人付き合いや人間関係で疲れてしまうときの対処


 人間関係で疲れてしまう人は割といるものなのでしょうが、ある程度は諦めたり見切りをつける力を高める必要があるのかもしれません。
 周りの人みんな全員と仲良くなれれば確かに幸せなのかもしれませんが、そうならなくて当たり前ですし、その考え自体に無理があるでしょう。
 また、それよりは気の合う人と仲良くする方が簡単ですが、せいぜい5人くらいが限界でしょうし、気の合わない人とはそれよりももっとエネルギーを使うのです。

 ところで、そのエネルギーは、あなただけが使わなければならないのでしょうか。
 真面目な人ほど、気の合わない人や話の通じない人と分かり合おうとするから疲れてしまいます。
 その一方で、相手が中立的立場にいるとか今はその気がないという場合は、あなたの気遣いがかえって迷惑になってしまうこともあります。

 また、本当に「あなたがエネルギー使わなければならない」と言い出す人が近くにいる場合、その人との関係は考え直さなければならい時期にきているでしょう。
 学校などであれば、「人生の勉強の一環として成長期の段階に合わせて経験した方がよいこと」という一面もあるかもしれませんから、まあ多少辛くても経験して乗り越える機会なのかもしれません。

 ただ、大人になってから仕事の上での人間関係に悩んでいるのなら、仲良くするというよりは「適切なコミュニケーションをとる」という考え方の方が大切なのです。
 まずは仕事を覚えてこなせるようになることが最優先であり、そのためのコミュニケーションは必ず必要になりますから、そこは職場の環境に合った最低限の力をつけておく必要があるのは明らかです。
 休憩など業務時間以外は、当たり障りのないコミュニケーションがとれていれば最低限は問題ないですし、完全に仕事の時間外のプライベートで仲良くするかどうかは二の次三の次で良いのです。

 

 さて、もし運悪く話が通じなさそうな人と出会ってしまったら、意思疎通を諦めて感情をオフにすることも選択肢の一つとして持っておくことです。
 可能なら、相手にしないで立ち去るという判断も必要です。
 親しい人でさえ、「知識や経験の有無」や「それまで生きてきたり関わってきた環境」などが原因で話が伝わらなかったり、こちらも上手に受け止めてあげられないことだってあるのですから、その辺りを考えれば分かりますよね?

 仮に「あなたのことが嫌いだ」と言い出す人ができたら、「これからはその人に時間を割かなくてラッキーだ」と考える方が気が楽になってよいでしょう。
 なぜなら、こちらが相手の嫌がることを特に故意に繰り返しやったりしていないのであれば、大抵は「私の言いなりにならないからあなたが嫌い」というものが本心だからです。

 こういうのは、「台風や地震などの自然災害のようなもの」と割り切ることも、時には必要なのです。
 自然災害に対しては、小さい頃から避難訓練をしたり、対策や準備を整えておくなどして「普段からの備え」を作っておくから、突然発生した時でもよほどのことがない限り対応できるのです。

 しかし、人付き合いや人間関係の面では、果たしてどうでしょうか。
 何も備えず、対策もせず、そういうことをしようとも、考えようともしなかったのではないでしょうか。
 今まで特に何もしてこなかったのなら、真面目で誠実で優しいなあなたは少なくとも「決して悪意に誠意で対応してはならない」と心に決めるところから始めなければなりません。

 

 人と仲良くできるエネルギーも、その人との有意義な時間も、自分の人生の貴重な時間も、有限です。
 しかし、残念ながら、これから出会う人がすべて素晴らしい人とは限りません。
 同じように、これから出会う人すべてに最高の状態の自分で会えるとも限りません。

 今親しくしている人、してくれている人との時間を削ってまで、出会うすべての人と仲良くする意味がどのくらいあるのかを考え、無駄な時間や無為な時間を過ごしたり、自分の心をギリギリと締め付ける日々を送らないようにすることが大切です。

 もちろん、これまで自分に良くしてくれた人に感謝したり、今良い関係でいてくれる人や、誠実に一生懸命生きている自分自身を大切にすることは、最優先にさせた上でのことです。

 

●意識するとよいこと
 ・嫌いな人と無理して仲良くしない
 ・嫌いな人に嫌われたら、むしろ好都合だと考える
 ・悪意に誠意で対応しない
 ・話が通じない人と積極的に分かり合おうとしない
 ・この世の全員に好かれるのは不可能なので、多少嫌われても気にしない
 ・今良い関係でいてくれる人に感謝して接する
 ・親しい人、世話をしてくれる人、身近な関係の人は特に大切に扱う
 ・真面目に誠実に人に優しく一生懸命生きている自分は特に大切に扱う
 ・ストレスを溜めないように、運動、筋トレなどの運動する習慣を作る

 

 最後になりますが、「アイツ嫌な奴だなあ」と思われているそのアイツほど、おいしいものを本当においしく、しかも腹が立つほどおいしそうに食べ、運動して体を鍛えてスッキリしてあなたよりも頑丈で健康で、好きな趣味の映画を観て感動したりして心も洗われて、早寝早起きであなたよりも長い時間ぐっすり眠って朝は元気一杯に目覚めて、ひとたび外に出れば、自分勝手にお節介をしたり悪口を言ったり一言多かったりして人に迷惑がられて昨日より嫌われているのにもかかわらず、「いやあ、どうも自分は人が良くっていけないね」くらいに思って図々しく生きているものです。

 あなただけが何もかも遠慮したり、我慢したり、塞ぎ込んだり、そうしなくていいのに勝手に「身の丈を知った方がよい」と自分で自分を制限したりしなくで良いのです。
 せめて運動して体を鍛えて、バランスよく食べて、睡眠をしっかりとっておき、「いざ人間関係で自分に何かしてくるようならねじ伏せてやる」くらいの力と精神でいられる状態になれるくらいまではやっておいても損はありません。
 むしろ、真面目に誠実に人に優しく一生懸命生きている人ほど備えておかなければならないことです。