自分に向けられた悪意を何とかする方法 メモ


 他人から向けられるあらゆる悪意を排除するには、「受け流す」ことです。
 相手が特に深くもない間柄なら「へー、そうですか」くらいで良いですし、目上の人や上司というのであれば「ありがとうございます」、もしくはそれに相当する丁寧な言葉で受け流しておけば良いです。
 他人から向けられる悪意によって嫌な気持ちになるというのは、正面からまともに受け止めて我慢しているという状態ですから、そんなことをしなくても良いのです。

 格闘技でも何でもそうだと思いますが、正面から受け止めてガードをすることは確かに衝撃を軽減できるのでしょうが、それ以外にも「躱す」という方法もあります。
 それをせずに我慢して受け止め続けているから、やがて弱ってきて、嫌な気持ちになって落ち込んで、酷ければストレスにやられたりメンタル疾患に陥ってしまうことになるのです。
 ですから、まずは躱し方も覚えた方が良いということになります。

 心理学では、「過去と他人は変えられない」という、カナダの精神科医のエリック・バーンの言葉がよく使われますが、基本的には他人を変えることは不可能です。
 その通り、悪意を持った人や嫌な人の行動に対して、あなたの努力で何かを変えることはまずできないでしょう。
 相手が「私は変わりたい」と考えているなら別ですが、相手の意に反して相手を変えることは不可能だということをま、まず最初によく理解しておくことです。

 こういう時は、「自分の方が変わる」というのがより良い判断となります。
 どう変わるかと言うと、悪意を向けられたら正面から受け止めて我慢せずに「躱す」のです。
 格闘技で相手の攻撃に自分から当たりに行く人がいないのと同じように、あなたも相手からの悪意に対して自分から当たりに行ってはならず、まして受け止め負けて相手の良い様にあなたの方が変えさせられてしまい、言いなりの人生に落とし込められるなどということは、絶対に避けなければなりません。

 

 人間関係においては、嫌な人は必ずいるものです。
 悪口や悪意まではいかないにしても、反りが合わない人というのもいます。
 それらをいちいち気にしていたらキリがありません。

 世の中は10人いれば自分のことを嫌いな人は1人くらいいるものですから、嫌なことをされたら「そういう人もいるね」とか、「10人の中の1人がここにいた」と思って受け流せば良いのです。
 あなたを嫌いな人、攻撃する人というのは一定の確率で現れるものですから、言ってみればロールプレイングゲームの最初の方に出てくる敵と同じようなものです。
 その敵はあなたのレベルを上げていくほど、何回でも出てくる経験値が少なくて面倒くさい敵になるのですから、相手をするだけ時間の無駄なのです。

 「相手の言うことを真に受ける」というのは、言わば相手の人格を尊重している状態いうことになるのですが、あなたの悪口を言ったり、あなたを馬鹿にして攻撃してくるような人間を尊重する必要はないですよね?
 どちらかといえば、「残念な人だなあ」、「かわいそうな人だなあ」、「この人はこの程度なんだなあ」と距離を置いたり見下したりする方が自然だと思いますが。
 そして、心の中ではそう思っておき、口では「ありがとうございます」という程度で流しておけば良いと思うのですが、どうでしょうか。

 

 これからは、今あなたのことを攻撃している、そのたった一人の人に対して意識を向けすぎないことです。
 あなたはこの先社会で活躍してたくさんの人に出会うのですから、それを考えれば、仮に1万人に出会うとしたら、単純に計算するとそのうち1000人は攻撃してくるということになります。
 それをいちいち対処していたら体も心も疲弊して参ってしまうのは目に見えているわけですから、今の段階で目の前にいるそのたった一人の嫌な人も「嫌な奴1000人のうちの一人目」とみなし、そこに対して時間を割く必要はないのです。

 受け流すにしても、躱し方を覚えたり、慣れるまでの間はなかなか難しいかもしれません。
 ただ、今までのように正面から受け止めることがあったとしても、受け止め方があると思います。
 相手は悪意を持って平然と他人を攻撃できる人なのですから、あなたがそれを真に受けてしまうと「相手と同レベルの人間」ということになってしまいます。

 先ほど「過去と他人は変えられない」と言いましたが、あなたもまた「一方的に他人の都合の良いように変えられてはいけない人」のはずです。
 ですからやはり、悪意を持ってあなたを攻撃してきた人間は「くだらないことを言うレベルの低い暇人」だと思うことを徹底し、右から左に受け流すのが最も良い判断と言えるでしょう。