逆算して達成に向けて考える。
 また、もしうまくいかなかったり失敗したことがあった場合は、目的を達成できなかった原因について、前もって立てていた目的と結果と照らし合わせて考えていく。
 真似をするなら日頃から、結果、目標、達成する、成し遂げる、などの言葉を意識したり口にしたりしているとよい。
 
 いわゆる「できる人」と言われる人たちは、上司から与えられたり設定されたりした目標だけでは我慢できずに、自分の実力にふさわしいより高い目標を、自分で勝手に設定している傾向が高いそうだ。
 さらに、目的が達成できれば必要以上に過程に重きを置かず、例えば役員から決済を得るにしても、受注して売上につなげるにしても、段取りを計画するにしても、資料を作るにしても、必要最低限の内容やステップ数を見積もっている。
 
 悪く言ってしまうと「結果さえ出せればそれでいい」とも捉えることができるが、もちろん時と場合によってアプローチの仕方が変わるのは当然である。
 あくまでも結果や目的の達成を優先し、わざわざ手の込んだものにしていないだけで、基本としては「そこに必要なステップは最も簡素なものでよい」と割り切っているのだ。
 だから、決して手抜きではなく「できるだけ楽をできないか」とか、「必要最低限のステップ」とか、「達成までの最短距離」などと考えているし、実際ほぼその通りに動く。
 
 これに対して、物事の過程を重視したり、失敗したけどみんなで力を合わせて頑張った、などの部分にばかり着目していると、その他大勢になってしまいやすい。
 
 
 
②自分の弱みを見せる
 仕事のできる人ほど、自分の弱みをさらけ出して仕事をする傾向が高く、オープンな性格でアクティブに動き回る人が多いと言われる。
 逆に言えば、ナメられるのが嫌だからと弱みや欠点を見せないようにしたり、必要以上に誇張したり自分を大きく見せようとする、などということはしない人が多い。
 会社であれば、社内の人とだいたい接点を持っておくとか、その分野に詳しい人を知っておくとか、盤石なポジションにいる人などしている、と言うことである。
 
 そうしているのはもちろん、目的の達成のためにはどうしても自分一人の力ではできなかったり、他の人との協力が不可欠であることがある、ということを知っているからである。
 例えば新たな資料を作るにしても、自分の席に座って一人だけで一日向き合うよりも、少しでも気になる点があるならキーマンや分かりそうな人の所に行って積極的に意見を聞いた方がいいし、仕事の上でも問題の解決や目的の達成につながっていくのだ。
 
 できる人と言われる人たちが、周りがアッと驚くような成果を出したり、他人の心を魔法でも使って見抜いているかのように見えるのは、特別な能力があるわけではなく、ただシンプルに何度も何度も確認しているだけであることがほとんどである。
 だから、現段階で2~3割ぐらいの完成度の資料であっても、「自分のやっていることは完璧ではない」ということと、「目的は相手からYesを引き出すこと」ということを自覚しているので、めげずに何度でも確認しに行くのだ。
 
 その確認のやり方やコミュニケーションの取り方をとっても、次のような傾向が高いと言われる。
  ・相手を否定せずに、開いての意向を最大限尊重する
  ・コミュニケーションの多くの時間を笑顔で過ごしている
  ・小さなことでも指摘してくれたことには感謝の発言をしている
  ・自分の意見を述べる場合、その前の相手の発言を肯定している
 
 目的を達成するための一番最初の段階から100%の状態ということはないし、すべてを分かって把握して思うままに物事を進めていくことは、まずできるものではないだろう。
 その意味では「自分の状態は(今のところ)不完全である」という弱みを曝け出しながら、キーマンや分かっている人を仲間として引き込みつつ仕事を進めていくことこそ大切なのである。
 美しい資料も確かに大切だが、完成するまで一人でパソコンの前に張り付いたままという状態であってはならないし、もし変なプライドを持っているとしたら、それは持つだけ損である。
 
 
 
③意識ややる気をあてにしない
 仕事のできる人ほど意識よりも行動、やる気よりも仕組みを改善する。
 意識よりも、小さなことでいいから行動を変えたほうがよいし、その結果として意識が変わってくれば尚良い、と考える傾向が高い。
 
 また、やる気のような感情は不安定だから、目標達成のための要素に「やる気があるかどうか」を入れないのである。
 それよりも、やる気がなくても確実に前に進むように仕組み化したり、より具体的になるように言語化したり数値化して設定している傾向が高い。
 
 ・集中して作業する
  →作業時間を〇〇分刻みにする
 ・プロジェクトを達成するためにチームの情報を共有する
  →仕事の進捗の段階や〇〇%の進み具合ごとにチームにフィードバックする時間を設ける
 ・新規顧客を訪問する意識を高める
  →既存顧客訪問回数の1.5倍、新規顧客を訪問する。
 ・全体の残業時間を減らすため、働き方改革を意識する
  →定時の〇〇時になったら仕事を切り上げ、帰る姿を部下に見せる
 
 できる人はこうしたことを実際の業務や行動に活かす確率が高いが、失敗も多い。
 しかし当人たちは、これらの失敗や挑戦を「ただの実験の一つ」として捉えており、意識だけが高いスローガンを打ち立てるのではなく、実際に行動に起こしたり示したりしていくことに重きを置いているのだ。
 
 慣れてしまえば自然にできることなのだが、結果を出したり、目的の達成をしたり、取り掛かる物事や行動に具体性を持たせるためには、ぼんやりとしたままはっきりしていないものや状態、感情、感覚などを、もう一段階はっきりさせようとしていくことが大切なのである。