本番での緊張を軽減する呼吸法

 
 本番前で緊張している人の中に、呼吸が浅くなって深呼吸をすることができなくなっている状態の人を見かけることがあります。
 大きく深く息を吸って吐き出すことができずに、浅く息を吸って浅く吐くことを繰り返してしまい、少し過呼吸気味になっていることもあります。
 
 浅くて頻度の高い呼吸をしていると交感神経が優位になるため、より緊張しやすくなります。
 音楽の大会などの本番、これは座奏でもそうですが、管楽器を演奏する方やマーチングバンドの方なら特に、呼吸を上手にコントロールできていないと練習の成果を発揮することが困難になってしまうことでしょう。
 今は困っていない方でも、やるやらないはともかくとして、知識として知っておくだけでも損はないと思います。
 
 緊張して呼吸が乱れてしまっている時は、「息を吸う時間よりも息を吐く時間の方を長くとる」という深呼吸の状態を作ってみると良いでしょう。
 例えば、4秒かけて大きく息を吸って、12秒かけてゆっくり吐き切る。
 このような深呼吸の状態を作ると副交感神経が優位に働くようになるので、つまりはリラックスした状態を作ることができるようになります。
 
 人間は、緊張していると息が浅くなります。
 ここで言っているように「リラックスするために深呼吸をする」なら、吸った息に対して吐く息の時間を3倍以上は取ることです。
 ちなみに、「4秒かけて息を吸って、12秒程度かけてゆっくり吐く」と言ったのは、音楽では4拍子や4拍での動作が多いのでたまたまそうしただけであり、もし5秒で吸って15秒で吐くのがちょうどよいなら、自分がやりやすいものにするとよいでしょう。
 
 呼吸は緊張状態とリラックス状態を司る原因でもあり結果でもありますから、これからいざ本番という時に緊張してきてしまった場合は、上記のような深呼吸を意識してみると、緊張をほぐすきっかけの一つになるかもしれません。
 ただし、個人差があるでしょうから、あまり過剰に呼吸をし過ぎたり長時間やり過ぎても本番前に疲れてしまうだけですので、自分の体力や気持ちの状態に合わせてちょうど良いところで行うとよいと思います。
 
 音楽に限らず何でもそうですが、大事な場においては「平常心を保ちつつ練習の成果をしっかりと出せる状態をいかに作れるか」が勝負の大半を決めると言っても過言ではありません。
 そのためにも、本番直前だけ深呼吸を試すというのではなく、普段から少し呼吸を意識してみて、自分で適度な集中状態に入れるように練習しておくことが大切です。
 完全にリラックスし切ってしまうまで深呼吸をする必要はありませんが、深呼吸をすることで適度にリラックスして肩の力を抜いて、自分で自分のスイッチを入れて実力を十分に発揮できるようになれれば良いと思います。