今までは、言われた通り音をこなすのは上手だったが、いざ上に立つと、周りの人間関係を作って他人を率いていくのが苦手ということもある。
最初は誰だってそうだし、チャンスがピンチになることもあり得るが、基本的にはチャンスと考えた方が良い。
せっかくだから、部下や後輩を率いて指導しながら進んでいくということを前向きに経験してみても良いのだろうが、どのような心持ちでやっていけばよいだろうか。
①部下や周囲の人の心理を知る
今までは自分が部下だったから人から、言われたことをやっていればよかったことも多い。
それがこれからは自分で考えて指示を出す立場に変わるのだから、そのチームの調和を考えながら仕事を回し、進めていかなければならない。
自分が上に立ったことで仕事の内容も一変するのだから、当然「自分が管理する立場である」という立ち位置に気持ちを切り替える必要がある。
だから今度は、上司の心理を知り部下の気持ちを捉えて調整していくことになるので、「見える世界が変わる」ということに気づいておいた方がよい。
部下の目線や上司の目線に立った書籍などはたくさん出ているのだから、この先職場の人間関係で悩んで落ち込んでいくなどということがないように、分からないなりにも先回りをして勉強をしておき、避けられるべきことは避けた方が良い。
②中立な気持ちに立つ
昇進をしたり責任ある仕事を任されたからと言って、過剰に意気込んだり一生懸命やりすぎると、かえって燃え尽きてしまうのも早いこともある。
自分一人が一生懸命やっても、職場の雰囲気が急に変わったり業績が急激に伸びたりすることはほぼないということを知っておき、長期戦を覚悟して構えておくことだ。
スタートダッシュという考え方も大事かもしれないが、上に立ったのなら最初の数ヶ月だけを死ぬほど頑張るよりも、同じペースで淡々とやるべきことをやっていくことの方が、上に立つ者としては大切な考え方である。
色々なことを思いついてたくさんやりたいだろうが、そうしようとすればするほど、周りがあなたの気持ちを理解してくれなかったり、ついてこなかったり、新しいものを取り入れようとしたそばから反発が起こるものだ。
だからまずは、部下や関係する人たちとのその関係性を深めていくことを重視することだ。
新しいことに挑戦したり改革したりするのならば、味方を増やしながら着々と進めていった方が良いだろう。
焦らず、空回りせず、中立な気持ちに立って冷静に淡々とやっていくことが大切である。
③ポジティブなフィードバックを心がける
役職が上に立つ人がまず直面するのは、周りの人が思うように動かない、周りの人から信頼されない、という問題である。
人を思い通りに動かすのは簡単ではないし、支配しようとすればするほど反発される。
だから、淡々と着実に進めるためには、特に部下などに対してはポジティブなフィードバックをしてあげると良い。
「それいいね」、「頑張ってるね」、「最近一生懸命熱心にやってるね」、「上手にまとめてるね」、「結果が出てきてるね」というのがその一例である。
これが、「もっとやれ」、「まだまだだ」、「何だそれ」みたいなことを言うから、周りは嫌な気持ちになってやりたくなくなるのだ。
「やれ」と言われるとやりたくなくなるのが人間であり、「それいいね」と言われるだけでやる気が出るのもまた人間なのだ。
年齢も性別も関係なく、ポジティブなやり取りに対してはポジティブなやり取りが返ってくるものである。
だから、部下のいいところや、上手くいってるところや、頑張っているところを指摘してあげる。
それだけで人はやる気も出るし、あなたを信頼してくれるようにもなっていくのだ。
ポジティブなフィードバックをたくさんしてもデメリットにはならないのだから、相手のことをよく観察し、どういう仕事ぶりをしているのか細かく見てあげて、どんどんやってあげると良いだろう。
上司は、命令者や権力者というよりも、調整役や仕事を回し、働きやすい環境や人間関係を作る役割をするというイメージの方が、今の時代なら上手くいくことも多いだろう。