問題解決をしたいならまず最初に自分で原因を考えてみること


①原因が何かという目処をつけてみる
 例えば今、会社や学校に行く時には調子が悪くなり、行かない日はそうでもない、と言う状況にあるとすると、その原因は一体何でしょうか。
 この例の場合なら、仕事や学校がストレスになっていることが予想されるので、まずは自分でそこを大まかな原因としてやれる対策を講じてみることです。
 その結果難しいのなら親しい人や医師などの専門家に相談するようにすれば、自分のしてきた対応の一つも話の材料として示せるでしょう。

 何にしても、相手に何かを相談する時に、何の下調べもせずに「〇〇について、原因は何だと思いますか?」と手ぶらで聞くのは良くないことです。
 初めてやる事や緊急のトラブルや子供がする質問などはもちろん別ですが、上記の例なら、自分の調子が悪いのに他人に「調子が悪いのですが何が原因でしょうか」といきなり聞くのはおかしなことです。

 相手にしてもこちらの状況として、原因がまったく不明なのか、少しも想像もできないのか、経緯も仮説も過去の同様の事例もないのか、というレベルなら判断どころか対応そのものに困ってしまうでしょう。
 他人に質問したり助けを求めるなら、自分の考えがまずないと何の意味もないのです。

 どんな対処をして現在どのような状況にあり、次にどのような計画を立てているのかなど、事の発端や経緯などが詳細に出てこないにしても、自分である程度向き合ってみて何か手掛かりの一つくらいは目処をつけておくことです。
 普通はその上で、「問題を解決するにはどうしたらよいか」という質問になるはずなのです。
 そうしないと、お互いに貴重な時間を無駄にしてしまうし、聞く相手にも失礼なのです。
 
 物事がうまくいっていない理由が分かるのは自分自身しかいません。
 医者やカウンセラー、先生や指導者という専門家達は、原因探しには付き合ってくれるでしょう。
 しかし、最終的には自分で気づくしかないのです。

 

②否認の心理があることを知る
 他人、特に専門家は、ほぼ答えと言えるものや、解決の確率が高い回答を言えてしまうことがほとんどです。
 今回の例なら間違いなく、「仕事(学校)がストレスなのでそれを緩和しろ」と言うでしょうし、その前提で「もう少し詳しく聞かせて」と言うでしょう。
 しかしそうすると、本人は「仕事(学校)は別に辛くない」と言い出すのはよくあることです。

 これは、心理学でいう「否認の心理」というものが働いて、本当のことを指摘された時に思わず否定してしまうというものです。
 だから、専門家側が「原因は何か?」と聞かれて、その豊富な知識と経験から「原因は〇〇です」とそのものズバリ回答したとしても、本人が聞き入れることはまずありませんし、聞いてもその対処をやらないことがほとんどなのです。

 ということもありますから、緊急性がないなら出来る限り本人が自分で気付くように仕向けてあげて、自分から気付くまでまったく同じことを事あるごとにずっと言い続けていくと、半年や何ヶ月も経ってからようやく本人が納得するという点に至るのです。

 はっきり言えば、「自分で気付いたことなら一瞬で受け入れて判断して対応することができる」のです。
 他人から言われるからいちいちうるさく感じるし、自分から質問したくせに相手の視点や興味がないから聞き漏らすし忘れるし、子供の頃に宿題をやろうとしたら「宿題やりなさい」と言われたような感じになるしで、結局やらないのです。
 だからまずは、「自分でその事に気付いて、ちょっと対処してみよう」と思うことが大切なのです。

 

③書き出して言葉にしてみる
 原因について「仕事(学校)がストレスになっている」と自分で気が付いて受け入れているなら、治す、対策する、回避するといった、次に繋がるヒントが得られます。
 例えば、量を減らすとか、もっと気楽に構えるとか、人間関係をうまくやるとか、作業効率を上げるとか、スキルアップをして専門性を高める、というようなことを「自分で気付く」ということを根底に始めていかなければなりません。

 基本的には、専門家のアドバイスを聞いたら言われた通りに全部やる方がうまくいく確率は格段に高いでしょう。
 しかし、そのようにして問題解決していくことができる人という方が少ないでしょう。
 何しろ、大抵の場合は自分で原因を気付こうともせずに沈んでいってしまっているので、他人に客観的に見て正しいものを言ってもらおうが、プライドが許さないというような状態になっているのですから。

 何度でも言いますが、まずは「自分でその事に気付いて、ちょっと対処してみよう」と思うことです。
 そして、実現できそうな小さなことからでよいので、実際に行動することです。
 慣れないうちは自力だけで上手くいくことは少ないかもしれませんが、他人の判断を仰ぐのはその後でもよいのです。

 自分自身と向き合うのは大変かもしれませんが、日記でも何でもよいので、今うまくいっていないと感じていることを言葉にしたり書き出したりしておくことです。
 「〇〇で困っているがどうしたらよいか」とか、「ストレスを解消するためにできること」など、タイトルを付けて、一タイトルにつき紙一枚ごとに書き出すのでもよいです。
 紙も、別に印刷物の裏紙だってメモの切れ端だって、初めのうちは何だってよいのです。

 やってみれば、まずは頭の中のモヤモヤが堂々巡りしていただけのことが言葉になって、少しスッキリすることでしょう。
 後で読み返した時には関連性も見えてくるし、抜け落ちていた点に気付くこともあるでしょうし、洞察力を高めることにも有効です。
 運が良ければ、書き出している最中に原因に気付いて次の手が見えてきたり、解決できたり、「とりかかる順番を変えればいいだけだった」と分かったりします。
 また、自分と向き合うことにも繋がるため、様々な気付きを得ながら改善に向かっていくきっかけとなるのです。