相談することは悩みの解決方法の一つ


 自分はそれなりに頑張っているという自負があったとしても、プライドをかなぐり捨てることになっても、それでも相談する勇気を持った方が良いです。
 相談するには、人それぞれに恥ずかしさやプライドなどがあるでしょうから、実は結構勇気がいることでしょう。
 また、相談しても相手に話を聞いてもらえないなどという恐怖もあるので、なかなか簡単ではないという面もあります。

 あらためて、相談は勇気がいることですが、それでも相談した方が良いです。
 相談することでアドバイスをもらえることもありますし、仮にアドバイスが得られなかったとしても、話をするだけでもガス抜きの効果が得られるので、それだけでもメリットはあると言えるでしょう。
 これが、相談しないまま何も変えられず、結果も出せず、終わりの時間が来てしまうという事態に陥ることになってしまえば、自分自身が精神的に押し潰されてしまう危険性もあります。

 実際、思い切って相談してみれば人間関係が改善することもあります。
 例えば、それまではそれほど仲が良くなかった上司との関係が改善したり、むしろよく相談し合えて連携しやすい良好な関係になったりもするのです。
 なぜなら、相談するということは自己開示にあたるため、自分から自己開示を繰り返すことで相手の方も自己開示をするようになり人間関係が深まっていくという、心理学で言うところの「自己開示の返報性」が起きてくるのです。

 

 会社の上司や先輩でも、学校や病院の先生でも、相談するならこちらから自己開示をして、相手との関係を深めていくようにしましょう。
 だって、普通に考えて、相談を受ける側の人からあなたが自己開示を受けて、「仲良くしましょう」などと言われるようなことは起こらないですよね。
 相談に乗ってもらうなら、自分から自己開示をして、自分が思っていることをきちんと言わなければ、相手との関係が深まっていかないのです。

 これは、視点を変えてみれば、もしあなたが部下や後輩や子供から気軽に相談してもらえたら、かなり嬉しいことなのではないでしょうか。
 さらに、「他の人に相談せずに自分に相談してくれたのは、自分を信頼してくれているからだ」と思えるでしょう。

 基本的には、他の人から心を打ち明けて相談されるということは嬉しいことであり、その自己開示を相互に繰り返すことで人間関係が深まっていきます。
 先程の「自己開示の返報性」の視点で見れば、「人間関係が良くない上司でも相談するようになったら、その後人間関係が改善されて仲が良くなった」というのは当たり前のことなのです。
 だから自分で溜め込むよりも相談した方が良いのであり、自分よりも経験が豊かな人に相談することで思いもしなかったアイデアを得られたり、相談できない環境ならば自分一人で文字や言葉に出して言語化して整理するだけでも、大部分の悩みは解消していくのです。

 

 悩んだり苦しんだりするということは誰にでもあります。
 その時に、相談するだけでも苦しさを減らしていくことができます。
 さらにそこで良いアイデアや、良い対処法、良い出会いなどに少しでも巡り合えたらとても幸運なことです。

 これからは、「相手が忙しそうだから相談できない」と言わずに、開口一番話をしてみると良いです。
 もちろん相手も人ですから、忙しくしている時や辛い出来事があった直後などには相談に行かないように、きちんと配慮する必要もあります。
 相手だって、相談に乗って欲しいと思われるような人ならそれなりに大人でしょうから、タイミングが合わなければ「ごめん今ちょっと無理」とか「○○が終わった後でもいい?」くらいは言うはずです。

 逆に、あなたが相談される側の立場であるなら、会議やミーティングの最後に「何か質問や言い忘れていることなどはありますか?」などと聞いてみるのも良いでしょう。
 恐らく、ほとんどの人は特に何も言わないのではないでしょうか。
 大体お分かりだと思いますが、それは「聞く時間がないからあなたに相談できない」のではなく、多くの場合は「相談する勇気がない」のです。

 もし相談する勇気さえあれば、対処法が示されたり、問題の改善や解消をさせることができたりします。
 しかしその反対に、悩んだり、調子が悪かったり、つまずいたりしている状態なのに何も言わなければ、早く治るものも治らなくなってしまうでしょう。
 悩んでいるということは既に「何とかしたい」と思っているわけですから、勇気を出して相談するようにしていくと良いでしょう。