新しいことを学ぶ時の心構え


①今後の選択肢が増えることを意識する
 学ぶことの大切さの一つとして、「生きたいように生きるための選択肢を増やす」ということが挙げられます。
 いつだって今の世の中に不平不満を言う人はいますが、自分勝手や高望みばかりしなければ、生きたいように生きられる中で生きていくことができると言えると思います。
 そう考えれば、「選択肢を増やさない(=学ばない)」という抵抗はしない方がよいです。

 

②自分の成長や変化を楽しむ
 今までやったことのない挑戦をすると、その先に変化が現れてくるものです。
 人が成長する時、変化する時、人生が変わる時には、今までと違う行動を起こしています。

 ですから、新しいことを始めた時や変化していく時には違和感が出てきますが、それを楽しんで続けてみることが大切です。
 その違和感に対して抵抗したり、諦めたり、気づかずにやめたり、何か変だと思って後戻りしてしまうことは、一番好きでおいしいと思っている食べ物だけを食べずに食事を終えてしまうのと同じようなものです。

 筆者は打楽器を教えていますが、新しい技術を身に付けるというのは、今まで使ってきた筋肉の使い方と違うことをすることがほとんどです。
 今まで鍛えてこなかった部分の筋肉を急に使おうとしたり、演奏姿勢や構えの維持のために体の使い方を急に意識しようとしても、最初のうちはぎこちなく感じたり、たった10秒すら集中できなかったり、「本当にできるようになるのか」と不安になったりして当然です。
 新しく訪れた変化、特に、少しずつ分かってきたり、できるようになったりすることを、積極的に楽しんでいく姿勢が大切です。

 

③すべてを吸収するつもりでやる
 新しいことを学ぶ前は、心配事や先入観、疑いがあることがほとんどでしょうが、いざ始めるとなったらそれらの思いはすべて捨てて、新しく学んだことを吸収していくことです。
 なぜなら、多くの場合は、新しく学んでいく過程や学びを得るタイミングで、過去から今までに積み上げてきた体験、経験、知識といったものや、自分が守りたいと思っている小さなプライドや成功体験があるため、それが邪魔になってしまうことが多いからです。

 これは、人間が長期的に記憶できる生き物ですから仕方ありません。
 良く言えば、過去の経験と結びつけて強化したり、活用したり、危機を回避しようとしているという一面もあるのでしょう。
 しかし、大抵の場合は「前のままでよい」とか、「前の方が良かった」とか、「〇〇さん(その人の中で偉い人)が言ってたのと違う」とか、「自分にはこういう実績があるからこれは自分がやることではない」というような、傍から見れば面倒くさい理由であることがほとんどです。

 そのような考えに呑み込まれてしまうのではなく、一度、空っぽの状態にして学ぶことです。
 経験上その方が、早く、楽に、一段高い所に行かれるからです。
 新しいやり方や考え方などの型や概念といった「軸」になることを、先に覚え、身に付けるのです。

 ノウハウ本でよくある「自分の中に具体的な例の数を増やす」というようなことだけに留まってはもったいないです(もちろんそれも大事なことですが)。
 さらにそこで覚えたことや身に付けたことを元に応用して、その後の自分を強化していくのです。
 だから「守破離」という言葉が存在するのです。

 ちなみに②でも筆者の音楽指導について触れましたが、「怪獣のようにもっともっとと全部丸のみにして吸収して、自分のものや技にしていく人」は稀にいます。
 いわゆる「めきめきと上達する人」です。

 基本的には話の理解度が高くてよく解釈できる人で、話をしていても上の空ということはなく、受け身一辺倒ということもありありませんので、そういう人は多少つまずいたりして時間がかかっても必ずずば抜けて上達するし、想定された平均的な成果を簡単に超えていくし、「他にも何かないか」と質問攻めにあいます。

 まあ、その人にはその時点での体力や精神力の面での限界があるので「今日はここまでにしておこう」とこちらから一旦区切ったりしますし、その人ごとに大切にしている自分や自負などがあるでしょうから素直に受け入れられない気持ちもよく分かりますので、明らかな無茶をさせたり土足で踏みつけるようなことはしないよう慎重に慎重を重ねてはいますが…。

 それにしても、新しいことを学ぶ時には「一度空っぽの状態にしてすべてを吸収するつもりでやる」という姿勢は本当に大切なことだと思いますし、若くして凄いと思い知らされることも多々あるものだなあと思います。