会社などの組織における人間関係作りで最も大切なこと

 
 会社の中で、より良い人間関係を構築していくことは大切である。
 しかしそれよりも先に、「普通に仕事をこなす」ことの方が大切である。
 
 最初は、仕事の説明を受けたり、やり方をを教えてもらったりしてできるようになっていくが、ある程度の経験を積んだら自ら動いていかれるようになることだ。
 そして、自分の仕事を進めていくにあたり、そのために必要な人とのコミュニケーションが取れるようになることだ。
 全然関係ない人脈作りに精を出し、「他部署の○○さんと仲良くなった」とか、そういうのはそのずっと後のことでよいのである。
 
 なぜなら会社は仕事をする場所であり、今の仕事の目的を達成するために関係のない人間関係を無理して構築する必要はない。
 仕事のサイクルが速い会社や店舗数の多い会社では、数ヶ月から1年くらいで人事異動ということもよくある。
 「そろそろ心が知れてきたのにな」と思う頃には残念ながら人事異動ということもあるのだ。
 
 当然、人として最低限の、挨拶、連絡、他愛のない話くらいは普通ににこやかに明るくした方が良いが、あまり深く付き合い過ぎてしまっても時間の無駄や中途半端になってしまうこともある。
 そりゃあ、同じ職場に何十年も勤めるような会社の体制なら、持ちつ持たれつの関係や心をオープンにした関係というものを構築する必要があるし、社員数名の他はその土地のパート・アルバイトで切り盛りする店などは、人間関係を構築するのはとても楽しいのだが、本来は会社には「仕事をしに来ている」のだ。
 
 
 
 特に、短期的に職場が変わるような体制の中で動いている場合は、職場の人間関係を深めるよりも、普通に仕事ができる人になった方が良いし、従業員よりはお客さんとコミュニケーションを取れるようになった方が良い。
 というのは、その体制であっても、どれだけの人数がどれだけの期間で入れ替わろうが、一定の技術や知識やサービスの水準が維持されている必要があるからだ。
 会社の中の人達との関係や心遣いというのは、もちろん楽しいし有難いし大切なことだが、今目の前にある仕事や顧客に集中して向き合うことの方がより大切なのだ。
 
 今自分に与えられた仕事に集中して全力を尽くすこと。
 そして、そこに関係する人達とうまく連携して目的を達成すること。
 このことが、この順番で大切であり、プラスアルファの人間関係はその後で良いのである(もちろん足を引っ張り合うような関係はNGだが)。
 
 少しドライな言い方かもしれないが、会社側の目線で見てみれば、あなたにはあなたに与えた仕事をきちんとやり遂げて欲しいのであって、同僚と仲良くやれるようになることは二の次であり、それはあなたの上司も会社も明らかに第一には望んでいないことなのだ。
 あなたに与えた仕事を、仮にこちらの期待値が70点だとしたら、80点とか90点でこなしてくれただけでも大満足なのである。
 仕事の優先順位の第1位としてそこに対して焦点を当てて欲しいのに、どういうわけか、しかも仕事ができない人ほど、人間関係 ばかり気にしてしまうのだ。
 
 よく、「自分に対して当たりがキツいので、人間関係で悩んでいます。」という話があるが、そういうのはどこにでもある話だし、何ならもっと、必要以上にキツく当たられている人だって世の中にはいる。
 若いうちには誰でも経験することかもしれないが、今のところはとりあえずあまり気にせずに、仕事をしっかり覚えてきっちり手早くこなせるようにすることだ。
 
 当たりのキツい人、声が大きく威圧的な人、基礎的な生活音がうるさく攻撃的な人、様々な人がいるだろうが、その人はそもそもそういう人なのだ。
 会社では色々な機会や縁がいただける分、色々な人たちが集まるものだし、一人一人みんな違うのだ。
 
 
 
 仕事ができる人というのは、尊敬されるものである。
 仕事ができない人は、馬鹿にされていじめられて、パワハラも受けるし、差別もされる。
 そうして、できる人に仕事を奪われたり、あなたが元々いなかったことにされたり、退職せざるを得なくなったり、メンタル疾患になったりして、何年も棒に振ることになる。
 
 そんなの嫌ならきちんと仕事ができてさえいればいいのだ。
 しかもその職場の中でトップクラスにできているとなれば、人間関係なんて後からついてくる。
 むしろ、向こうの方から「仲良くなってください」みたいな感じで集まってくるのだ。
 
 仕事ができないということは、他人に迷惑をかけていることになる。
 平均値以下の仕事をしていたら、誰かがその分をフォローしたり、迷惑を被っていることになるし、そのせいで忙しくなった人のストレスが自分に向けて帰ってくる。
 だから周りもよそよそしくなるし、当たりもキツくなるし、あなた自身もやりづらくなってくるのだ。
 
 人間関係がうまくいかないと感じた時にまず最初にすべきことは、今やっている業務をきちんとやり切れるようになることである。
 与えられた仕事をやり切って、かつ周りが満足するレベルでやれているか、よく見ることである。
 もしまだ手順を覚えていないとか目的が分かっていないとか、仕事の要となる部分に未熟な点があったとしたら、それは力づくでも、そらで言えるまで暗記するなり、体が自然に反応するようになるまで動きを反復して身に付けたりした方が良いだろう。
 
 仕事がしっかりできたら、人間関係も自然とうまくいくものである。
 さらに、「え?こんなことで?」くらいのほんのちょっとだけ難しいことを解決したりするだけで、周りの人たちから尊敬されるようになる。
 与えられた仕事を期待された以上の水準でやり切ることによって、仕事も人間関係もうまく回っていく。
 会社での人間関係を良くするためには、第一に仕事をしっかりやり切ることであり、第二以下がどうとか、あの人と合わないとか苦手とかは、二の次である。