信頼する、信頼されるという関係を築くためにできること メモ

 
①自分から先に信頼する
 信頼とは一方的な関係ではなく相互的な関係である。
 だから、相手から信頼されるためには、まずは自分から信頼を寄せる必要がある。
 あなたが相手のことを全く信頼していないのに、あなたのことを100%信頼してくれる相手が現れるということはないからだ。
 
 信頼関係を築いていく流れは、自分から相手を信頼し、相手があなたへの信頼を深めていく、というキャッチボールのような関係なので、まずはそこを理解することである。
 「自分が何もしないのに相手から信頼されたい」と思っている人が少なくないように感じるが、まずは自分から信頼するということが大切なのだ。
 
 
 
②嫌われる勇気を持つ
 自分から信頼していこうと思っても、相手から拒絶されることを想定してしまい、行動を起こす前から「嫌われたらどうしよう」とネガティブなことを考えて臆病になってしまうことがあるかもしれない。
 しかし、だからこそ、嫌われる勇気を持つことが大切である。
 
 そもそも、あなたが相手にボールを投げかけても、「あなたのことを嫌うか、嫌わないか」というのは相手が決めることであり、自分自身でコントロールできることではない。
 基本的には、他人の考えや行動や言動というものは、自分の意志でコントロールできるものではないのである。
 自分の考えや行動や言動は自分の意思によって十分にコントロールできるが、相手がそれに対してどのように反応するか、どのような言葉を返してどのような行動をするのか、というのは相手が決めることなので、自分ではどうしようもないのだ。
 
 だから、「それはそれとして、自分ができることは何か」と考え、相手に対してこちらから信頼のボールを投げていくしかないのだ。
 もしかしたら、その時点で嫌われてしまうかもしれないが、そうなったら、それはそれで仕方ない。
 普通の人は、「他人からどう思われるのか」と気にしたり心配したりすることは当たり前にあり、それで他人の顔色を伺ってばかりになったり、中には残念なことにそのまま他人の人生を生きてしまう人も出てきてしまう。
 
 他人の顔色を伺ったところで、どうせその後のことも相手が決めることである。
 あなたは自分の中でただただ取り越し苦労をして、過剰に心配をして、自分の人生の時間をたくさん無駄にして、頭のエネルギーも心のエネルギーも無駄遣いして、相手が特に望んでもいないのに、あなたの大切な人生の時間を相手の人生の時間にしてしまう。
 とりあえず、相手がどう思うのかということは横に置いておき、嫌われたってよいから相手を信頼して行動するようにするしかないのだ。
 
 もし本当に嫌われたら、その相手とは縁がなかったか、自分の一手目が悪手だったかが早く分かるだけなのだから、その分さっさと切り替えて、これからより良い人生につながる行動を積み上げていけばよいのだ。
 時には相手から信頼のボールをこちらに向かって投げてくれることもあるが、それは「あるかもしれない」ことでしかないし、それを待っていたっていつになるかは分からないし、指をくわえてそれを待っていられるほどあなたも暇ではないはずだ。
 だからこそ、嫌われる勇気を持って自分から行動をしていくということが大切なのである。
 
 
 
③自分から先に与える
 要するに、ギブアンドテイクで言うところの「ギブ」のことである。
 先にも述べたように、相手の考えや行動は自分の意思でコントロールすることはできない。
 しかし、相手から前向きな反応や回答が返ってくるように、自分から努力することはできる。
 
 相手のことはコントロールできないが、自分のことはコントロールできるからこそやれるのが、「自分から与える」ということなのである。
 ただし、自分の人生の時間や、金銭や、体力や、精神力を過剰に投げうってまでする必要はない。
 まずは自分のできることから相手の役に立ったり、手伝いをしたり、相手を励ましたり、良い言葉かけをしてあげたり、専門的な知識を教えてあげるなど、様々なやり方はあるはずだ。
 
 これは、「人は他人から物や好意をもらうとお返しをしたくなる」という心理を応用したもので、心理学では「返報性の法則」と言われる。
 ポジティブな感情や行動を持って相手に何かを与えると、自分にもポジティブなものが返ってくる確率が高くなる、つまり、信頼をあげたり深めたりする何かが返ってくる確率が高くなる。
 言葉にすると簡単で、実際にやっていくのは難しいのだが、自分からやれること且つ、相手の役に立つことや喜ぶことをしてあげるのがよいということだ。
 
 ただ、多くの人は自分から行動しないものだ。
 あなたがとても有名で魅力的な人気者であれば「どうしても仲良くなりたい」と相手の側が思ってボールを投げてくることもあるかもしれないが、あなたが普通の人間であればそういうこともないだろう。
 しかし裏を返せば、「相手は、あなたが信頼のボールを投げてくるまでは、何も行動を起こさない可能性が高い」ということでもあるのだ。
 
 
 
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 コミュニケーションを深めて円滑な人間関係を作っていきたいと考えた場合、やはり自分から行動を起こし、自分からコミュニケーションのボールを投げていくことが大切である。
 時には様々なことを恐れて、自分から行動できなくなってしまうこともあるかもしれないが、実際にやってみて断られたり嫌われたりしても、それはそれで良い経験になるのではないだろうか。
 
 なぜなら、②の最後でも述べたが、その人とは縁がなかった、相性が良くなかったということが、早めに分かって良かったとも言えるからである。
 また、いつも弱気で生きていたら気付かないことなのかもしれないが、他人様に対していきなり嫌ってきたり見下してくるような人とはそもそも縁がない方がよいのだから、相手がもしそういう人だった場合はこっちも「はい、次、次。」と切り替えた方が、精神的に落ち込まなくてよいのだ。
 一方で、少し厳しいことを言えば、相手から「この人と信頼関係を築いておかないと損する」と思われるような、一発で信頼関係を築ける能力なり実績なり知識なりの何かを身に付ける努力をして、普段から堂々と生きられるように自分を磨いていくというのも良いのではないだろうか。