人から悩み事を聞く時においては、傾聴すること、つまり聞くことに集中することが大切です。
ちなみに、何かの指導者やリーダーなどの人が教わる側と一緒に問題解決に努める場合はこれに限りません。
レベル感としては、親しい人、仲の良い人、知り合いなどから悩み事などを相談された時、程度が適切かと思います。
傾聴のやり方とは、基本的には相手の話を肯定しながら聞くことです。
それに加え、笑顔や頷きやアイコンタクトなど、非言語的なものもあるとよいでしょう。
もし難しいようなら、時々目を合わせながら頷くだけでも変わると思います。
要は、言語も非言語も上手に使って相手が安心して話しやすい雰囲気を作りつつ、「あなたの話を肯定して聞いている」という姿勢をもって相手の話を聞くということです。
もちろん、自分の立ち位置や心身の状態は中立的でいることです。
傾聴の最中には、相手が話していることを聞きながらアドバイスをしたり、或いは、聞いた結果アドバイスをする必要は特にありません。
「何か言ってあげなきゃ」と考えたり、「何かしなければならない」という強迫観念に駆られる感覚も分かります。
しかし、相手の話を止めてアドバイスをしたり、頭の中で余計な事を考えながら聞くことはまず傾聴とは言わないからです。
とは言っても、基本的には他には言えないプライベートな話題になるでしょうし、頭から終わりまで真剣に聞くというのでは双方にとっても重すぎるでしょう。
ですから、重苦しい雰囲気の言葉でなく、お互いが「ガス抜きをする」、「ガス抜きに付き合う」というような心の持ち方であれば、気負いせずに気楽に話せるし聞けるし、相手の話を真剣に聞いてあげる姿勢も維持することがしやすくなることでしょう。
「悩みを聞く時は傾聴する」と覚えておくだけでも、たとえちゃんとした職業としてのカウンセラーなどでなくても、少し練習すれば話す側の相手に、安らぎ、癒し、安心を与えやすくなるし、それによって相手が「聞いてもらってよかった」と思ってくれれば、結果としてカウンセリングのような効果を発揮することにつながるのです。
ただし、注意することとして、相手の話に飲み込まれたり、優劣や上下などの関係性で不利に落とし込まれたり、相手のいいようにこちらが動かなければならなくなってしまう状況は、絶対に作らせないことです。
何でも話を聞いてくれるからといって、あなたのことを「何でも言うことを聞いてくれる人」と勘違いさせないことです。
また、元々の相談事から話題が逸脱してはなりませんし、自分の受け答えの発言によって逸脱させることはよくありません。
別の話になる時は、たとえ面倒な人と思われても、一旦区切って話題を変えておいた方がお互いによいですから、この点は十分に注意しておくことです。
この注意点に関連することは、冒頭の指導者やリーダーの場合の話でも同様と言えるでしょう。