部下にしろ、後輩にしろ、新人にしろ、思ったように仕事ができない、指示通り動かない人というものはいるものだ。
しかし、基本的には他人は変えられないのだから、変わるとすれば自分が変わっていく必要がある。
例えば、自分の行動、気の持ちよう、思考方法、考え方など、変えるための様々な要素はあるはずだ。
また、思うようにいかない人達、或いは思うようにいかない状況に対して腹を立てたりイラッとしたりするのは、自分の思い通りにことを動かしたいという気持ちの表れでもある。
もう少し詳しく言うなら、支配するされるの「縦の関係性」を、知ってか知らずか望んでいるのである。
人が幸せに人生を生きるためには「横の関係性」、則ち、対等な関係性があることが大切だ。
現状、あなたが他人を支配しようとして、その結果が出ないからイラッとしているだけなので、まずは自分が「縦の関係性」を他人に強いていることを自覚すべきであろう。
望ましいのは「横の関係性」であり、応援し合ったり励まし合ったりできる関係が良い。
支配するされるの関係性では、支配する側もされる側も不幸になるだけなのだ。
それよりも、なぜできないのかという「原因」を一つでも解消していくように努めると良いだろう。
仕事ができないからと言って、すぐさま「使えない」とか「クズだ」とか、「相手にしない」とか言わずに、縁があってあなたの部下だったり後輩だったりしているのだから、そこは上手くやってあげて応援してあげるとことだ。
例えば、なぜできないのか、作業の内容を理解していないのか、何か足りていないスキルがあるのか、苦手な部分があるのか、思いつくだけでもこれだけある。
また、仕事の流れと言っても、いくつものプロセスに分解することができる。
そのうちのどこで困っているのか、そこを相手と一緒になって一つ一つ解消していくのである。
そうすると、反復練習が必要だと分かったり、参考になる本を紹介してあげられたり、得意そうな部分を伸ばしてあげたりする、ということが見えてくる。
さらに、新人であれば「そもそも知らない」ということもあるだろう。
その他にも、実は病気や過去の失敗が負担になっていて、それを言い出せずに一人でこじらせてしまっているというパターンもある。
一般的な社会人であれば、自分が創立したわけではない誰かが建てた会社の中で、その一員として働きながら他人と出会って同じチームで働いているのだから、やはり周りと力を合わせて解決し、前向きに進んで行った方が良いのだ。
こうした中で仕事が面白くなってきて、部下や後輩は伸びていくのだ。
やる気を出して前向きに進むようになり、次の世代の人達を教えたり、新しいお客さんや取引先とめぐり合わせてくれたりすることになる。
そしてあなたも解決できることが増え、業務の幅を広げていかれるようになるのだ。
それを罵倒しようものなら、仕事に対する意欲をなくし、やがて作業レベルも下がり、ミスや失敗が増えて悪循環に陥っていくのだ。
できない部分はできないなりに原因を見つけ、対策をして、対処したらそのフィードバックをして、次にまたやる時の改善策を見出していく。
多くの場合はそれを繰り返して、学習しながら改善させていくしかないだろう。
部下や後輩がミスした時に上司や先輩がすべきことは、腹を立てたりイラッとしたりするのではなく、フィードバックなのだ。
なぜ上手くいかなかったのか、なぜ失敗したのか、なぜ今までやったことを然るべき時にできなかったのか、ということを一緒に考えていくのだ。
フィードバックをする時に大切なことは、上手くいかなかった点についてばかり考えるのでなく、上手くいっている点についても一緒に考えていくことだ。
そして、短所はフォローし、長所はより伸ばしていく、ということをしながら、「横の関係性」をしっかりと作っていくことが大切である。
そうすれば、腹を立てたり イラッとする時間も間違いなく減っていくのである。