厳しい指導や教育のやり方に陥らないために メモ

 
 体罰やパワハラというのはそもそも良くないが、かなり厳しい状況に追い込むスパルタ方式は、今でも多少は見かけることがある。
 そうやってモチベーションを引き出すにしても、人間のモチベーションというのは、ドーパミンによるものとノルアドレナリンによる2種類があると言われる。
 これは、童話の「北風と太陽」で言うなら、太陽のやったことがドーパミンモチベーションで、北風のやったことがノルアドレナリンモチベーションと言えるだろう。
 
 ざっくり言ってしまえば「褒める」と「叱る」である。
 もう少し指導や教育の現場風に言えば、「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」を使い分けるということである。
 
 相手を褒めたり、励ましたり、前向きなことを言ったりして、楽しい気持ちになってもらってモチベーションを上げるのがドーパミンモチベーション。
 叱ったり、怒鳴ったり、決して良いとは思わないが体罰だったり、気持ちを引き締めるために厳しい態度で接することによって人を動かしていくのがノルアドレナリン モチベーション。
 
 
 
 仕組みとしては、ノルアドレナリンモチベーションは短期間で高い効果を発揮するものとなる。
 一例を言えば、夏休みの宿題を1日で終わらせるなど、追い詰められた時に能力を発揮するのがノルアドレナリンの効果である。
 
 ただし、こういうことは毎日できないし、長期的な継続性もないため、ここぞという時にしか使えないだろう。
 行き着く先も、いいところ3ヶ月程度で効果がなくなるか、精神的に落ち込んだりメンタル疾患で参ってしまったりすることになるのが関の山だろう。
 確かに一時的には効果を発揮するかもしれないが、長期的には難しく、メンタル面も厳しい状態になってしまうので、いずれにしてもそのように強制的に人を動かすという方法は、お勧めできないものである。
 
 ドーパミンモチベーションはと言うと、「褒めて伸ばす」だけだと適切な言い方ではないかもしれないが、ポジティブなフィードバックを心がけることが良いだろう。
 「ポジティブ」とすることで、褒めるよりももっと気楽に「それ、いいね」とか「今日も頑張ってるね」など、何気ない、ちょっとした前向きな言葉をかけるだけで、人は「もっとやろう」と自然と思えるようになるものだ。
 
 
 
 体罰やパワハラは良くないのは当たり前のことだ。
 そんなことをしたって、接した相手がこの先に希望を見出したり才能を開かせたりすることは、よほどのことでもない限りまずないだろう。
 今のご時世にもふさわしいとは全く言えない。
 
 相手だって、その人の人生というものがあるし、育った環境だってそれぞれ異なるのだ。
 だから、一時的な成果を目当てに傲慢な振る舞いをするものではないのだ。
 
 もちろん、相手を奮起させて「できるぞ」、「やれるぞ」と思える状態にしてあげるやり方は時には必要だが、強制的に高圧的にノルアドレナリン的な興奮を誘って効果を引き出すよりも、本人をその気にさせたり希望を持って自発的に事に当たれるようにすることの方がより適切なのは明らかだ。
 
 「ドーパミンモチベーション」と言うと堅苦しいと思うので、ポジティブフィードバック、太陽のように暖かく接する、前向きな言葉を心がける、といえば伝わりやすいだろうか。
 こういうことを主にして、部下や後輩や子供の指導に当たる、少しだけ寄り添ってあげる、というようにしていくことが大切である。