集中力は息を吸う瞬間に低下する

 
 兵庫医科大学 生理学 生体機能部門 の中村望氏ら研究グループは、25名の男女の健常者を対象に研究を行った結果、「息を吸うタイミングにより、集中力・注意力を司る脳部位の活動低下に伴って、認知機能がうまく働かなくなる」ことを明らかにした。
 
 研究の結果として、ヒトは息を吸う瞬間に集中力・注意力が途切れてしまい、その結果、記憶力の低下、さらには、判断力低下など、さまざまな認知機能の低下を引き起こすことが考えられ、今後、記憶力や認知力を向上させる取り組みとして、呼吸をうまく主導することで、あらゆる分野でのパフォーマンスの向上に役立つことが期待される。
 
 fMRI(機能的磁気共鳴画像法)という手法の実験の結果、記憶を思い出すプロセスの際の息を吸う瞬間では、特定の脳領域(右側頭頭頂接合部、右中前頭回、背内側前頭前皮質)で活動が低下した(=息を吸う瞬間に集中力が途切れた)。
 
----------
 
 筆者は剣道と柔道で有段者だが、まだ子供のうちから多くの先生方からいただいた言葉の中でも「相手と呼吸を合わせろ」、「相手の呼吸を把握しろ」、「相手と呼吸を合わせて、相手が息を吸った瞬間を突け」というような内容のものは、よく言われたものである。
 この辺りのことは、分かっていてもしつこく言われるものなのでよく覚えていたが、あらためて文章として読んでみると、やはり核心を突くほど大切なことであったのが分かった。
 
 
 
●参考
・兵庫医科大学
集中力低下は「息を吸う瞬間」と関係していることが明らかに
 
・Cerebral Cortex Communications(英オックスフォード大学出版局)
Respiration-timing-dependent changes in activation of neural substrates during cognitive processes
 
・ナゾロジー
集中力は「息を吸う瞬間」に低下する