成功するか失敗するか、0か100か、という二択で物を考える人は多いものですが、大体においてはその中間において結果が出ることがほとんどです。
例えば成功か失敗かで物を考えていると、少しでもうまくいかないと「失敗した」と考えてしまいやすくなります。
だから、80点とか、平均、普通、ぼちぼち、というような結果が受け入れられなくなって、「一つでもうまくいかないと全てが失敗」ということになってしまうのです。
二択思考に陥ってしまうと、0か100かで言えば95点という上々の結果になっているにもかかわらず、「100点ではないのだから0点」と考えてしまいます。
だから何をやっても満足せず、喜べず、マイナスの感情しか湧かないので、ストレスにまみれていくことになります。
そして自分の悪いところにばかり目につくようになり、ひどい場合は精神的に参ってしまうことにもなりかねません。
もし「自分は最近そうかも」と思っているようならできるだけ早めに治したいものですが、どのようにしていったら良いのでしょうか。
①自分で気付くようにする
二択で物を考えてしまった時に、「今、二択で物を考えてしまった」、「極端な考えをしてしまった」、「中間があることを考えていなかった」というように、自分で気付くことです。
ここさえできれば90%くらいは改善できたと言っても良いのでしょう。
でも、今までの考え方なら90%は100%ではないので、全く結果が伴わない「0%」であると考えてしまうのでしょうが、そこはちょっと我慢です。
要は、「自分がうまくいっていないことに気付く」ということが大切なのです。
例えば、怒りの感情に対処するアンガーマネジメントにしても、怒りが湧いたことに気付くことで、抑えたり別の方に気を向けるための対処ができるのです。
それと同じように「今、極端な考え方をしてしまった」ということに気づけると、修正したり、直したり、増やしたり、減らしたり、というような対応をしていくことができるのです。
まずは「気付く」ということができて初めて、「コントロールしよう」とか「我慢しよう」とかいう気持ちが湧いてきます。
そこから先の細かいことはまだ考えなくてよいですから、とにかく先ずは「気付く」ということが大切です。
②数値化する
これまでは0点か100点かという二択の考え方をしていたかもしれませんが、これからは「80点」とか「35点」というような考え方をしていく、ということです。
普通、世の中を生きていて、何か行動を起こした時の結果が全て「100点や100%の成功」と「0点や0%の失敗」となることはまずありません。
うまくいったって、「うまくいったけど、85点くらいだったからまだ改善の余地はあるけど、とりあえずここまでよく頑張れた」とか、「可もなく不可もなくうまくできたけど、次はもう少し自発的に何とかできないかな」というようなことがほとんどなのです。
一方で、「誰が見てもこれは0点。自分史上類を見ないくらいの0点。生涯決して覆ることのない完膚なきまで全力の0点」ということはほぼありません。
もしあったとしたら、それはむしろ学びのチャンスであり、そこに自分の欠点や弱点が集約されているわけですから、そこが改善できればどれだけ大きな成長できるのだろうと思えるほどの希望の塊となるわけです。
しかも、このように考えられる分、もはや0点ですらなく10点や20点の「価値ある収穫」として十分に収穫できていると思います。
実際のところは完全な100点も完全な0点もないのですし、「自分の気持ちは今何点くらいか」、「自分が出した成果は今何点くらいか」ということについて100点満点でつけてみると良いでしょう。
点数がつけられた時点で0点ではないですし、「70点くらいかな」と思えれば、もうそれは二択思考からは逃れられていると言えます。
慣れてくればそのうち「今の自分が考えている完全って何?」と、今まで自分を狭めてきた考え方をすることが馬鹿馬鹿しく思えてくることでしょう。
③自己分析をしてフィードバックをする
例えば、仕事の出来が自分の採点で70点だったとして、100点満点までには30点分の差があるとします。
その時に、「その差は何だったのか?」と具体的に分析してみることです。
また、「何がうまくいったから70点をつけられたのか?」ということも、合わせて分析してみることです。
そのように考えていくと、「何一つ良い点がなかったというわけではない」と気付くことができますし、「人が行動を起こす時は、良い点も悪い点がつく状況が常に起こっている」ということが分かるようになってくるのです。
何か行動をした時に、そこから学ぶべきポジティブな要素があればいつでも使えるようにしていけば良いですし、修正すべきマイナスの要素があればそれを修正しながら自分の成長に役立てていけば良いのです。
この、自分の行動を振り返って見直していく方法を、一般的には「フィードバック」と呼んでいます。
早い話、「数値化をしてフィードバックをする」ということができてしまえば、それは既に二択思考から脱却できている状態と言えるでしょう。
その数値化をしてみた結果が70点であれば、その内訳も分析していくことで自分の中でのできている点とそうでない点への理解が深まってくるので、問題点や改善点や伸ばすべき長所などを見出すことができるようになるのです。
つまり、フィードバックをすれば「良い点も悪い点も両方ある」ということが分かるし、そこから同じ失敗をしないための対策もできるということです。
ここまで分かれば、世の中は失敗か成功かの二択ではなく「どのようにフィードバックしていくか」が大切だと分かるでしょう。
ですから、どんなに成功してもフィードバックをするべきですし、うまくいかなかった時ほどフィードバックをするべきなのです。
誰にでも多少落ち込むことはありますが、本来は、失敗したからと言っていつまでも落ち込んでいる暇などはないものです。
それなのに「どうしよう」とか「こんなはずでは」と悲観にくれているのは、ちょっと言葉はきついかもしれませんが、暇人である証拠なのです。
そんな暇があったら、これからはフィードバックをして、次にうまくいくように対策していけば良いのです。