他人のやる気を上手に引き出す方法 メモ

 
 こんなタイトルをつけると「自分を何とかすることのことの方が先だろ」と言われてしまいそうだが、実際のところやる気を感じられず、「周りの人たちと足並みを揃えて欲しいな」とか「もう少し頑張ってこちらに追いついてきてほしいな」思ってしまう人は、たまにいるものだ。
 また、そういう人に限ってそもそも攻撃的だったり、サボり癖があったりする上、褒めればつけ上がるし叱ればひどく落ち込んだり反発したりすることが多く感じられる。
 自分自身がさらにより良くなっていくために行動していくことは当然だが、それはそれとしてその人には強い心を持って対応しなければならない。
 
 そういう時は、褒めるでも叱るでもなくポジティブフィードバックをするとよい。
 コーチングなどではよく行われることだが、上手くいっている人もそうでない人も、サボってばかりいる人も、真面目が空回りしている人も、全ての人に対して同じようにポジティブフィードバックをするのだ。
 自分よりも年齢が上でも下でも同じでも、上手くいっていることや良くできていることについて「それ、いいね」と言うのだ。
 
 「それ、いいね」と言われると、言われた人はそこを一生懸命やるようになり、その結果として上手くいっているところを伸ばすことに繋がるのだ。
 多くの場合は、ダメなところを「普通のレベルにしなさい」として叱るという行為をするのだろうが、それだと叱られたところで嫌な気持ちになって、実際のところ大した効果もない。
 短期的には効果が出ることもあるかもしれないが、「また怒られるから、しょうがないから」と形だけ従ったり、すぐに忘れて何にも改善されていないということになってしまうのだ。
 
 
 
 それよりも、その人が一生懸命やっているところを指摘してあげることがポジティブフィートバックとして大切なのである。
 誰だって、自分の中で一生懸命やっていることや、特に気にせず当たり前のようにできていることについて、他人から良く言われたら嬉しいものだ。
 SNSなどで高評価や「いいね」が増えたりして他人からの共感を得られると嬉しく思うだろうが、それと同じようにポジティブフィードバックを受けることで嬉しく思って、やる気が出て前向きに考えられるようになっていく。
 
 要は、サボっている人でも、いちいちめんどくさい人でも、肝心な時に使えない人でも、それでもその人が気持ちを入れて取り組んでいることや、頑張っていることや、できていることがあるのだから、その部分に関してはポジティブフィードバックをしてあげると良いということなのだ。
 そうすれば、どんなに箸にも棒にもかからない人だって、「この人は自分の頑張っているところを見てくれている」とか、「この人は自分を評価してくれる良い上司だ」とか、「自分のことをちゃんと見てくれている」というように、こちらに対してちょっとずつでも前向きな感情を返してくるようになるはずである。
 
 「ネガティブな面も指摘しなければならない」というところは、管理職などの立場のあるひとなら必要なことでもあるだろう。
 しかし、その人とある程度の信頼関係がないと、叱ったり注意したり指摘したところでどうせ言うことは聞かないのだ。
 
 だからまず、ポジティブフィードバックをしながら信頼関係を作っていく必要があり、その上でできている部分を評価して、できていない部分は注意や指摘をして、踏み外してはならない範囲を超えることについてはきちんと叱っていく方が良いのだ。
 最初は9割がポジティブフィードバック、残りの1割がネガティブフィードバックというくらいの割合で言っていくようにすれば、相手の心にも少しは響かせることができるだろう。
 
 
 
 職場だろうが学校だろうがどこだろうが、ほとんどの場合はポジティブフィードバックが足りていないように感じることは多い。
 だから「こんなに頑張っているのに認められない」などと思いながら日々過ごしてる人も、案外多いのではないかと感じてしまう。
 
 様々述べたが、単純な話、自分がやっていることを他人からただ認められるだけでも嬉しいものなのだ。
 それは、それぞれが自分自身のことを振り返ってみればよく分かることなのではないだろうか。
 ちょっとした何かを言われただけでやりがいを感じたり、やる気が出たり、状況は変わってなくても何となく希望を持てるようになったりして、そうやって頑張ってきたのではないだろうか。
 
 ポジティブフィードバックをせずに相手に何も言わないままだと、やる気を出せないどころかこちらへの反感は強まるばかりになるだろう。
 だから、その人が上手くやれていたり、何とかやっていたり、ぼちぼちやれている中でもポジティブな部分について、「いつも○○を頑張っているね」と言葉に出して言ってあげるだけで、相手の感情も変わってくるのだ。
 子供に「宿題やりなさい」といくら言ってもやらないのと同じように、大人だからと言って悪いところばかり指摘するばかりでなく良いところやすごく頑張ったところについて言ってあげる。
 
 ポジティブフィードバックでこのように伸ばしていけば、個人差や相性などからあるだろうが、短期的に結果が出やすいだろう。
 しかし、短所の克服など時間がかかることについては、ポジティブフィードバックで信頼関係ができた後に対処していく方が良い。
 やる気のない他人のやる気を引き出すには、とにかくポジティブフィードバックをしながら相手との信頼関係を深めていくことから始まるのである。