与えられる人になる練習


①他人のためにどんなことができるかを考える
 他人に何かを与えられる人というのは、物をくれたり、お金を出資してくれたり、寄付や募金を人というだけではありません。
 時間や労力を提供する、というのも与えることの一つになります。

 例えば、次のようなことでも立派に与える行動になります。

 ・家事を手伝ったり
 ・道に迷っている人に道を教えてあげる
 ・仕事なら、Excelの使い方が分からない人に教えてあげる
 ・学生なら、得意な教科を人に教えてあげる

 

②小さな親切をしていく
 小さなことでできることからで良いので、自分の特技や人より少し秀でたことを他人のために使ってあげるということを始めてみる、ということです。
 最終的には地域貢献や社会に大きな影響を与えることになっていけば良いのかもしれませんが、何かとても大きなことや感謝されるようなことをしようと思うと、無理をしてしまったりどうしていいかわからなくなってしまうこともあるものです。
 ですから、あまり意気込みすぎずに、最初のうちはちょっとしたことやすぐできること、単発でもできること、といった行動を意識して積み重ねていくと良いでしょう。

 

③記録する
 一日一つの親切でよいので、①や②を活用して他人に何かしてあげたり役に立ったことを日記などで記録していくことです。
 特に「習慣にしろ」というプレッシャーをかける意味ではないので、ゲーム感覚やプラスアルファの感覚ということからで構いません。
 日常生活の中でできることから行動に移してみると始めやすいでしょう。

 他人に親切にするというのは一見簡単なようにも見えますが、相手の役に立ったり喜ぶことを「過剰にならない且つタイミング良く」できないと、ただのお節介になってしまいます。
 相手の立場になってみて、相手の気持ちや、望んでいることや、どのように困っているのか、ということを考えられるようになって初めて「与える」という行動ができるようになります。
 そのためには、相手の気持ちを考えながら小さな親切を一日一つ行うところから始め、それを記録していき、慣れてきたら2つ、3つと増やしていけば良いでしょう。

 

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 他人に与える行動をとれば、やがて様々なことが周り回って、或いは直接自分に返ってきて得をすることになりますが、それまでにはかなりの時間がかかることもあります。
 場合によっては半年とか数年間空くこともありますから、あまり「与えてやっているんだ」というようなことを思わずに、特に見返りを期待しないようにして、「忘れた頃にいいことが返ってくる」くらいの気持ちでやっていくと良いでしょう。
 もし何らかの見返りを得たいのなら、「自分の器が大きくなった」とか、「行動していなかったら知らなかったことに気付けた」とか、「相手と今までより少し仲良くなった」とか、「こう行動すると、こういう反応が得られることが多い」などというように、「自分の中に経験を蓄積できればラッキー」と思うようにすれば、得られれば嬉しいし、得られなかったとしても精神的に穏やかに続けられることでしょう。

 何にせよ、自分のことをしっかりやった上で、その後に周りにできることをしていくようにしないと、自分のことを後回しにして何の結果も出せなかったり、自分で自分の身を削ってしまう自己犠牲行為になったり、親切を受けたはずの相手からの不当な要求や甘えを断れなくなったりして、泥沼状態になりかねません。
 また、上記は個人の日常での話なので、ビジネスの上ではきちんと自分の取り分を確保したり、次の仕事に繋げたり、次の仕事に繋げた上でお互いに等分の利益を分かち合うための提案や交渉をしていかないといけないのでしょうが、ここでは特に触れません。

 さて、他人に与える行動をとると、「自分は他の人の役に立っているのだ」と分かるのが(=自己有用感)親切の効用の一つと言えます。
 さらには、脳の中ではオキシトシンも分泌されるため、自分自身が癒しや幸福を感じることもできると言われています。
 人から受け取ったり奪ったりするばかりの人生だと、やがて何事もうまくいかなくなってしまうことは目に見えていますから、少し自分を振り返ってみて、他人に与えたり役に立つ行動をとっているかどうかを見直してみると良いでしょう。