人や社会の役に立ちながら生きるために必要なこと


 自分以外の他人や社会の役に立つための行動を利他的と言うことがありますが、利他的に行動するにはまずその意識が必要です。
 そのためには、「人に親切にすることが自分の幸せに繋がる」という経験を増やしてあげるとよいです。

 利他的と言うと辞書の上では、「自分を犠牲にしてでも他人のために尽くす」という意味で出てくることがありますが、ここではそんなに気張って使うつもりではなく「ちょっとした親切を積み重ねていこう」ということを伝えたいと思います。

 利他的な行動は、普段他人にしてあげられるちょっとした親切に始まり、他者貢献、地域貢献、ボランティア活動などと言われるような様々な形があります。
 ただ、そもそも大きな規模で周囲に与えることができる人は少ないでしょうし、親切をしようと思って実際にできる人も少ないでしょう。
 しかし、そのようにいきなりレベルの高いところから考えるのではなく、まずは「自分以外の人に関心を持ち大切にしていきたい」というような思いを持つことからでも十分です。

 

 利他的に行動するには、まずは「自分自身が幸せである」とか、「現在気持ちが満たされている」ということが大切です。
 なぜなら、自分が幸せでもなくうまくいってもいないのに、他の人を幸せにするために何かを解決したり、時間やお金を使うのは難しいからです。
 しかし、時間的にも金銭的にも余裕がある場合には、「一部分でも他の人に役立てよう」という思いが生まれやすくなります。

 言うまでもないことでしょうが、楽しいことや興味のあることは長く続けられますが、苦しいことや無理して人のために何かをするということは長続きしません。
 まして自分の事もままならないのに、利他的な行動を無理して続けるのは難しいのです。

 まずは自分自身が自分の幸せや時間やお金に対して余裕ができるようにうまくいくやり方を見つけたり生み出して、その場所でしっかりと成功したり実力をつけたりお金を稼いだりしていないと、「次は他人のために何かをしたい」とはならないのです。

 

 ただし、利他的な行動は「できるできない」、「ゼロか100か」というものでもありませんし、お金をたくさん使わなければ無理ということもありません。
 お金を使わなくても人の役に立てることもあります。

 例えば、あなたがパソコンが得意で、周りの誰か不慣れな人に使い方を教えてあげるとしたら、手順やコツをちょっと教えれば済むことですからお金も時間もかかりませんし、しかもそれは立派な他者貢献と言えます。

 自分の得意なことや知っていることを他の人に教えることで、その結果として相手の役に立てば感謝されますし、相手からあなたへの信頼感も高まることでしょう。
 そして、人に教えることで自分の頭の中も整理されますし、感謝されて少し嬉しいでしょうし、多少の自信もつきますし、自分自身が見落としていたり抜け落ちていたことに気付くこともできるでしょう。

 というように、得られる結果は状況によって様々ありますが、上記の例の結果が自分に返ってくるとしたら、たとえ小さなことであっても「人に親切にすることが自分の幸せに繋がった」と言えます。
 他者貢献は無理したり痩せ我慢して行うことでもありませんし、大金を受け取ったり寄付することだけが貢献の価値ということでもありません。
 また、見返りなんて期待せずとも、その人がちゃんとした人なら、後になってその人の得意な分野でお返しをしてくれたり、仕事を繋いでくれたり、新しい人との出会いを繋いでくれるということも起こってくるでしょう。

 

 人や社会の役に立ちながら生きるためには、まずは自分が自分の足できちんと立ち、自分の仕事ややるべき物事ができるようになったり、充実して気持ちが満たされたりすることが先です。
 その次に、自分の得意なことやちょっとした能力というものを他の人に役立てていくことです。
 このように、少しずつ範囲を広げていくという順番です。

 そう考えれば、自分が他よりも少し秀でていることを教えることくらい、容易いことでしょう。
 「一度に溢れんばかりの恩恵を相手に与えるから、こっちももらうものはもらう」という考え方でなく、「自分に余裕のある時に小さな他者貢献を積み上げる」という考え方の方が進めやすいのです。

 また、日記などで他人への親切を記録しておくと、自分が得られる幸福感がさらに高めると言われています。
 もし日記をつけているのなら毎日でなくても良いので、いつも書いてる項目に加えて今日他人にした親切を思い出して書くのもよいでしょう。
 そうすることで、自分の親切な一面を再発見することもできますし、自分が良いことをしたと認識することで自己肯定感の向上にも繋がりますし、また、自分の幸福感をより感じてさらに自己肯定感も高まるのです。

 

 他の人に「親切に出来ることはないか」と考えながら人と接する。
 それは、出来る時でよいですし小さなことでもよいですが、そういうということができると相手のことを思いやったり困っている人が目に入ってくるようになるものです。

 繰り返しになりますが、まずは自分のすべきことを自分でできるようになり、自分を大切にして幸せにして、幸福感や、時間や、金銭面などにおいて余裕を作ることです。
 そして、自分のできそうな小さな親切から始めていくことが、結果として大きな他者貢献をすることに繋がっていくのです。