①傾聴する
相手の話にとにかく耳を傾けるということです。
話の一つ一つについて具体的な解決方法を無理に示そうとしないことです。
「相手の話を聞く」というただそれだけをして、アドバイスなどは具体的には言わないようにすれば、相手本人に気づいてもらうという方法も取れます。
また、相手は解決法を求めているのか、自分の話を聞いてもらうことで安心を求めているのかを見極めることもしやすくなります。
例えば、「解決法を示したところで相手が何もやらない」と言う場合は、相手は安心が欲しいからだという可能性は高いです。
であれば、まず与えるべきものは安心であるため、じっくり話を聞く姿勢が大切になり、話を交えながら解決策を提示していくというやり方はこの場合はそぐわないでしょう。
②その場での即回答を避ける
分からなければ、「次回までに調べておきます」とか、長くて細かくなりそうだったら大枠だけ話して「今はこのくらいにして、次の機会の時に詳しくお伝えします」などと言うやり方です。
軽い気持ちで相談を受けてみたら、実は深くて細かい本当に真面目な内容だった、という場合もあります。
細かいデータ、数値、過去の事例、正確な一次情報など、ありとあらゆること全てにおいて周知している人は少ないですから、こういう場合は間違いや思い付きで即答するのは控えた方がよいでしょう。
相手にとっても、自分が相談した立場であったとしても、大切なことを一度に大量に言われたりしたら受け切れないかもしれません。
答える側にしても、解決策を示すなら示すでそれなりにしっかりしたものでないとかえって後味も悪いし、相手の迷いや不安を増幅させることに繋がりかねません。
③Q&A集や想定問答集を作って育てていく
例えば公開で受け付けたりして、数十人単位の複数の人から相談が重なる場合などは、そのすべてがまったく別々の内容ということは少ないです。
大体はよく似た内容になっているものがいくつかあったり、部分的に重なるものです。
こういう状況の相談に対処するなら、質問に対するベストな答えを想定して、或いは、過去に同様の回答をしたものをまとめて、予め文章にしておくとよいです。
これは、実際に相談や質問を受けた後にその要点をまとめたり、Q&A集を作ってそこに加えていくようにすると、どんどん積み重なっていきます。
②のような時に一旦持ち帰って調べた質問の答えなども、これに付け加えておくとよいでしょう。
Q&A集や想定問答集を作る時は、次のことを意識してみるとよいです。
●10対30対100の法則
(1) 最低10個の質問に対する答えを作る
(2) 次に30個の質問に対する答えを作る
(3) 最大100個の質問に対する答えを作る
こうしておけば、最初は幾つかしかリストにないかもしれませんが、やがてもっと深い内容や相談や質問から派生した事柄なども加わっていき、やがてあらゆる角度から質問に答えるようになることができるでしょう。
同じ立場やシチュエーションで出てくる質問は、分かれても最大100パターンくらいですし、答え方や言葉の使い方、伝える順番などを考える力もついていきます。
これは、筆者も音楽指導の際に使えると思ったのでやってみましたが、まだ100問までできていないどころか、一問二問に対処してまとめていくだけでも本当に変わりますし、自分の頭の中も整理されていきます。
話が明確になっていく分、知らず知らずのうちに鋭い表現になったり語感が強くなってしまうことには気を付けた方が良いですが。
まあ、100問は作りすぎかもしれませんが、100問作っておけば全く同じ相談や質問でなくても、少なくとも今よりはパターンに当てはめて上手に答えることができるようになることでしょう。
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「相談する」というのは、時には良い言葉とならないこともあります。
それは、相手が解決方法を求めている場合の相談には、アドバイスやコツを伝えたり、具体的な解決方法を提示してあげたり、ToDoなどでの対処法を示さなければいけない、などという先入観もあるため、答える側にとってはかえってプレッシャーになってしまうこともあるからです。
また、「相談しても解決しない」という人は、誰にも相談しないまま一人でストレスを抱えてしまうことも多いです。
例えば会社の人間関係で悩みを抱えているなら、「会社を辞めない限りその関係性は続くのだから、相談したって仕方がない」と思ってしまうからです。
もちろんその人の状況に因りますが。
相談と言うほどの内容でもない時は、「ガス抜き」という言葉を使った方がいくらか気分は楽かもしれません。
話の重さや深刻さという意味合いでもそれほどハードルが高くなさそうに聞こえますし、「気軽に悩みを打ち明けるだけでOK」という雰囲気が出やすくなる分、気分も楽になることでしょう。